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妊娠するまでのストーリー「夫婦で治療すること」ストレスにもモチベーションにも【不妊治療・体験談】
イラスト/タカヤママキコ
妊娠・出産が成就するまでの間、不妊治療を通して、心も体もたくさんの経験をすることになります。
治療の流れはわかっても、実際にどんな気持ちの揺れが起こるのでしょう。経験者しかわからない先輩たちの声を集めました。
今回は「夫婦で治療すること」不妊治療体験談をご紹介します。
※各体験談は『たまごクラブ』読者を対象とした不妊治療に関するwebアンケートから。2023年6月実施。
※各体験談の★はアンケート回答当時の年齢で、妊娠に至った治療名を表示しています。
「不妊治療を始めてから妊娠するまでの体験ストーリー」 #3
※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2023-2024」
ストレスにもモチベーションにも。「夫婦で治療すること」
治療は夫婦で、が基本。たしかに2人で赤ちゃんが欲しいと思って始めた不妊治療のはずなのに、息が合えばモチベーションは維持できるけど、気持ちが合わないとストレスにもなります。
治療中の夫婦の機微を聞いてみましょう。
男性不妊でも治療に通うのは女性。負担が大きくつらいのに、夫には愚痴を言えない葛藤が…
★現在の年齢:29歳
★治療内容:人工授精
はじめは自分たちなりの妊活をしていたけれど妊娠せず、初めて不妊治療クリニックで検査を受けたのは結婚して1年たったときでした。検査してすぐに男性不妊がわかり、人工授精で赤ちゃんを授かったのですが、男性不妊でも、結局通院したり排卵誘発のために薬を飲んだり注射を打ったりして、負担が大きいのは女性なんだということがつらかったです。それでも、子どもができないつらさや治療の大変さの愚痴を夫に吐き出すことは、夫を傷つけてしまうと思ったからできませんでした。不妊治療を経験して妊娠した友人たちの話を励みにしてなんとか頑張ったというのが正直なところです。
【経過】
◇24歳:妊活開始。
◇25歳:不妊治療クリニック初受診。検査で男性不妊とわかり、人工授精2回目で妊娠。
夫の優柔不断さに腹が立ち、1人で飲んでストレス発散したことも
★現在の年齢:36歳
★治療内容:顕微授精
赤ちゃんが欲しかったので夫婦そろって検査すると男性不妊がわかりました。タイミング法では妊娠の可能性が低いことがわかり、1回目の人工授精でうまくいかなかったあと、すぐに顕微授精にステップアップ。あっという間の1年ちょっとでした。夫ははじめから検査にも一緒に行ってくれたし、男性不妊とわかってからはより積極的に、また気遣いをしてくれるようになりました。それでも、ステップアップの方針を決めなければいけないのに夫が優柔不断なときや、仕事で疲れていて真剣に話を聞いてくれなくてムシャクシャしたときも。そんなときは、妊娠したらできなくなる1人飲みをして、ストレス発散していました!
【経過】
◇33歳:不妊治療クリニック初受診。検査しつつ、タイミング法を開始してすぐに男性不妊がわかる。
◇34歳:人工授精1回ののち、3回目の顕微授精で妊娠。
治療は私が中心。でも協力をめんどくさがる素振りも見せなかった夫がパパになる姿を見たかった!
