このまま不妊治療を続けていいの? 転院のタイミングと治療を諦めるとき

不妊検査・不妊治療の実態を専門家にインタビューする企画の3回目。
今回は、病院選びのポイントや転院のタイミング。そして、治療を諦める時について、聖マリアンナ医科大学 大学病院婦人科医長の洞下由記先生にお話を伺いました。

ルナルナの利用者に「妊活・不妊に関するアンケート」を実施した結果、迷いながらも不妊治療を続けている方が複数名いらっしゃることがわかりました。

そこで今回は「不妊治療中に生じる疑問や悩み」を中心に、専門家へインタビューした内容をお届けします。

1回目コラムを読む:

妊娠できるかどうかは○○次第!?いますぐ不妊検査を受けた方が良い人とは?

今や、約6組に1組のカップルが「不妊」の問題を抱えていると……

"

2回目コラムを読む:

不妊検査では何を調べる?検査に保険は適用される?気になるお金のこと

不妊検査の具体的な内容・どれくらいの費用が……

 

すでに不妊治療を開始している場合、その治療方法に疑問や不安を感じていても、なかなか転院に踏み切れないことも多いのではないでしょうか。

また、受け入れる病院側は、転院をどのように考えているのでしょうか。

不妊治療の第一線で活躍なさっている、聖マリアンナ医科大学 大学病院婦人科医長の洞下由記先生に伺ってみました。

すると、意外な回答が…

 

ー 不妊治療が長期にわたると、不安と不満が募ってきます。どのような場合に転院を考えた方が良いのでしょうか。

 

洞下先生:
半年〜1年以上同じ治療を続けているようなら、転院を考えても良いと思います。

まず、今の治療方針に疑問を感じたら、先生に理由を聞いてみましょう。

その理由に、自分が納得できるかどうかがとても大切です。

 

転院に至らなくても、セカンドオピニオンは重要ですよ。

セカンドオピニオンを嫌がるような先生なら、やめた方が良いとも言えます。

 

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ー 転院先を選ぶ際は、何を重視したらいいでしょうか?
また、転院すると治療がゼロからのスタートになってしまうのではないか、という不安もあります。

 

洞下先生:
転院先を選ぶ際は、体外受精の経験まである先生がいる病院・クリニックを選ぶようにするといいと思います。

紹介状には、検査や今までの治療経過を記載してもらえるので、ゼロからのスタートになることはないですよ。次のステップに進めます。

 

ー 今までお世話になった先生に、転院を申し出るのはちょっと勇気が必要です。紹介状を書くことも嫌がられそうですし。

 

洞下先生:
紹介状を書くことを嫌がる先生は少ないと思いますよ。

もし、先生に直接言いにくい場合には、看護師さんにお願いしましょう。

それでもダメなら、受付に相談するといいと思います。受付の方が先生に伝えてくれますので。

 

ー なるほど。看護師さんや受付の方であれば、お願いしやすいですね。

続いて、病院の選び方を教えてください。
不妊治療を受けられる場所として、個人経営の産婦人科、不妊専門クリニック、総合病院、大学病院などがあります。それは、どのような基準で選んだらいいのでしょうか?

 

洞下先生:
ブライダルチェックなどは、個人の産婦人科で十分です。年齢も若く、生理に関する悩みや婦人科疾患を抱えていない方も。

35歳以上、生理不順の場合には、不妊専門クリニックが良いでしょう。

総合病院や大学病院は、不妊専門クリニックからの紹介で通うことが多いですね。

基本的には、交通の便や個人の好みで良いと思います。

費用面で考えると、個人病院や不妊専門クリニックよりも、総合病院や大学病院の方が費用は安い傾向にあります。

ただ、個人病院や専門クリニックのメリットもありますよ。

栄養指導やカウンセリングなど、診察以外のサポートが充実していることが多いです。

 

ー 病院やクリニックで、受け入れを断られる場合はないのでしょうか?

 

洞下先生:
不妊専門クリニックでは、高血圧や糖尿病の方は、断られる場合があります。

それ以外にも何らかの病気を抱えている人は、まずは、主治医に妊娠への影響について確認するようにしましょう。

治療中の場合、すぐに不妊治療を行うことが難しい場合もありますので。

 

ー 最後に、とても悩ましい問題として「いつ不妊治療を終わりにするか」ということがあります。

女性は身体的にも精神的にも、とても大きな負担を抱えながら治療を続けています。時間もお金もかかっていますし、あと1回挑戦したら、次こそ妊娠するのでは?という希望を捨てきれないのではないかと。

 

洞下先生:
病院によって異なりますが、当院では不妊治療を実施するのは48歳未満(48歳の誕生日の前日まで)となっています。

この年齢制限は、周産期のリスクを考慮して設けられたものです。

 

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不妊治療には、子ども1人あたり300400万のお金がかかると言われています。

でも、病院での治療だけではなく、自分でできることもありますよ。

本屋さんに行くと、妊活本がたくさん並んでいますよね。

冷え改善、妊活レシピなんでもいいので、1冊買って、取り組んでみてはどうでしょうか?

ヨガ、鍼灸、マッサージ、アロマ…自分自身が満足するまで色々と試してみたらいいと思います。

 

ストレスは妊娠にも、妊娠後の胎児の成長にも影響します。

ストレスが溜まるほど頑張る必要はありませんが、何か1つでも「自分はやりきった!」と思えたなら、治療を諦めることも前向きに考えられるようになるのではないでしょうか。

 

3回にわたり不妊検査・不妊治療についてご紹介しましたが、いかがでしたか?

終始笑顔で、時折ペンを走らせながらわかりやすく説明してくださった、聖マリアンナ医科大学病院の洞下 由記先生。ご協力ありがとうございました!

 

50代で妊娠・出産」など高齢出産に関するニュースを目にすると、「自分もまだ大丈夫かもしれない」とポジティブに考えてしまいがちですよね。

しかし、現実はそんなに甘くないということを今回の取材を通して痛感しました。

 

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出典:日本産婦人科学 ARTデータブック

 

このグラフが示すように、妊娠できるかどうかは時間との戦いです。

子どもが欲しいと思うのなら、すぐに不妊検査を受けに行きましょう。

すでに治療を開始していて、今の治療法に納得ができないのであれば、先生と話し合ってみましょう。

それでもダメなら、転院も視野に入れてみてくださいね。

 

★今回のポイント★

・半年〜1年以上同じ治療を続けているようなら、転院も検討しよう

・不妊や不育症に影響するため、ストレスを溜めないように

・自分で納得できる、妊活を!

 

 

 < アンケート実施概要 > 
対象サービス:ルナルナweb、ルナルナアプリ、体温ノート  実施期間:2017/07/147/17

 

お話を伺った先生

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★取材協力★

聖マリアンナ医科大学病院
216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
TEL 044-977-8111
(代表)
HP http://www.marianna-u.ac.jp/hospital/about/

 

 

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今後も不妊治療に関するコラムの掲載を予定しています。ぜひ、下記アンケートにご協力ください!

< 不妊治療コラムに関する アンケートはコチラから >  

 

この記事のキュレーター

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