【大人の性教育】性感染症予防の知識、身を守るためにできること

性感染症から身を守るために、今とるべき行動とは――。性感染症の現状や予防の知識、感染したときの対処法などについて産婦人科医の伊藤加奈子先生にお聞きしました。
Text:Yuko Oikawa

予防の知識①〜コンドームはマスクと同じエチケット

コロナ禍で学んだように感染対策の基本は「持ち込まない、持ち出さない、拡げない」こと。

 

「ウイルスや細菌がいるかもしれないのに、無防備なまま性行為をしていれば感染リスクは当然高くなります。コロナ禍で感染予防のためマスクをしていた人は多かったはず。同様に性感染症予防では、コーンドームを『自分を守り相手も守る衛生用品』として活用しましょう。性器以外の部分にも病原体が存在する感染症の場合はコンドームだけでは防ぎきれないこともあります。それでも何もしないよりはリスクを下げられます」と伊藤先生。

 

感染したり感染させたりする可能性をできるだけ少なくした、より安全なセックスのことを「セーファーセックス」と言います。次の5つの項目を取り入れることでリスクを減らしていけるので、パートナーと一緒に取り組んでみて。

セーファーセックス5つのポイント

  1. 清潔にする(セックス前後にシャワーを浴びるなどして触れ合う部分を清潔に)
  2. コンドームを正しく使う(セックス の最初から最後までつけること。オーラルセックスやアナルセックスでもコンドームを使う。オーラルセックス用にはデンタルダムが販売されている)
  3. パートナーを限定する
  4. 性感染症検査を定期的に受ける(パートナーも一緒に受けておく)
  5. ワクチンが有効な性感染症はワクチンで予防する(HPVB型肝炎など)

 

注意点として、コンドームは避妊のためのアイテムでもあるため、避妊用ピルを飲んでいるときにはコンドームがなくてもいいと考えがち。でも、性感染症予防にはコンドームが必要。妊娠中のセックスについても、お互いが検査をして性感染症にかかっていないと断言できるとき以外はコンドームをつけるようにしましょう。

 

「信頼できると思っていたパートナーが性風俗などで性感染症をもらってきてしまい、うつされてしまったというケースはよくあります。夫婦であっても、妊娠を望んでいるとき以外はコンドームを使いましょう。それが当たり前のマナーになっていくといいですね」(伊藤先生)

 

予防の知識②〜こんなセックスはリスクが高い〜

性感染症の原因となるウイルスや細菌は主に精液や血液などの体液に含まれており、粘膜(口、性器、尿道、目)や傷口にそれらの病原体が付着することで感染するケースがほとんど。コンドームなしのセックスだけでなく、精液を飲む行為や顔射などは目やのどへの感染リスクが高い行為ということも認識しておきましょう。

リスクが高いのはこんなセックス

・セックスではいつもコンドームをつけない

・オラルセックスをよくしている

・不特定多数の人とセックスしている

・相手の精液や体液を飲む、口に含むなどの行為

・性風俗を利用することが多い

 

このほか性的暴行(同意のない性行為すべて)を受けた際にも性感染症のリスクが考えられ、検査を受けることが勧められます。

 

コンドームなしのセックスやオーラルセックスを強要するような相手だとしたら、性感染症に関して全くの無知か、またはあなたを大切に思っていない可能性あり。つい勢いで……ということもあり得るかもしれないけれど、自分の身体を大切に。

 

性感染症の疑いや確信があるときとるべき行動

性感染症に罹患した可能性があると考えられる場合には、症状の有無にかかわらず早めに医療機関を受診して検査を受けるようにしましょう。潜伏期間が長い性感染症の場合には、一度だけでなく再検査を行った方がよい場合もあります。

 

性感染症は放っておいても自然治癒しない

「性感染症は時間が経っても自然に治ることはありません。一時的に症状が消えたり、軽くなったりしても完治したわけではないので注意しましょう」と伊藤先生。

※WeSAYのサイトへ移動します。

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この記事のキュレーター

ハースト婦人画報社が運営する各メディアが取材を重ねて得たセクシュアルウェルネスに関する知見を、複数の媒体で横断的に発信するプロジェクトが「WeSAY(ウィーセイ)」です。

あらゆるジェンダー、セクシュアリティの人が、身体的、感情的、精神的、社会的にウェルビーイングな状態でいられるための情報を発信しています。


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