★現在の年齢:34歳
★治療内容:顕微授精
人工授精を3回経験したあとに卵管鏡下卵管形成術(FT)を受け、再度トライしても妊娠しなくて、体外受精のために採卵し、顕微授精を2回トライ。そのとき医師から、着床障害があるかもしれないといわれ、不妊治療専門の鍼灸院に通い始めました。鍼灸院の先生のアドバイスの下、食事やセルフマッサージなど日常生活を変え、先生がそろそろトライしてもいいかもと言ったときに、3回目の顕微授精で双子を妊娠できました。不妊治療を開始してからは、病院に通いやすいように仕事も派遣社員に転職しました。夫には、義務的にタイミング法をお願いすることや、体外受精のために採精をしてくれるように言うのが申し訳なかったし、悲しかったです。それでも、嫌がったりめんどくさがったりといった素振りがなかったことには救われていました。何度も失敗が続くと、女としての自信もなくすし、お金も気持ちもすり減っていく一方。でも、夫が「子どもがすべてではないよ。子どもがいなかったらその分旅行や自分たちに使えるお金も多くなるんじゃない?」と言ってくれて、私には救われる言葉でした。頑張ってダメならダメでも大丈夫、それでも夫がパパになる姿を見たくて頑張りました。
【経過】
◇28歳:がん検診で妊娠しにくいかもといわれる。
◇30歳:不妊治療を本格的に開始。タイミング法。
◇31歳:人工授精を3回、卵管鏡下卵管形成術を受ける。
◇32歳:手術後、再度人工授精、体外受精のために採卵。
◇33歳:顕微授精を2回。
◇34歳:顕微授精3回目で妊娠。
時間も体力もお金も自分ばかりが背負い込み、それでも子どもが欲しい一心だった
★現在の年齢:29歳
★治療内容:排卵誘発・タイミング法
夫とは事情があって別々に暮らしていて、さらに夜勤など不規則勤務もあり、タイミング法とはいえ、かなりの労力が必要でした。片道1時間以上かけて病院と夫のところを何度も行き来して、とくに夜勤明けの時は仕事の疲れもあり、夫との行為そのものも苦痛でした。とにかくつらかったのは、夫とこの苦労を共有できなかったこと。夫は病院に行きたがらず、いくら声を掛けても結局1度も行かなかったばかりでなく、治療費はすべて私が払い、排卵誘発剤の痛みや仕事との両立も含めて自分ばかりが苦労を背負い込みました。それでも、子どもが欲しい一心でなんとか乗り越えられたのだと思います。
【経過】
◇27歳:不妊治療クリニック初受診、検査。
◇28歳:排卵誘発剤使用のタイミング法で妊娠。
2人で検査を受けて安心することもある
夫婦2人で不妊治療の検査がきっかけで病気が見つかった人も。
その治療や、その後の不妊治療について話してもらいました。
自分たちの体がわかるって大事。月経が不順、病院でタイミングを指示してもらえてよかった
★現在の年齢:29歳
★治療内容:タイミング法
はじめは産婦人科を受診して、妊娠しやすい体づくりのために漢方を処方してもらいましたが妊娠できず、不妊治療の専門病院への紹介状を書いてもらい転院。そこでやっと夫婦そろって検査を受けました。ここで2人とも体に問題はないことがわかって安心でき、妊活への不安が少しやわらぎました。月経不順で、自分の排卵日もよくわからないような状態だったので、病院でタイミングを指示してもらえたおかげで妊娠できました。指示がなければ妊娠はもっと遅かったと思います。
【経過】
◇27歳:初めて産婦人科を受診。
◇27歳:妊娠できず不妊専門の病院の紹介状をもらい通院開始。検査開始。
◇27歳:検査では夫婦ともに問題なく、タイミング法を試す。
◇28歳:タイミング法2回目で妊娠。
不妊の原因を早く取り除きたくて卵管鏡下卵管形成術(FT)を受けてしてよかった!
