【不妊治療】振り返り体験談・どう乗り越えた?「まわりの状況のモヤモヤ」

※写真はイメージです
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不妊治療は、ゴールに向けてただ前にだけ進むものではありません。
迷う、立ち止まる、振り返る、再始動する、そんなときが幾度となく訪れます。
不妊治療の体験談には、それぞれが乗り越えた心の葛藤がありました。
今回は「まわりの状況のモヤモヤ」不妊治療体験談をご紹介します。

※治療歴で「初受診」とあるのは、不妊治療クリニックを初めて受診したときのことです。
※各体験談は『たまごクラブ』読者に聞いた不妊治療に関するwebアンケートから。2022年6月実施。

「こんなの私だけ?…ではありません 不妊治療する心の葛藤STORY」 #2
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023」

 

まわりの状況のモヤモヤ

夫や家族、仕事など、自分の努力だけではどうにもならないまわりとの関係性による心の葛藤もあります。
みんなはどんな思いを抱えていたのでしょうか。

【パートナーとの関係が変容する】夫は問題なし。なおさら自分1人で闘っている感じがした

★現在の年齢:38歳
★治療内容:体外受精

夫は、検査までは協力的でした。精液検査の結果もよかったので、治療自体は行っていませんでした。でも、私の検査の話を詳しく話しても興味がない様子なのがとても悲しかったし、とにかく1人で闘っている感じがしました。
職場には言いたくはなかったけれど、協力してもらうためには同僚に治療のことを話さざるを得ず、とても情けない思いでした。妊娠できたのはうれしいけれど、どこにいても1人で頑張る治療期間でした。

【治療歴】

◇31歳:婦人科を受診、タイミング法で半年通院。
◇32歳:不妊クリニックへ転院。タイミング法。
◇33歳:人工授精5回。
◇34~35歳:初めての体外受精。
◇36歳:国内で有名な不妊クリニックへ転院。
◇37歳:体外受精1回目で妊娠。

【パートナーとの関係が変容する】協力的だけれど同じ熱量で考えてくれない夫がつらかった

★現在の年齢:32歳
★治療内容:タイミング法

私は仕事を休んでまで通院して、痛い注射をして薬を飲んで、少しでも妊娠しやすくなるように食べ物や生活全般に気をつける生活。それなのに、夫は私の治療開始前と何も変わらず、ずっと同じ食生活。タイミングは言えばいつでもOKしてくれたけれど、妊娠させるための体としての努力は全くありませんでした。
治療そのものよりも、夫が同じ熱量で考えてくれないのが本当につらかったです。同じように治療を頑張っている人の投稿をSNSで見るのが励みでした。

【治療歴】

◇31歳:自己流で妊活していたが、初受診。排卵誘発とタイミング法5回目で妊娠。

【パートナーとの関係が変容する】子どもができなければ、2人でやっていこう!と話していた

★現在の年齢:39歳
★治療内容:体外受精

夫には問題がなさそうだったので、自分のせいで妊娠できないんだと、自分を責めたりしていました。そんなときに、夫も一緒につらさを背負ってくれたし、私のせいじゃないと全力でフォローしてくれました。後悔はしたくなくて、できることをしておけば、もしダメでも後悔しないと思って、できる限りの治療をしました。
そして、「子どもがいなくても夫婦2人仲よくやっていければいいよね」と2人で話し合っていたときに、妊娠できました! ステップアップで迷ったり転院したりもしましたが、夫婦の絆が強まったと思っています。

【治療歴】

◇35歳:初受診。タイミング法。
◇36歳:体外受精に進むがうまくいかず転院。転院してすぐに体外受精で妊娠。

【パートナーとの関係が変容する】義母にもストレス。夫婦げんかした結果、心を入れ替えた夫

★現在の年齢:36歳
★治療内容:人工授精

治療を始めたころ、夫は積極的ではありませんでした。さらに義母が、私たちが不妊治療をしていることをまわりに言いふらしていることがわかり、仕事も大変で猛ストレス。とうとう、不妊治療のことで夫婦げんかをしました。それから夫は心を入れ替えたよう。検査をしてみると夫自身に原因があったこともわかり、協力的になりました。
たくさんのストレスを抱えていたので仕事をやめ、転院し、人工授精をすることになったときにはむしろホッとしたのを覚えています。

