肩こりも憂うつもホルモンが原因!?更年期障害が起こるメカニズム

女性が避けては通れない更年期。
更年期に何らかの不調を感じる人は実に40~80%にも及ぶといわれています。更年期障害を引き起こすのは、卵巣から分泌されるホルモンの急激な低下によるもの。その原因を知り、更年期を前向きに迎えられるようにしましょう。

更年期障害はホルモン分泌の急減で起こる

生理がある女性は誰しもが、必ずいつか迎える「閉経」。

閉経とは卵巣の働きが悪くなり、生理が完全に来なくなることです。

閉経は早い人で40歳代前半、遅い人で50歳代後半、平均すると50歳ぐらいに訪れます。閉経の前後各5年間を更年期と呼びます。

閉経を迎えるころには、卵巣から分泌されている卵胞ホルモン(エストロゲン)というホルモンの分泌量が減ります。

ホルモンの急激な減少にカラダが慣れず、カラダにさまざまな不調を引き起こすのみならずココロにも大きな影響を与えます。

カラダがホルモンの減少にだんだんと慣れていくことで、症状は緩和されていきます。

この更年期に起こるさまざまなカラダとココロの不調が、日常生活に支障をきたすほどの状態を更年期障害と呼びます。

 

閉経で急減するのは女性らしさを作り出すホルモン

そもそもエストロゲン(卵胞ホルモン)とは、どんな働きをするホルモンなのでしょうか。

エストロゲンは卵巣から分泌され、血流に乗ってカラダ中に運ばれています。つまり、全身に大きな影響を与えています。

● 卵胞ホルモン(エストロゲン)の働き

・子宮頸管から頸管粘液を分泌させることで、精子が子宮内に入りやすくする

・肌や髪に潤いを与え、丸みを帯びた女性らしいカラダをつくる

・血管に弾力性を与える

・脂質代謝に作用し、血栓のもとになる悪玉コレステロールを低下させる

・骨密度を増加させ骨折しにくくする

・認知機能の維持

エストロゲンはこのようにさまざまな働きを担っているだけに、分泌量が低下するとカラダに大きな変調が訪れてしまうのです。

 

ホルモン低下で自律神経が乱れる仕組み

エストロゲンの急激な低下は、のぼせなどの自律神経失調症状も引き起こします。

人間のカラダの働きは、自分の意思でできることと自分の意思ではできないことに分けることができます。

自分の意思ではできないことに、カラダを保つためにホルモンを分泌する「内分泌系」と血管などの働きを保つ「自律神経系」という2つの系統があります。

この2つの働きはどちらも脳の視床下部という部分に中枢があり、お互い影響しあっています。

卵巣からのエストロゲン分泌が低下すると、脳がもっとホルモンを分泌するよう命令を出し、自律神経にも影響が出て、のぼせ、発汗、寒気、冷え症、動悸、胸痛、息苦しさ、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまいといった症状を引き起こします。

 

女性を取り巻く環境の変化も更年期障害の原因

更年期障害のさまざまな症状は、社会的・心理的な要因により発症することもあります。

更年期は子どもの独立やそれに伴う夫婦関係の問題の表面化、また、閉経を迎えることによる老化の自覚や女性としてのアイデンティティの喪失などさまざまな問題に直面する時期でもあります。

こういった環境の変化にホルモン低下によるカラダの不調が重なり、いろいろな症状を引き起こしてしまうのです。

 

★今回のポイント★

・更年期障害は卵胞ホルモン(エストロゲン)の急激な低下で起きる

・卵胞ホルモン(エストロゲン)の低下は自律神経にも影響がおよび、ほてり・のぼせ・動悸などが起こる

・環境の変化など、社会的・心理的な要因により発症することもある

 

 

この記事の監修 
婦人科専門医  松村 圭子先生

 

この記事のキュレーター

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