妊娠できるかどうかは○○次第!?いますぐ不妊検査を受けた方が良い人とは?
「1人でも多く、赤ちゃんが欲しいと望む女性の夢を叶えたい!」そう考えたルナルナ編集部では、不妊に悩む数多くの女性を診察している、聖マリアンナ医科大学病院の洞下由記先生に詳しくお話を伺うことにしました。
妊娠・不妊に関する基礎から、少し踏み込んだ内容まで全3回の連載でお届けします!
もはや他人事とは思えない、不妊の問題
今や、約6組に1組のカップルが「不妊」の問題を抱えていると言われています。
国内における体外受精の実施件数は増えており、日本産婦人科学会が公表したデータによると、2014年には体外受精で生まれた赤ちゃんは約21人に1人の計算になります。
「妊娠」を目的にルナルナを利用している人は、どのように不妊の問題を捉え、向き合っているのか?
その実態を調査すべく、サービス内でアンケートを実施しました。
アンケートに協力していただいたのは、20代後半〜30代を中心とした4,798名。
妊活の期間が1年未満の回答者が多い中、「自分たちは不妊症かもしれない」と不安になったことがある女性は全回答者のうち78%にものぼりました。
続いて、「不妊検査」を受けたことがあるかを聞いてみました。
不妊検査を受けたことがある人は、全回答者のうち34%。
「自分たちは不妊症かもしれない」と回答した人に限定した場合でも、約40%しか検査を受けていませんでした。
多くの女性が「不妊症かもしれない」という漠然とした不安を抱えながらも、不妊検査を受けていないのです。
それは、なぜなのでしょうか?
不妊検査を受けてない理由を尋ねてみると、約40%の人が「自分にはまだ必要がないと感じてるから」と回答。
続いて「結果を知ることが怖いから」が多いという結果になりました。
自分は大丈夫だと信じたい…そんな複雑な心境が、この結果から窺えます。
「卵子の老化」・「35歳の壁」という言葉が表すように、妊娠と年齢はとても深い関係にあります。
今回のアンケートで「自分にはまだ必要がないと感じているから」と回答した人の割合も、35歳未満に多いという傾向がありました。
しかし、不妊の原因は年齢だけではありません。
他に妊娠を阻害する原因があった場合、いくら自分たちで妊活を頑張っても、その願いが叶うことはありません。
ただ、時間が過ぎていくだけ…
妊娠ができる期間は限られています。晩婚化が進む中、1ヶ月だって、ムダにはできないのです!
では、赤ちゃんが欲しいと望む女性に、ルナルナは何ができるのか?
そう考えた時に、まずは、正しい妊娠・不妊に関する情報を多くの女性に届けることではないかと思いました。
そこで、ルナルナ編集部では、不妊に悩む数多くの女性を診察している、聖マリアンナ医科大学 大学病院婦人科医長の洞下由記先生に詳しくお話を伺うことにしました。
妊娠の成立に影響を与えていることとは?
ー ルナルナの利用者にアンケートを実施したところ、約80%の人が「不妊症かもしれない」と感じているという結果がでました。改めて、「不妊の定義」について教えて下さい。
洞下先生:
妊娠を希望している男女が、1年間、避妊をせずにセックスを行ったが妊娠しなかった場合とされています。
<不妊の定義>
生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。その一定期間については1年というのが一般的である。なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない。引用:日本産婦人科学会
ー 妊娠の成立に、最も影響を与えているのはどのようなことですか?
洞下先生:
それは、年齢です。
このグラフを見てください。
これは、生殖補助医療(不妊治療)を行った女性の年齢と妊娠率・生産率(赤ちゃんが生きて生まれる割合)・流産率の関係を示すグラフです。
赤い線の妊娠率の部分を見ると、35歳から急激に下がり始めます。体外受精においても、40歳以上の妊娠成功率と生産率は下がる傾向にあります。
このグラフを見るだけでも、いかに年齢が大切かがわかりますよね。
思った以上に、妊娠できるチャンスは少ない
ー よくわかります。「卵子の老化は35歳から」とよく聞きますが、こんなに急激に下がるものなのですね。
洞下先生:
そうなんです。
「毎月、生理がある=排卵がある」と考えてよいと思いますが、「排卵がある=妊娠できる」ではないのです。
毎回、受精ができる状態の卵子(以下、質の良い卵子)が排卵されているわけではありません。
年齢毎に、妊娠できる確率を簡単に説明するとこのようになります。
年齢を重ねると、質の良い卵子が排卵される確率自体が低くなっていくのです。
多くの場合、50歳くらいで閉経を迎えます。
その閉経の約5年前にあたる45歳頃からは、妊娠に向かない卵子が排卵されています。そのため、妊娠が難しいのです。
これは自然妊娠でも不妊治療においても同じ。
不妊治療で排卵日を設定することはできますし、卵子も採取はできます。
でも、それが質の良い卵子かどうかはわからないのです。
もし、質の良い卵子だけ移植できてれば、不妊治療の成功率は100%近くになっているはずですよね。
ー 生理が月に1回だと仮定すると、年に12回は妊娠のチャンスがあると思っていました。
でも、30~34歳でも年に3~4回しか妊娠できるような質の良い卵子は排卵していないんですね!
