カラダの周期・体調の変化を教えてくれる「おりもの」

なんとなく人には話しづらい「おりもの」の悩み。
体調の変化や病気を教えてくれる大事なサインである「おりもの」と上手に付き合うコツを紹介します。

「おりもの」ってなに?

おりものとは、子宮や腟からの分泌物や古い細胞、皮脂腺や汗腺からの分泌液などが混ざったものです。

においや下着の汚れなど、おりものに対してマイナスイメージばかりを連想する女性も多いようですが、おりものは女性のカラダを守るために必要なもの。

また、おりものは女性ホルモンの影響によって月経周期に合わせて状態が変化するため、ホルモン分泌が活発に行われているか、すなわち卵巣がちゃんと働いてくれているかどうかのバロメータにもなるのです。

「おりもの」の大切な役割とは?

おりものには、2つの働きがあります。

① 膣内を清潔に保つ

細菌が腟から子宮へと侵入するのを防ぐ「自浄作用」があります。

② 受精の手助けをする

排卵期のおりものは透明で糸を引くような状態に変化し、精子がスムーズに子宮内に到達するための手助けをします。

「おりもの」のにおいの原因は?

おりもののにおいを気にする人は多いようですが、本来、腟の中にはデーデルライン桿菌(かんきん)という善玉菌が、乳酸を産生して腟内の酸度を高めて悪玉菌が住みにくい環境にしているため、おりものはやや酸味のある酸っぱいにおいがします。

また、おりものが外陰部に長時間とどまっていると、細菌や空気に触れることで、多少黄色っぽくなったり、においが強くなってくることもあります。

「おりもの」が変化するのはなぜ?

女性ホルモンの影響によって、周期的に量や状態が変わります。

 おりものの“変化”には大きくこんなパターンがあります。

 

・キラキラ期(卵胞期)
 量は最も少なく、サラッとしている

・排卵期
 量が最も多くなり、透明で糸をひく

・まったり期(黄体期前期)
 量は減少し、ドロッとした粘り気のある黄白色

・もやもや期(黄体期後期)
 再び量が増え、においが強くなることも

 

また、年齢によっても量が変わっていきます。

初潮を迎える頃から徐々に量が増え、女性ホルモンがピークを迎えて安定している2030代は最も多くなります。

妊娠中も、細菌から胎児を守るためにおりものが増えます。

そして、40代以降、女性ホルモンの分泌が減少するとともに量も減り、閉経後はほとんど出なくなって腟が乾いてきます。

私の「おりもの」は正常?異常?

おりものを気にする女性は多いようですが、においや量は個人差が大きいもの。

普段の自分のおりものの状態をよく観察し、自分の「正常パターン」を把握しておくようにしましょう。

そして、おりものが今までと違って急に増えたり、色やにおいに明らかな変化があるなどの異変を感じたら、婦人科を受診して検査を受けましょう。

こんな「おりもの」に要注意!

おりものの量が今までと違って急に増えたり、においや色に明らかな変化があった場合は、性感染症など何らかの病気の可能性があります。

・カンジダ腟外陰炎
 酒かす状のぽろぽろしたおりもの。外陰部にかゆみを伴う

・トリコモナス腟炎
 黄色~緑がかった泡状のおりもの。悪臭をともなうことも

・淋病
 黄色っぽい膿状のおりもの

・クラミジア
 黄色~水っぽいおりもの

また、疲れやストレスなどで体の免疫力が低下すると、腟の自浄作用が低下して細菌が増え、炎症を起こしておりものが黄色~灰白色になることがあります(細菌性腟症)

 自分のおりものの変化のパターンを知ることは、カラダの周期を知る目安になるとともに、異変があったときに早く気づくことにつながります。おりものからのサインを見逃さないようにしましょう。

「おりもの」はカラダからの大切なサイン

おりものについて知ることは、女性としてのカラダの変化を知ることにつながります。

毎月のおりものの周期的な変化をチェックすると同時に、毎朝基礎体温をつけるようにすると、カラダとココロの状態をより詳しく把握できるようになります。

おりものに関する正しい知識と自分のおりものの周期的な変化を把握しておけば、不安を感じることも少なくなるのではないでしょうか。

 

★今回のポイント★

・おりものには、2つの大切な働きがある

・生理周期に合わせて、おりものの量・色が変化する

・いつもと違うおりものの場合は病気の可能性が。早めに病院へ!

 

 

この記事の監修
婦人科専門医  松村 圭子先生

 

この記事のキュレーター

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