【大人の性教育】性暴力にあったときに取るべきアクション

性暴力には痴漢や盗撮、のぞき、児童ポルノ、不同意わいせつ罪、セクハラ、同意のない性行為などがあり、年齢や性別に関わらず起きています。また、それは夫婦・恋人間でも起こります。そのとき自分が性的行為を望んでいなくても、相手と対等な関係でなかったり、断れない状況にあれば、抵抗や拒否ができない場合もあります。
被害後しばらく経ってから悔しい思いをしたり、「泣き寝入りしたくない」「加害者に罪を認めさせたい」と思うことがあるかもしれません。涙が止まらなくなったり、逃げられなかった自分を責めてしまったりするかもしれません。そんなときはどうしたらいいのでしょうか。性暴力にあったときにできることや取るべき行動、相談先などについて、性犯罪被害に詳しい弁護士の上谷さくらさんにお聞きしました。

※この記事は性犯罪・性暴力に関連する言葉や、性暴力被害の内容に触れている部分があります。フラッシュバックなど症状のある方はご留意ください。

Text:Yuko Oikawa

今回は、実際に性暴力や性犯罪被害にあったときに自分の身にどんなことが起こり得るか、心と体の変化、訴え出る際に必要となる手続きや相談先などについて解説していきます。

いざ自分の身に起きたときにはすぐには行動できないかもしれませんが、事前に知識を得ておけば何らかの支援につながることができます。証拠をしっかりと残しておけるかもしれません。また身近な人が性被害にあったときに手を差し伸べられるようにもなります。早速チェックしていきましょう。

性暴力・性犯罪被害にあったらまずすべきこと

性犯罪・性暴力にあうことはとてもつらい体験です。他の犯罪に比べてPTSDを発症しやすいことや、被害者の肉体的・精神的なダメージが非常に大きいことが分かっています。被害にあったとき、いかに速やかに適切な対応やケアが受けられたかどうかで、その後の心身の回復が変わってきます。

「被害回復のためには心理的安全性が確保された環境で話を聞いてもらう(心理カウンセリングを受ける)、弁護士や警察に相談する、被害届を出すなどさまざまな方法が考えられます。専門家による治療が受けられることや相談窓口の存在を知らない人もいます。まずはワンストップ支援センターや警察など公的機関に相談してみることを勧めます」(上谷さん)

被害にあって間もないときの相談先は?

「これって性被害?」と迷ったときや誰に相談していいかわからないとき、何をしたらいいかわからないときには、ワンストップ支援センターや警察の性犯罪被害相談窓口を頼ってみましょう

「ワンストップ支援センターとは、医師による心身の治療、相談・カウンセリングなどの心理支援、捜査関連の支援、法的支援などの総合的な支援を提供してくれる機関。どんなことが必要なのかを一緒に考えてくれます。学生の方は、学校の信頼できる先生や養護教諭(保健の先生)、スクールカウンセラーに相談するのもいいでしょう」(上谷さん)

性犯罪や暴力について相談したいとき

性犯罪・性暴力に関する相談窓口「#8891(はやくワンストップ)」(通話無料)
最寄りのワンストップ支援センターにつながります。産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関とも連携。警察に相談する際の付き添い支援が受けられたり、医療機関受診や緊急避妊薬のための費用を負担してもらえたりします。

DV相談ナビ全国共通ダイヤル #8008(はれれば)」
パートナー(配偶者)からの暴力についての悩みを相談できます。電話での相談が難しい場合は、メール・チャット相談ができる「DV相談+(プラス)」も利用できます。

性犯罪被害相談電話(警察)
「#8103(ハートさん)」(通話無料)
被害届を出したいときなど、最寄りの警察の相談窓口につながります。

 

こんなことを聞かれます
・加害者との関係、犯人について
・被害にあった状況やどんなことをされたか
※女性警官を希望することもできるので、気になることは遠慮なく聞いてみましょう

妊娠や性感染症の恐れがあるとき

性暴力被害にあったことで妊娠や性感染症の恐れがある場合には医療機関へ。緊急避妊薬は性行為から72時以内に服用する薬。早く服用するほど効果が高いため、速やかに婦人科を受診して必要な検査や治療を受けましょう。性感染症の検査は女性なら婦人科、男性なら泌尿器科、または性感染症専門クリニックなどでも受けられます。また証拠として加害者の体毛や体液(精液)を採取するためには、シャワーを浴びずに受診します(または洋服・下着などをビニール袋に入れて保管しておく)。

そのほか、寝付けない、眠れない、緊張が取れない、涙が止まらない、フラッシュバックが続く、外出ができなくなる、人に会うのが怖い、食欲がない……などの状態が事件後 1カ月以上続く場合、PTSD(外傷後 ストレス障害)」の可能性があります。専門医の診察を受けましょう。

 

気持ちを吐き出したい、誰かに聞いてもらいたいときのチャットやメール相談
Cure Time(キュアタイム)
毎週月・水・土 午後5時~午後9時、チャット相談は外国語対応
※年齢、性別、セクシュアリティを問わず相談受付

できるだけ証拠を残しておく

被害の証拠は、後々に裁判を起こしたいと思ったときに、とても重要になってきます。被害を受けた直後は、裁判のことなど考えられないかもしれませんが、時間が経つにつれて加害者を訴えたい気持ちになることもよくあることです。できる限り、証拠保全に努めるようにしましょう。どんな証拠を残しておくとよいのかをまとめました。

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この記事のキュレーター

ハースト婦人画報社が運営する各メディアが取材を重ねて得たセクシュアルウェルネスに関する知見を、複数の媒体で横断的に発信するプロジェクトが「WeSAY(ウィーセイ)」です。

あらゆるジェンダー、セクシュアリティの人が、身体的、感情的、精神的、社会的にウェルビーイングな状態でいられるための情報を発信しています。


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