【治療歴】

◇32歳:初受診。タイミング法を5回。
◇32歳:仕事をやめ、転院。タイミング法を2回。
◇33歳:人工授精2回目で妊娠。

【パートナーとの関係が変容する】妊娠する年齢の2年の違いが、夫にはピンときていないみたい

★現在の年齢:34歳
★治療内容:夫の投薬+タイミング法

2人とも子どもが欲しい気持ちはあるけれど、夫との温度差を感じることはありました。とくに年齢のこと。私は、妊娠するのが32歳と34歳では大きく違うと感じていましたが、夫は父親になるのが2年遅れても大差ない、という感覚だったのです。でも、通院し始めたら夫に原因があるとわかり、協力してくれるように。
半年間、自己流のタイミング法でうまくいかなかったのが、すぐに妊娠できました。

【治療歴】

◇32歳:初受診、検査開始。タイミング法。検査の結果、夫の漢方薬服用などをスタートし、タイミング法で妊娠。

【転院やステップアップが転機に】人工授精4回でダメならステップアップするつもりだった

★現在の年齢:36歳
★治療内容:人工授精

治療のステップアップにはかなり抵抗がありました。金銭的な負担もですが、頻繁に注射しに通わなくてはならなくて、職場にはとても気をつかいました。3回目の人工授精でダメだったとき、医師から次の段階も考えてみては、と提案されましたが、「ダメ元でもう一度だけ」と4回目に挑戦。
でも、このときは卵管が閉塞している右の卵巣からの排卵だったので、正直いえば期待していませんでしたが、妊娠できてよかったです。

【治療歴】

◇31歳:産婦人科で検査開始。
◇32歳:タイミング法を6回。
◇33歳:不妊治療クリニックを初受診。多嚢胞性卵巣症候群と診断される。
◇34歳:4回目の人工授精で妊娠。

【転院やステップアップが転機に】不安定な基礎体温がつらい。早くステップアップしたかった

★現在の年齢:33歳
★治療内容:人工授精

高温相・低温相がはっきりしない不安定な基礎体温を見ながら、何回も排卵検査薬を試しつつ、毎月生理がくるたびに落ち込みました。だから、ドクターから次の治療段階への提案がなくても、自分から人工授精に進むことをお願いしました。その結果、妊娠できてよかったです。
早く妊娠したくて、正直なところあせっていました。誰かにあと押ししてもらえるようなことは何もなく、自分の「治療したい」という一心で突き進んだ気がします。

【治療歴】

◇31歳:産婦人科で検査を受けたり、生理を整える薬を飲んだりしながらタイミング法。
◇32歳:タイミング法ののち人工授精で妊娠。

【転院やステップアップが転機に】あのままずっと婦人科に通っているだけでは妊娠できなかったかも

★現在の年齢:28歳
★治療内容:タイミング法

赤ちゃんが欲しいと思ってもなかなか妊娠できなくて、はじめは婦人科を受診しました。そのときは漢方薬を飲んだくらいでしたが、職場で「まだ子どもはつくらないの?」と聞かれたりしてつらくて…。
やっぱり早く子供が欲しいと思ってたので不妊治療専門を思い切って受診しました。タイミング法とクロミッド内服を始め、体外受精も視野に入れたほうが……とドクターに言われたころに妊娠。できるまで気長に過ごそうと思って過ごしたのがよかったのかも。でも、あのまま婦人科に通院しても妊娠できなかったかな、と今は思います。

【治療歴】

◇26歳:婦人科受診、漢方内服、2ヶ月たって不妊治療クリニックで初受診。タイミング法でクロミッド服用し、転院から3ヶ月で妊娠。

【大切なのはプレッシャーからの解放】ステップアップ目前、最後のタイミング法!と楽しんだら妊娠できた

★現在の年齢:31歳
★治療内容:タイミング法

タイミング法を3回やってみてうまくいかず、検査の結果、私のホルモン値に異常があると判明。医師からはスピード重視で「次ダメだったらステップアップしよう」と治療方針が提示されたときはショックでした。
でも、これがかえってよかったのかもしれません。そのときの性行為は、いっそ思い切り楽しもうと前向きに考えるようにしてリラックス。それがよかったのかどうかはわからないけど、このときに妊娠することができました。

