山﨑夕貴さん 妊活振り返りインタビュー「夫はどんなことがあっても私を支えてくれると思えた」

妊娠発表後に、実は不妊治療をしていたことを公表したフジテレビアナウンサーの山﨑夕貴さん。

「不妊治療について堂々と言えない雰囲気がなくなれば」と、自身の経験を発信することを決意したといいます。約5年間にわたる不妊治療の経緯や当時の想い、今だから話せる苦悩や葛藤を率直に語っていただきました。

山﨑夕貴さんの妊活振り返りインタビュー。
今回お届けする<後編>では、夫のお笑い芸人・おばたのお兄さんとのお話しや、また最も大変だったという「仕事と不妊治療の両立」について、当時のお話しを妊活たまごクラブがお聞きしました。

妊活振り返りインタビュー・山﨑夕貴さん #2
※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2023-2024」

口出しせず見守るだけ。そんな夫に感謝

長い道のりとなった妊活期間、心の支えになったのは夫の存在。

「夫は楽観主義で、どんなときも『大丈夫だよ』と言って支えてくれました。私は心配性でネガティブ思考なので、『根拠ないな?』なんて思いながらも、そういう夫で助かった部分が大きかったと感じます。それに、私が不妊治療について詳しく話さないまま治療を進めていったのに、夫は常に私の選択を見守り、応援してくれました」

口出しせずに見守るだけという夫のスタンスが、山﨑さんの性分に合っていたよう。

超ネガティブな私と、超ポジティブな夫。「大丈夫だよ」と寄り添ってくれたことで自分のペースで妊活ができ、夫への信頼感も増しました

「もっと不妊治療に参加してほしい、全部の情報を共有したいというタイプのご夫婦もいると思いますが、私は自分がやりたいようにやりたかったし、私の選択を全面的に尊重してほしかった。夫と妻、どちらがより不妊治療を頑張るかはわからないけれど、私は頑張るほうの選択に寄り添うカタチがいいと思っていて、夫は実際そうしてくれました。『この日、病院に行ってほしい』とお願いすると、嫌な顔もせず、できる限り仕事の都合をつけて協力してくれたので、私にとってはありがたかったです」

子ども好きな夫に自分の子どもを抱かせてあげたい、子どもができなかったら悲しむだろうな、もしかしたら離婚されちゃうかも…。思うように治療が進まず、あせりや不安に押しつぶされそうだった山﨑さんの心をほぐしたのもまた、夫の言葉でした。

「ネガティブになって自分を責めてしまう私に夫は、私の体がいちばん、私がいてくれることがいちばん、と繰り返し伝えてくれました。何度も『もしかしたら妊娠できないかもしれない。どうしよう』と思いましたが、夫のおかげで授かれなかったときの幸せにも目を向けることができるようになったし、夫と2人の生活でもいいと思えるくらい夫への信頼感も増しました。『夫はどんなことがあっても私を支えてくれる』と思えた、何ものにも代えがたい時間だったと思います」

みんなが知りたいことを今度は私が教える番

一方で、最も大変だったのは「仕事と不妊治療の両立」と振り返ります。

「上司には治療のことを打ち明けて相談していましたが、実際に仕事を代行してくれるのは後輩たち。みんな『大丈夫です』と言ってくれましたが、どうしても『本当だろうか』『心の中では面倒くさいと思われているんじゃないか』と疑心暗鬼に。私、本当にマイナス思考なんです(笑)。嫌味を言う人なんて1人もいないのに、常に申し訳ない気持ちを抱えていました」

どうしても代行が利かない仕事のときは、罪悪感もMAXに。

「私のせいで前日に全スタッフのスケジュールを変えてしまうことも。それが心苦しすぎて、今月は治療を諦めようかと思ったこともありました。でも、翌月だって治療できるとは限りません。『来月はもっと仕事が大変かもしれない』『治療を続けるうちは罪悪感を持つのも仕方がない』と自分に言い聞かせ、勇気を出して『明日休ませてください』とお願いしました」

仕事なら頑張れば目に見える成果が出せるけれど、不妊治療はどれだけ頑張っても成果に繋がるとは限らないし、終わりも見えない。悩んだ末、治療を優先するために仕事をやめてしまう人もいるのが現状です。

もし授かれなかったとしても私には仕事がある。それが心の支えになりました

「やめたくなる気持ちもよくわかります。治療のたびに罪悪感に苛まれると、『仕事をやめればこの気持ちから解放されるんじゃないか』と思っちゃいますから。でも、仕事をやめたらまた違う苦しさが生まれるはず。経済的な不安に襲われるかもしれないし、『妊活、妊活』と追い詰められる気もするし…。 私の場合は、仕事と治療の両立に会社が理解を示してくれたので、仕事中は妊活のことを考えずに済みました。『もし子どもができなくても、仕事をしながら夫と生活できれば』と思える場所があったことが心の支えにもなりました」

妊娠発表後に不妊治療の経験を公表すると、周囲からは大きな反響が。

「後輩やスタッフの女性から『クリニックはどうやって選べばいい?』『検査ってどんな感じ?』などと聞かれることが増えました。私も最初はまったく知らなくて、先輩から教えてもらったんです。『採卵方法も1個ずつ採るところと一気にたくさん採るところがあるから、自分のスタイルに合うところを選んだほうがいいよ』って。そういうことを教えてもらってすごく助かったので、今度は私が教える番だと思っています」

自分が持っている情報と、経験から感じたことを周囲とシェアし始めました。

「私は『家から近いところがいいよ』ともアドバイスしています。不妊治療はクリニックに通う頻度が高い。遠いと通院が大きなストレスになるので、通いやすいところがいいと思います。仕事をしているかたなら、待ち時間が比較的短いことも重要かも」

山﨑さんのアドバイスに、「それが知りたかった」という声も。妊活では情報収集も大切なポイントです。

「私の場合は周囲に妊活していることを話したことで、情報がたくさん集まってきました。妊活は恥ずかしいことではないし、自分がよりよい選択をするために人に相談したり、いろんな人の意見を聞いたりすることも大事だと思います。情報がたくさんあれば取捨選択できますから」

●山﨑夕貴(やまさき ゆき) Profile

山﨑夕貴

1987年、岡山県生まれ。岡山大学経済学部卒業。2010年、フジテレビに入社し、アナウンサーに。「めざましテレビ」「ノンストップ!」「情報プレゼンターとくダネ!」などの情報番組でキャスターを務め、明るいキャラクターで人気を集める。18年、お笑い芸人のおばたのお兄さんと結婚。2023年3月、自身がキャスターを務める番組「Mr.サンデー」にて第1子妊娠を報告。

●撮影/Hananojyo
●スタイリスト/奥崎千裕
●構成・文/本木頼子
※インタビューは2023年6月14日に行いました。

※記事掲載の内容は2023年8月25日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。

▼『妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2023-2024』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

この記事のキュレーター

妊娠・出産・育児の総合ブランド「たまひよ」。雑誌『妊活たまごクラブ』『たまごクラブ』『ひよこクラブ』を中心に、妊活・妊娠・出産・育児における情報・サービスを幅広く提供しています。

公式サイトはコチラ

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ルナルナの最新情報をお届けします