★現在の年齢:34歳
★治療内容:タイミング法
検査をしながらタイミング法にトライしましたが、なかなか妊娠しませんでした。2人で検査を進めるうちに、卵管に問題があることがわかり、赤ちゃんができない原因を早く取り除きたくて卵管鏡下卵管形成術を受ける決意をしたのが治療2年目。覚悟をしてから自分自身を責めたりストレスも感じたりしなくなったからか、術後のタイミング法で妊娠できました。通っていた病院は妊娠中の人と受付や会計が共通だったので、通院するたびに悲しい気持ちになりました。また、待合室も重苦しい雰囲気で、通院が重荷になっていた時期があります。それでも治療の結果、子どもを授かることができたことはとてもよかったです。
【経過】
◇28歳:不妊治療クリニック初受診、検査開始。
◇29歳:タイミング法を試みるが妊娠せず。
◇29歳:卵管鏡下卵管形成術(FT)を受け、術後タイミング法2回目で妊娠。
クラミジアは不妊の原因になることを知って、前向きに治療を受けたらすぐ妊娠
★現在の年齢:33歳
★治療内容:タイミング法
赤ちゃんが欲しくて、はじめは1人で婦人科を受診。血液検査をして基礎体温をつけ始め、タイミング法をスタートしたところで、検査結果からクラミジアが不妊の原因になり得ることがわかりました。結局、夫の検査まではしませんでしたが、検査を機に夫とじっくり話し合えたことはよかったと思っています。クラミジアは薬の服用ですぐに治療でき、その後すぐにタイミング法で妊娠。通院が仕事に影響するほどのことはなかったけれど、職場には不妊治療を始めたことは伝えてあったので、その後産休に入る可能性もわかってもらえたことはよかったのかもと思います。
【経過】
◇32歳:婦人科を受診、検査。タイミング法を開始。クラミジアの治療後、妊娠。
卵管造影検査後に妊娠するという噂は本当だった! 検査してよかった
★現在の年齢:30歳
★治療内容:タイミング法
もともと、子どもが欲しいと夫婦で強く願っていました。毎月妊娠検査薬を使っては陰性だったときに、「もしかしたら妊娠できないかもしれない」という漠然とした不安があったからか、夫も検査は積極的に受けてくれました。卵管造影検査や精子の検査を受けて問題ないことがわかり、気持ちが落ち着いたことが何よりよかったです。卵管造影検査は受けるだけで妊娠率が上がると聞いていましたが、本当に直後のタイミングで妊娠しました! 2人で検査を受けることは大事です。
【経過】
◇29歳:初めて婦人科を受診、タイミング法開始。
◇29歳:卵管造影検査後のタイミングで妊娠。
夫婦ともに原因がないのに薬を使うことに抵抗があって、治療を休んだら妊娠
★現在の年齢:35歳
★治療内容:排卵誘発→自然妊娠
夫も私も決して若くはなかったので、結婚して早めに治療にとりかかりました。タイミング法を2回試しましたが妊娠せず。その後、生理がなかなかこなくなったため、排卵誘発剤を使用することに。生理がこなくなるのは、自分にかなりのストレスがかかっているときだったから、治療にストレスを感じているのだと認識しました。卵管造影検査を受けたあと3回は妊娠しやすいと聞いたので、その3回分は排卵誘発剤を使用するのは納得できました。でも、検査して夫婦ともに不妊の原因はなかったのに、無理やり薬で排卵させることに抵抗感があり、治療を一旦休むことに。その2ヶ月後に自然妊娠したので、やはりストレスは影響するんだと思っています。
【経過】
◇33歳:不妊治療クリニック初受診。卵管造影、排卵誘発剤を使用してタイミング法。治療を2ヶ月休んだあと自然妊娠。
原因がわかったら、あせると同時にどうしても子どもが欲しいという気持ちを再認識
★現在の年齢:31歳
★治療内容:タイミング法
理由はないけれど、妊娠できないかもしれないと漠然と感じていたので受診。検査でAMH値が低いと判明したときに、急に現実的になりました。あせると同時に、どうしても子どもが欲しい!という気持ちを再認識したことが不妊治療を始めるきっかけになったのです。夫は、男性側にも原因がある可能性を事前に理解していたので、検査の段階から協力的でした。始める前は「ある程度やってダメだったら諦めたらいい」と思っていたみたいですが、私が検査結果に落ち込んでいる様子を見て、「気の済むまで治療しよう」と言ってくれるようになりました。
【経過】
◇29歳:不妊治療クリニック初受診。検査でAMH値が低いことが判明、タイミング法3回目で妊娠。
■イラスト/タカヤママキコ
■構成・文/関川香織(K2U)
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