サプリや健康食品のこと、もっと知りたい!未来の赤ちゃんのために必要な栄養素Q&A

「あなたの食べたものが、あなたの体をつくり、未来の赤ちゃんの体をつくります!」と語る産科医の佐藤雄一先生に、妊活時に必要な栄養素のことを教えてもらいました。

 

監修の先生

「サプリや健康食品のこと、もっと知りたい!未来の赤ちゃんのために必要な栄養素Q&A」
※参考:「妊活たまごクラブ 2023-2024年版」

 

1日3食を基本に、不足しがちな栄養素を意識することが大切

「最近は忙しく働く女性が多く、食事を疎かにしがちなケースが少なくありません。しかし、妊活をスタートするとき、最初に知っておいて欲しいのは『あなたが口にする栄養が、未来の赤ちゃんの体をつくる』ということです」と佐藤先生。
忙しさだけでなく、ダイエット志向が強い日本女性は、1日に必要なエネルギー量をはじめ、タンパク質や葉酸、鉄分、カルシウムなども大幅に不足しがちだと、佐藤先生は警鐘を鳴らします。

「とくに多いのが、やせる必要がない人がさらにやせようと食事を制限すること。必要以上のダイエットをすると、月経が止まったり、冷えやむくみが強くなるなどの不調が現れます。さらに、妊娠や出産時のリスクも高まります。妊活をスタートするのを機に、毎日の食事を記録する食事日誌をつけてみて、自分に足りない栄養素を分析してみることをおすすめします」(佐藤先生)

また、必要なエネルギー量や栄養素不足に拍車をかけているのが、朝食の欠食。まずは1日3食を基本にした食生活を心がけましょう。

\妊活中の女性に/ 不足しがちな栄養素

●葉酸
●鉄分
●タンパク質
●ビタミンD
●カルシウム
●亜鉛

実はよくわからず飲んでいた!? <サプリメント>

1日3食食べても不足する栄養素は、サプリメントに頼るのも一案です。

サプリメントで補うべき栄養素は「葉酸」です

「妊活時に必要な栄養素で、唯一、厚生労働省が食事とサプリメントの併用を勧めているのが葉酸です。葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが高まることがわかっていますので、妊娠前から準備しておきましょう」(佐藤先生)

とくに妊娠初期は赤ちゃんの脳や脊髄などの神経管がつくられる大切な時期。妊活中の今から、食事とサプリメントで、しっかり摂取しておくことが重要です。

葉酸

●食事:240μg + サプリ:400μg
ブロッコリーなどに多く含まれる葉酸は、食事だけでなくサプリメントからの摂取も推奨されている。

 

【Q】サプリって薬とどう違うの? 飲んでいて、副作用はないの?

【A】サプリは栄養補助食品の1つ。薬ではありませんが、副作用は皆無とはいえません

「最近はコンビニ食や外食することが多く、栄養が偏る人が増えています。サプリメントはそうした食生活で不足した栄養素を補うための『栄養補助食品』で、薬ではありません。ただ、副作用がまったくないわけではないので、選ぶときは成分表示をよく確認し、できるだけ無添加表示のものを選びましょう」(佐藤先生)

【Q】漢方薬とサプリって、どう違うのですか?2つを併用しても大丈夫?

【A】まったく違うものです。併用することで副作用が生じることがあるので注意して

「漢方薬は医薬品で、サプリメントは健康をサポートする栄養補助食品なので、明らかに異なるものです。とくに漢方薬は症状を改善するさまざまな生薬が入っているので、摂取するサプリメントによっては副作用が生じることもあります。漢方薬を処方されている人は、医師に相談しましょう」(佐藤先生)

【Q】男性にも葉酸が必要って聞いたけど、本当ですか?

【A】女性のように必須ではありませんが、健康な体を維持するためには必要です

「葉酸は妊活中から妊娠、産後まで、必要量を食事とサプリメントで摂取することを厚生労働省が推奨しているため、女性だけに必要なイメージが強いですが、人間が健康体を維持するために必要不可欠な栄養素です。とくに、男性は日常的に野菜不足の人が多いので、食事だけでなくサプリメントで補うことをおすすめします」(佐藤先生)

【Q】どんなに食事に気をつかっていても、不足しがちな栄養素があるのはなぜ?

【A】最近の食品は昔よりも栄養価が低下。また、調理中に損失する栄養素もあるので、十分なつもりでも不足している人が多いのです

「昔と比べて野菜などは、食品の栄養価が下がっているのが現状です。また、ゆでたり焼いたりなど、調理の工程で栄養分が損なわれることも少なくありません。妊活中の食事で栄養バランスに気をつかうのはとても大切なことです。不足しがちな栄養素をサプリメントで補給するという習慣があってもいいと思います」(佐藤先生)

【Q】サプリは毎日飲まなきゃいけないの?水じゃなく、お茶と一緒に飲んでもいい?

