【監修医インタビュー】ピル服薬支援プロジェクトを通して、女性が自らの性に誇りを持てる世の中に

多くの女性にとって身近な疾患として知られる「月経困難症」。その治療に効果的な低用量ピルの服薬をサポートするために、『ルナルナ』は「ピル服薬支援プロジェクト」をスタートさせ、プロジェクトの第1弾として2019年9月26日より「ピル(OC/LEP)モード」の提供を開始しました。
今回は、本プロジェクトの監修医であり、長年月経困難症の患者と向き合ってきた東京大学医学部附属病院 産婦人科 准教授の甲賀先生のインタビューをお届けします。

医師が語る、女性がヘルスデータを記録することの重要性

今回のピル服薬支援プロジェクトに賛同下さった理由や、期待していることを教えてください。

私は常々、女性が基礎体温などのヘルスデータを『ルナルナ』に限らず何らかの形で記録しておくことの重要性を患者さんに指導しています。

全くリテラシーがない人は、診察の際に最終月経日や痛みなどの症状を聞いても覚えておらず問診にも時間がかかるため、私の患者さんにはきちんと記録を付けさせ、月経の何日目に痛み止めをどの程度飲んだのかなども意識してもらうようにしています。
それが習慣づくことで体調の変化や傾向にも自ら気が付けるようになり、PMSなどの把握・対処にも効果的ですので、妊娠希望/避妊希望に関わらず女性にとって必要な行動だと思いますね。

医師としては、最終的にはどのような対処を行えばカラダが楽になるのを知って欲しいので、広く女性の健康を支援するためにも『ルナルナ』のようなサービスとうまく連携することは有効な手段だと思います。

「ピルモード」のここがポイント!
 医師と患者の新しい懸け橋に

今回監修頂いた「ピルモード」の特徴や、ポイントを教えてください。

患者さんの視点から考えると、「ピルモード」は、製薬企業が異なる複数の薬剤を同じアプリで記録・管理できるところが便利です。

ピルの服薬期間に応じたアドバイスが表示される「今日のひとこと」も、服薬初期などに起こりやすい副作用で悩んでいる際のサポートとなりありがたいと思います。

また、医師と患者さんが同じツールで服薬状況を確認できる点が魅力ですね。
ピルを服薬したときに生じる副作用などを記録することは大変重要ですので、我々も以前から複写式の記入シートなどを利用して医師と患者さんそれぞれが保有できるようアナログで管理していました。

ただ、患者さんによっては紙に数字だけ書く人もいれば、エクセルに症状などをきれいにまとめてくる人もいて、診察時に持参する記録の形式が異なることでとても見づらくなってしまうという課題がありました。

「ピルモード」では、皆さんが同じアプリで記録したものを、「ルナルナ メディコ」1を通して医師側のパソコンやタブレット端末などで確認できる機能がとても画期的です。
医師と患者さんが同じ形式で閲覧できる情報をもとに会話しながら診察ができるのは、患者さんの治療に関する理解の向上にも必ずつながると思います。

 

女性が自らの性を誇りに思える世の中へ

今後ピルを取り巻く環境においてどのようなことを期待していますか。

アプリの提供にとどまらず、患者さんの“モヤモヤ”を晴らせる活動ができればと考えています。

既にピルを服薬している人でも、不安に思っていることを医師に相談しきれていなかったり、服薬の継続効果をもっと知りたかったりと、“モヤモヤ”を抱えたままの人が沢山いると思います。

それを出来るだけクリアにするために、ピルをモヤモヤしながら服薬している人を集めて薬剤について説明をする場を設けたり、簡単な診察を行うイベントを開催できたりすれば理想的です。アプリとリアルな場をうまく使ってお互いを補完しながら、一方的な発信だけではなく双方向的なコミュニケーションを実現させたいですね。

また、ピルを飲んでいるということで周りからセクシャルアクティブな女性だと見られてしまうような偏見がまだまだ残っていると感じていますが、この風潮は女性が自らの性を誇りに思うことを阻んでしまうもので、医師としては非常に憤りを覚えます。

女性であるからこそ生じるカラダの症状を日常からきちんと意識し、QOLを高めるために自己管理をしている行為が「ふしだら」と思われてしまうような社会は間違っていると思うので、今回のような取り組みを世の中に知らしめることで、月経や基礎体温の管理の延長にピルの管理も抵抗なく語られるような世の中にしていきたいです。

本プロジェクトは、そのような理解の浸透のために役立つはずだと信じていますし、正しい認識を広く伝えていくことは、学術的な面も臨床現場も知る大学病院の医師としての役割だと思っています。

1:『ルナルナ』で記録した月経周期や基礎体温などの健康情報をクラウドで保存し、患者の希望の上で提携している医療機関へデータを連携開示できる医師と女性をつなぐシステム

 

この記事の監修
日本産科婦人科学会専門医  甲賀 かをり先生

 

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この記事のキュレーター

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