妊産婦メンタルヘルスの重要性

妊娠・出産はかけがえのない経験です。
いつ胎動を感じ始めるのかなとワクワクしたり、早くエコーで赤ちゃんの成長を見たいなと思ったり、楽しみなことがたくさんあると思います。
一方で、生活や体調などが大きく変化し、不安になったり落ち込んだりすることもあるかもしれません。

 

「こころの健康なしに健康なし」という有名な言葉があります。
メンタルヘルスの不調はご本人にとって辛いのはもちろんですが、それだけでなく、身体にも影響を与えることが知られています。

 

妊娠中の場合、メンタルヘルスが本調子でなくなると、定期検診を受診しにくくなったり、適切な食事をとりにくくなったり、辛さを紛らわせるために飲酒や喫煙をしやすくなったりすると言われています。
また、おなかの赤ちゃんの成長や、出産後の子どもの認知・感情・行動などに影響する場合があることも報告されています(※)。
産後の場合、本来の状態のときよりも育児能力が下がることによって、子育て上の問題が生じやすくなったり、子どもが感染症にかかったりするリスクが増加する可能性も指摘されています。

 

昔は産後のうつ病は有名でしたが、妊娠中のうつ病についてはそれほど知られていませんでした。
しかし最近では国も「妊娠期からの切れ目ない対策」が重要であることを強調していて、妊娠中と産後を合わせた周産期を通してお母さんのメンタルヘルスが大切であることが広く共有されるようになってきています。

 

妊娠中も仕事や生活上のストレスは容赦なくふりかかってきますし、メンタルヘルスを良い状態に保つのは誰にとっても決して簡単なことではありません。
でも、人生のなかでも特にこの時期は、ご自分とお子さんのために、いつも以上にご自分をいたわるように心がけていただければと思います。

 

Stein A, Pearson RM, Goodman SH, Rapa E, Rahman A, McCallum M, et al. Effects of perinatal mental disorders on the fetus and child. Lancet. 2014;384(9956):1800-19.

 

この記事のキュレーター

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