【A】毎日、かならず飲まなければいけないというものではありません。また、お茶と飲んでも大丈夫です

「サプリメントは日々の食生活で不足しがちな栄養素を補うものなので、薬のように毎日かならず飲まなければいけないものではありません。また、食品の一種なので、お茶などの飲料と一緒に飲んでもかまいません。ただ、鉄や亜鉛のサプリの場合、コーヒーと一緒に飲むと吸収しにくい場合があるので、避けたほうがいいでしょう」(佐藤先生)

【Q】妊活中に葉酸のほか、サプリで補給したほうがいい栄養素ってありますか?

【A】月経で失う血液で鉄分が不足し、貧血になる女性が増えています。妊活中の今からしっかり補給を

「女性は月経で失う血液の損失量を考慮すると、1日あたり10.5mgの鉄分を補う必要があります。しかし、日常的にその量を補うのは難しいもの。鉄分は体の中で自己生成ができないため、食事のほか、サプリメントで補うことで貧血対策にもなります」(佐藤先生)

サプリでの補給がおすすめ! <鉄分>

女性は1日10.5mgの鉄分摂取を心がけて。ちなみにヘム鉄は動物性の食品に多く、吸収率が高いのが特徴。非ヘム鉄は植物性食品に含まれていますが、吸収率はヘム鉄より低くなります

●ヘム鉄
・煮干し(かたくちいわし):18mg
・豚レバー(生):13mg
・しじみ(生):8.3mg
・赤貝(生):5mg

●非ヘム鉄
・小松菜(生):2.8mg
・枝豆(生):2.7mg
・ほうれん草(生):2.0mg
・サニーレタス(生):1.8mg

※可食部100g当たりの含有量 文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より

【Check!】危ない! 栄養不足の女性が増加中

※「国民健康・栄養調査」より

20代女性に必要なエネルギー量は1日1950kcalなのに対して、実際の平均値はそれよりはるかに低い値で推移。
エネルギーだけでなく、タンパク質や葉酸、カルシウム、鉄分、亜鉛、ビタミンDなど、大切な栄養素も不足していることが調査でわかっています

サプリメントだけじゃない! <健康食品>

忙しい現代人のために、さまざまなタイプで登場している健康食品について聞きました!

食事だけでは摂取が難しい栄養素を補う手軽な食品

妊活時に必要なタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラル、アミノ酸などを補う飲料やゼリー、バータイプのものが近年急増中。

「健康食品の中には近年、『栄養機能食品』や『特定保健用食品』など、国の審査によって機能性の表示が認められたものも増えています。コレステロールの吸収を抑えたり、タンパク質など不足している栄養素を補うものが多いので、表示も参考にしながら賢く利用するといいでしょう」(佐藤先生)

【Q】いろんなタイプがあるけど、いつ食べたり、飲んだりすると効果的?

【A】1日のうち、どのタイミングでもOKです。ただ、お菓子タイプなどは糖分のとりすぎに注意を

「プロテインを中心に、最近ではお菓子やバーになった栄養食品が増えていますが、これらもあくまで食品の1つです。含まれている栄養素が表示された裏ラベルなどを自分でよく確認し、取り入れるようにしましょう。とくに糖質が高いものは要注意。妊娠体質になるためには、血糖値が急上昇しにくい食べ物を選ぶことが大切です」(佐藤先生)

【Q】妊活中に摂取しておくといい栄養補助食品を教えてください

【A】妊娠・出産には良質なタンパク質摂取が欠かせません。普段の食事で不足していると感じたら補いましょう

「主食をご飯やパンにしている場合、どうしても糖質が過多になり、体をつくる大切な栄養素「タンパク質(プロテイン)」が不足しがちです。タンパク質には肉や魚などの動物性と、豆腐などに含まれる植物性があり、できるだけ両方から摂取することが望ましいのですが、難しい場合は健康食品で補給しましょう」(佐藤先生)

■監修/佐藤雄一 先生

●撮影/阿部吉泰(ブロウアップ)
●スタイリスト/シダテルミ
●構成・文/飯田由美(BEAM)

※記事掲載の内容は2023年2月25日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。

▼『妊活たまごクラブ2023-2024年版』は、妊活に役立つ情報が一冊に詰まった妊活スタートブック

■おすすめ記事
「まさか、不妊の原因が自分に…」男性の不妊、その苦悩とは?【専門家に聞く】
排卵日を計算!妊活・妊娠カレンダー【医師監修】

この記事のキュレーター

妊娠・出産・育児の総合ブランド「たまひよ」。雑誌『妊活たまごクラブ』『たまごクラブ』『ひよこクラブ』を中心に、妊活・妊娠・出産・育児における情報・サービスを幅広く提供しています。


公式サイトはコチラ


この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ルナルナの最新情報をお届けします