しかも、働き盛りの年代ということもあり、そのタイミングで必ずセックスできるとは限らない、そう考えると、もっとチャンスは少ないですよね…
年齢が関係するのは女性だけ?
ー 女性の年齢と卵子の質が影響することはわかりましたが、不妊の原因は男性と女性で半々とも聞きます。 男性の年齢は、不妊に関係ないのでしょうか?
洞下先生:
妊娠させるチカラだけをみれば、男性は60歳まで大丈夫だと言われています。
男性は精子を新しく作り続けることができます。そのため、男性の妊娠力は穏やかに下降するのです。
しかし、女性は胎児の時に持っている卵子の数がピークで、生まれた後は、卵子を新しく作ることができません。
この図のように、年々、卵子の数は減る一方です。
【 女性の年齢の変化による卵子の数の変化 】
出典:平成25年版厚生労働白書 -若者の意識を探る- 第2章 第3節 出産・子育てに関する意識
不妊検査や治療を早く受けた方がいい人とは?
ー 卵子の特性から、不妊治療の有無を問わず、妊娠には女性の年齢が大きく影響していることがわかりました。
当サービス内で実施したアンケートを見ると、20代と若くてもなかなか子どもを授かれず、不妊治療を開始するか悩んでいる方もいました。
年齢も含めて、不妊検査や治療を受けた方が良い基準というものはあるのでしょうか?
洞下先生:
次の3つのいずれかの条件に当てはまる人は、一度、病院やクリニックで調べた方がいいでしょう。
◎女性の年齢が35歳以上
◎35歳未満であっても、生理不順の傾向がある方
◎子宮・卵巣の手術をした経験がある方
その他に、家族(母親、姉妹)に不妊治療を受けたことがある場合にも受診した方がいいですね。
ただし、これは念のために調べるという意味合いで、先述の3つの条件が最優先です。
1人目はすぐに妊娠できたのに・・・なぜ?
ー 「2人目不妊」という言葉があるように、第一子は自然妊娠できたけれど、第二子をなかなか授かれないという悩みを抱えている当サービスの利用者は多いです。
自分は1度でも妊娠・出産ができたのだから、不妊検査を受ける必要はないと感じているようなのですが。
洞下先生:
これも年齢が影響している可能性が高いと思います。
近年、30代になってからの初産が増えていますよね。
第二子を作ろうとした時、第一子を出産した時より確実にも年を重ねているので、以前よりもカラダは妊娠しにくくなっているはずです。
実際、20代で2人目不妊に悩んでいる方は少ないです。
ただし、稀に早発閉経(早発卵巣不全)になっている可能性はあります。通常50歳前後で閉経になるところ、何らかの事情で早く閉経してしまっている状態です。
早発閉経(早発卵巣不全)になる確率は、20代で1/1,000、30代で1/100と言われています。
「30代の100人に1人が閉経!そんなに多いの!?」と驚かれたかもしれませんが、この発症率は昔から変わっていません。
昔は、20代で出産していたから30代で閉経になっても問題がなかっただけです。
ー 早く閉経してしまう理由として、どのようなことが考えられますか?
洞下先生:
ターナー症候群などの遺伝が関係している場合があります。
その他、抗がん剤や白血病の治療の影響、チョコレート嚢胞を2回以上手術した場合にも早く閉経する傾向があります。
いずれにも該当しない、原因不明ということもあります。
年齢の影響が大きいものの、それ以外にも不妊の原因はあります。
不妊治療の開始が遅れれば、妊娠率も低下することになります。子どもが欲しいと思ったら、まずは検査を受けておくと安心ですよね。
★今回のポイント★
・妊娠に大きな影響を与えるのは、年齢
・排卵がある≠妊娠ができる
・子どもが欲しいと思ったら、まずは検査を
お話を伺った先生
★取材協力★
聖マリアンナ医科大学病院
〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
TEL 044-977-8111(代表)
HP http://www.marianna-u.ac.jp/hospital/about/
< アンケート実施概要 >
対象サービス:ルナルナweb、ルナルナアプリ、体温ノート 実施期間:2017/07/14~7/17
< 不妊治療コラムに関する アンケートにご協力をお願いします >
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