【治療歴】

◇29歳:初受診。検査開始。タイミング法4回目で妊娠。

【大切なのはプレッシャーからの解放】毎週末お酒を飲んだりして、タイミングを考えなかったときにチャンスが

★現在の年齢:30歳
★治療内容:タイミング法

私の場合は、クリニックに通い始めて3ヶ月で妊娠できたので早いほうだとは思います。それでも生理周期で通院するためスケジュールが立てにくく、仕事を急に休んだり、夫にぐちを言うたびにぎくしゃくしたり。
最初は悩んだけど、職場は不妊治療に理解があったし、毎週お酒を飲んだり楽しみを増やしたりしていたら、夫婦間のストレスもお互いになくなっていきました。妊娠した月はタイミングはうまくとれていなかったと思います。

【治療歴】

◇29歳:初受診。排卵のタイミングをみながら月に3回ほど通院し、3ヶ月目で妊娠。

【大切なのはプレッシャーからの解放】ステップアップで悩み中、住宅購入のことに意識を向けていたら妊娠

★現在の年齢:31歳
★治療内容:人工授精

人工授精まではすぐに決意できたけれど、「そろそろ体外受精を考えるように」とドクターに言われたときはかなり不安になりました。そんなとき、治療とは関係なく、住宅購入についていろいろ調べたりして、ほかのことに意識を向けて生活していたら妊娠しました。
治療に気持ちが集中している間は授からなかったのに、不思議です。とにかく、無事授かることができてよかったです。

【治療歴】

◇28歳:初受診。タイミング法6回、人工授精4回目で妊娠。

【じっくり話して】免疫性不妊症。妊娠できない体なんだと泣いた日々。治療を乗り越えたのは夫が寄り添ってくれたから

★現在の年齢:42歳
★治療内容:体外受精

思い切って治療のことを上司に話したら在宅ワークにしてくれた

同世代の友人から35歳を過ぎると妊娠しづらくなるよと常々聞いていたので38歳で結婚したときすぐに妊活を始めました。それでもどこかのんびりしていて、本格的に治療を始めたのは39歳になってから。卵管造影検査をしてhCGの注射をしながらタイミング法、人工授精と進みました。でも、なかなか妊娠しなくて……。

治療が進むと通院の回数も増え、急に休むこともあって職場に迷惑をかけるようになりました。隠しきれなくて、思い切って上司に話すと理解してもらえました。デザイン関係の仕事だったので、コロナ禍以前でしたが在宅勤務になりました。

免疫性不妊症とわかり、泣く私を支えてくれた夫

40歳で転院して体外受精にステップアップ。胚移植したあとに、私の血がどろどろになって栄養が子宮に届かず、妊娠継続ができない状態だと言われました。それで不育症の検査を受け、おなかの赤ちゃんを異物として攻撃してしまう免疫性不妊症とわかったのです。

妊娠できない体なんだ…と絶望してよく泣いていました。夫に言うと、涙でグチャグチャな私を『きっとどうにかなるよ』 と抱きしめてくれました。治療につきそってもらって、帰りに外食したり、居酒屋に寄って帰ったり。ほんとうに支えてくれたのは夫でした。

実は、結婚して3年目のころ、夫の両親が相次いで急逝してしまいました。さびしいな、新しい家族をつくりたいなという気持が強くなりました。2人で同じ方向を見ていたことがよかったのかもしれない、と思っています。

2つ戻した胚が両方育った!4回目の正直

こうして4回目の胚移植から1週間後。エコーで心拍の確認。先生から「双子だね」と言われてびっくり! これまでも2個ずつ戻していたけど、こんなウソみたいなことがあるんだ……って。今、二卵性の双子が生まれてからの1年間は大変でしたが、充実しています。

【治療歴】

◇39歳:初受診。卵管造影検査、タイミング法から、人工授精。
◇40歳:転院。子宮鏡検査、内膜検査などして、不育症の精密検査も。体外受精をして本格的に始めて1年、移植4回で妊娠。

■構成・文/関川香織(K2U)

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

▼『妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

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この記事のキュレーター

妊娠・出産・育児の総合ブランド「たまひよ」。雑誌『妊活たまごクラブ』『たまごクラブ』『ひよこクラブ』を中心に、妊活・妊娠・出産・育児における情報・サービスを幅広く提供しています。


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