2人で読むはじめての「男性不妊治療」 男性機能をセルフチェック!

イラスト/山本啓太

不妊の原因の半分は男性にあるからこそ、妊活はパートナー頼みではなく自ら調べ、実行することが大切です。
これから不妊治療を始める人に向け、男性不妊専門の永尾光一先生に詳しく教えていただきました!

今回は「はじめての男性不妊治療」と「男性機能をセルフチェック!」をご紹介します。

監修の先生

2人で読むはじめての「男性不妊治療」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023」

 

男性不妊の原因になる3つの病気がないか、まずは検査を

永尾先生が、まず知って欲しいと話すのが男性不妊の原因。男性不妊は大きく2つに分けて、勃起や射精に関する性機能障害と、精子をつくったり送ったりする造精機能や通路の障害に起因するものがあります。

●永尾光一先生(以下、永尾先生) 「例えば排卵日を狙ってのセックスに抵抗があって勃起や射精がうまくできないなどの心理的原因は、バイアグラなどの薬を使用すれば解消できる可能性が高いです。でも男性側の病気が原因で妊娠しにくい場合は、治療しないことには前進できません。男性不妊に関する重要な病気は精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)、無精子症の原因ともなる精路閉塞(せいろへいそく)と、症例は少ないですが低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の3つ。その中でも割合が多いのは精索静脈瘤です」

精液やホルモン検査は、男性相談窓口を備えている不妊治療クリニックでもしてくれますが、男性器の触診や超音波(エコー)といったより詳しい検査は泌尿器科をはじめ、男性不妊の専門機関で診断してもらうのが確実。

●永尾先生 「こうした症状は不妊の原因になるだけでなく、年齢を重ねていくとうつ症状やEDなど男性更年期の症状も引き起こします。どの病気も治療方法が確立されていますし、少しでも早く治療を始めたほうがパートナーの苦労は少ないです。40〜45歳にかけてゆるやかに生殖機能は低下し始め、妊娠させにくくなります。そのうち始めるではなく、いちばん若い今始めることが大切。サプリメントの摂取などの補助的療法や禁煙、長風呂を避けるといった生活習慣の改善のみですませている人は、もし疾患がある場合に治療の機会を遅らせることになります。医療機関の受診が男性不妊治療の最短ルートであると覚えておいてください」

不妊症の原因:48%は男性が関与!

※WHO(世界保健機関)調べ
※WHO(世界保健機関)調べ

●男性のみ:24%
●男女両方:24%
●女性のみ:41%
●不明:11%

男性も不妊治療は自分事と捉える意識を持ちましょう

※青の斜線軸が運動率、青い軸が精液量。いずれも40歳ごろから減少します。
※青の斜線軸が運動率、青い軸が精液量。いずれも40歳ごろから減少します。

不妊治療は女性だけのものではなく、男性も自分事として捉えなければなりません。また女性側も遠慮をせず、男性に不妊治療を促したほうがいいと永尾先生は言います。

●永尾先生 「子どもが欲しいと気持ちを伝えること、パートナーに不妊治療を受けてもらうことを、女性は負い目に思わないでください。子どもはカップルでつくるものなのですから」

【パートナーと一緒に調べよう】男性機能をセルフチェック!

男性不妊を改善する近道は、不妊の原因となる病気を早期発見し、治療すること。病気が疑われる症状がないか調べましょう。
一つでも該当するものがあれば、クリニックへ。

【チェック・1】挿入・射精ができない
【チェック・2】陰毛が少ない、精巣が小さい
【チェック・3】陰嚢(いんのう)が腫れている、でこぼこしている、熱を持った感じがある
【チェック・4】陰嚢に違和感や鈍痛がある
【チェック・5】陰嚢のサイズに左右差がある
【チェック・6】過去に陰嚢が腫れた経験がある
【チェック・7】過去にエコーで精巣や精管、精巣上体、精索静脈の検査を泌尿器科で受けたことがない

【こちらもチェック!】男性不妊の原因となる生活習慣や考え方

イラスト/山本啓太
イラスト/山本啓太

何気ない日々の行動により男性不妊の原因を招くことも。
妊活にマイナスな生活習慣や考え方は今すぐ見直して!

【チェック・1】喫煙している
【チェック・2】サプリや漢方を服用しているだけで安心している
【チェック・3】ブリーフを愛用している
【チェック・4】毎日のように熱い湯船やサウナに入っている
【チェック・5】BMI(※下記参照)が25以上で、肥満気味
【チェック・6】ホルモン剤や筋肉増強剤を服用している
【チェック・7】パートナーだけが治療すればいいと考えている

●BMIの算出法と数値の見方

BMI=体重(kg)÷身長(m²)
※体重75kg、身長1.6m(160cm)の人の肥満指数(BMI)は・・・75÷1.6÷1.6=29.3(kg/m²)

●BMI(肥満指数)による肥満判定基準

BMI 18.5以下・・・やせ
BMI 18.5~25未満・・・普通
BMI 25以上~30未満・・・肥満(1度)
BMI 30以上~35未満・・・肥満(2度)
BMI 35以上~40未満・・・肥満(3度)

■監修

永尾光一 先生

●撮影/合田和弘
●イラスト/山本啓太
●構成・文/津島千佳

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

▼『妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

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この記事のキュレーター

妊娠・出産・育児の総合ブランド「たまひよ」。雑誌『妊活たまごクラブ』『たまごクラブ』『ひよこクラブ』を中心に、妊活・妊娠・出産・育児における情報・サービスを幅広く提供しています。


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