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不妊治療は「保険適用」に!不妊治療にはどのくらいお金がかかるの?
妊活をしているのになかなか妊娠しない、もしかして不妊症? でも不妊治療ってどんなことをするのかわからなくて不安……。
大丈夫です。不妊治療はいきなり難しいことをするわけではありません。自分の体を知ることから!と思って、スタートしましょう。
今回は、保険適用で、不妊治療にはどのくらいお金がかかるのかについて、齊藤英和先生に詳しく解説していただきました。
「妊活を始めたけれど……、そろそろ専門クリニックへ!? 受診する前に知っておきたい不妊治療スタートガイド」 #6
※参考:「妊活たまごクラブ 2023-2024年版」
保険適用で、不妊治療にはどのくらいお金がかかるの?
治療費は全額自己負担から、3割負担に軽減されました!!
2022年4月1日から、それまで全額自費負担だった不妊治療の費用が3割負担の保険適用となりました。ここでいう「不妊治療」は、一般不妊治療のタイミング法、人工授精、生殖補助医療である採卵、採精、体外受精・顕微授精、胚培養、胚移植です。そして、以前は女性だけで治療をスタートするケースもありましたが、保険適用で不妊治療を行う条件として、パートナーと2人で最初に受診する必要があります。制度としても、不妊治療は2人で取り組むものと認められたことになります。
まだ保険適用になって1年、これから整備されていく部分もありますが、不妊治療をスタートするハードルは一つ下がったといえるでしょう。
保険が適用される不妊治療
■一般不妊治療:タイミング法、人工授精
■生殖補助医療:採卵、採精、体外受精・顕微授精、胚培養、胚移植
<ただし注意すべきは…>
●保険診療と自費診療の併用はできません
日本の医療では保険診療と自費診療を併用した混合診療は原則禁止。このため、一部でも自費診療対象の薬剤や治療法を行う場合、全額が自費診療となります。自分が受けたい治療が保険適用かどうかをクリニックで確認して、パートナーとよく話し合いましょう。
●保険診療と併用できる「先進医療」(自費)もあります。
先進医療として承認された検査や治療については、保険診療と併用できます。現在、先進医療として認められているのは胚移植とセットで行う「タイムラプス」や「SEET法」「子宮内フローラ検査」、「ERA(子宮内膜受容能検査)」などです。
●治療の年齢と回数には制限があります
胚移植を受ける女性には、治療開始時点で43才未満であることという年齢制限があり、胚移植にも回数の制限があります。
【胚移植の回数制限】
◇初めての治療開始時点の女性の年齢が40歳未満:回数の上限は通算6回まで(1子ごと)
◇初めての治療開始時点の女性の年齢が40歳未満:40歳以上43歳未満:回数の上限は通算3回まで(1子ごと)
不妊治療にかかる費用の具体的な例
月経開始から採卵までにかかる費用の典型的な例です。実際には個々の卵巣機能の状態や卵胞の発育状況によってかかる費用も変わります。
[参考]梅ヶ丘産婦科の保険適用価格表より
PPOS法(卵巣刺激法)
【自己注射の場合】
ヒスロン錠(20錠) 370円
ゴナールFペン(9日分) 14,380円
超音波検査+再診料(3日分) 5,110円
合計 19,860円
【通院注射の場合】
ヒスロン錠(20錠) 370円
排卵誘発剤の注射(9日分) 9,800円
超音波検査+再診料(3日分) 5,110円
合計 15,280円
クロミッド法
【自己注射の場合】
クロミッド錠(10錠) 490円
ゴナールFペン(4日分) 7,090円
ガニレスト(2日分) 5,470円
超音波検査+再診料(1〜2日分) 3,460円
合計 16,510円
【通院注射の場合】
クロミッド錠(10錠) 490円
排卵誘発剤の注射(4日分) 4,100円
ガニレスト(2日分) 5,470円
超音波検査+再診料(1〜2日分) 3,460円
合計 13,520円
治療費で損しないために覚えておきたい制度
●医療費控除
不妊治療を含めた医療費が年間10万円以上になると、医療費控除を受ける対象となります。確定申告をすることで、還付金を受け取ることができます。
●還付される金額の計算方法
【実際に支払った医療費-保険金など】
10万円(※1)×所得税率(※2)=還付金
※1 該当年の総所得金額等が200万円未満の世帯は総所得金額等の5%。
※2 所得税率は課税所得により異なります。
※1、※2とも、詳細は最寄りの税務署などに相談を。
●高額療養費制度
医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度。上限額は、年齢や所得に応じて定められ、69歳以下の場合は世帯年収によって5つの区分があります。いくつかの条件によりさらに負担を軽減するしくみもあります。高額療養費制度を利用するには、加入している医療保険での申請が必要です。
限度額適用認定証
加入している医療保険に申請すると限度額適用認定証が発行され、医療機関に提示すると、高額療養費制度による1ヶ月の上限額以上は窓口で支払いが免除されます。
■監修
■イラスト/牛久保雅美
■取材・文/関川香織
※記事掲載の内容は2023年2月25日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。
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