生理前のひどいイライラや不安は、月経前不快気分障害(PMDD)かも

「生理が近づくとイライラや不安が抑えられず悩んでいる」という方は、月経前不快気分障害(PMDD)かもしれません。
月経前症候群(PMS)の中でも、特にメンタルに大きな影響が出る月経前不快気分障害(PMDD)についてご説明します。

月経前不快気分障害(PMDD)とは?

生理が近づくとカラダやココロの不調を感じる女性は多いと思います。

「だるい」「胸が張って痛い」「手足がむくむ」「おなかが痛い」といった症状のほかに、「イライラする」「集中力がなくなる」など気持ちにも変化があらわれることがあります。

こうした生理前の不調は月経前症候群(PMS)と呼ばれています。

その中で生理前になると、普段の生活が送れなくなるほど気持ちの変化が激しくなるものを月経前不快気分障害(PMDD)といいます。

 

月経前不快気分障害の症状とは?

月経前不快気分障害では、生理が近くなると抑うつ気分、不安や緊張、情緒不安定、怒りやイライラといった症状が強く出ます。

「気分が落ち込む」「急に悲しくなる、涙がでる」といった変化で、学校や仕事に行けなくなるケースもあります。

また「イライラが抑えられない」ために暴力的・攻撃的になってしまい、職場や学校、家庭などでまわりの人と揉め事を起こしてしまうこともあります。

こうした精神状態は生理が始まるとすっかり落ち着きます。

なかには「どうしてあんなことを言ってしまったのだろう」と、毎月後悔する人もいるようです。

 

なぜ月経前不快気分障害になるの?

月経前不快気分障害の原因ははっきりわかっていません。

生理にはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が関係しています。

生理に関係するさまざまなホルモンやその代謝で生じる物質が、脳内ホルモン(神経伝達物質)のひとつであるセロトニンの分泌量を減らし、うつ状態に似た症状を引き起こしているのではないかと考えられています。

月経前不快気分障害かもしれないと思ったら…

毎月生理前になると、普段の生活が送れないほど気分が不安定になって悩んでいるという方は、一度婦人科を受診するとよいでしょう。

月経前不快気分障害と診断されると、ピル(経口避妊薬)、抗うつ剤、漢方などの薬を処方されることがあります。

月経前不快気分障害は生理が始まると症状がおさまりますが、処方されるこれらの薬は一定の期間飲み続けることで効果があらわれるものです。

自分の判断で飲むのをやめてしまうのではなく、薬の飲み方は医師の指示をあおぐようにしましょう。

 

月経前不快気分障害を改善するには、健康的な生活習慣を手に入れて、生理に関係するホルモンバランスを整えることも大切です。

そのためには食生活、睡眠、運動、ストレス解消がポイントになります。

症状がひどく出ているときに無理をするのは禁物ですが、それ以外の期間では健康的な毎日を送るように、自分をケアできる余裕を持ちたいですね。

 

★今回のポイント★

・月経前不快気分障害(PMDD)は、PMSの中でメンタルへの影響が特に大きいもの

・原因ははっきりわかっていないが、セロトニンの減少が関係していると考えられている

・生理前の気分の変化に深刻に悩んでいるなら一度婦人科へ

 

 

この記事の監修 
婦人科専門医  松村 圭子先生

 

この記事のキュレーター

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