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「不妊治療クリニックには仲間がたくさんいる」元バレーボール日本代表大山加奈
約5年間の妊活を経て、2021年2月に双子を出産した、元バレーボール女子日本代表・大山加奈さん。
タイミング法、人工授精、体外受精…長い道のりとなった妊活を振り返り、当時の気持ちや、これから治療を始めるみなさんに伝えたい思いなどを語っていただきました。
大山加奈さんの妊活振り返りインタビュー<後編>では、2年間のお休み期間を経て再開した不妊治療の様子や、これから妊活をスタートさせる人へのメッセージを妊活たまごクラブがお聞きしました。
「妊活振り返りインタビュー 大山加奈さん」 #2
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2021-2022」
2年間のお休みを経て体外受精に再トライ
――実際、治療を再開してみると、大山さんの体にはうれしい変化がありました。
●大山加奈さん(以下、大山)「卵の質が2年前とは全然違っていて、質のいい卵が何個か採れたんです。年齢を2歳重ねたのに卵の質が上がるなんて、ビックリしました」
――「今なら」という大山さんの感覚もピタリと当たり、1回目の体外受精で妊娠!
●大山「あまり期待せずに結果を聞きに行ったので、『陽性です』と言われたときは頭が真っ白に。その後の先生の言葉がまったく耳に入ってきませんでした。『次は○月○日に来てください』という最後の言葉だけが聞こえて、『…もう1回、説明してもらえますか?』とお願いしたくらいです(笑)。診察室を出てから喜びがこみ上げてきましたが、他の患者さんもいらっしゃるので、できるだけ冷静でいるよう心がけました」
さらに、次の検診では双子であることが判明!
●大山「受精卵を2個戻していたので、双子になる可能性があると言われていましたが、本当に双子になるなんて! 最初に聞いたときは、うれしい気持ちと動揺とが半々でした」
大山さんにとっては心身を整えるために必要だった2年間のお休み。
●大山「子どもを授かれた今だから言えることかもしれませんが、私は2年間休んでよかったと思っています。ただ、みなさんにオススメはできません。やっぱり年齢とともに妊娠率は下がっていきますから。私も30代後半に入って、年齢のことはずっと気になっていました。ちょうど仕事も充実してくる年齢だから、仕事と妊活、どちらを優先するべきかという葛藤がありますよね」
――働く女性にとって、仕事と妊活の両立は大きな課題。大山さんも例外ではありませんでした。
●大山「私の仕事は半年前とか、早いと1年くらい前から決まっていて、絶対に穴をあけることはできません。でも、妊活中は月経周期に合わせてクリニックに通わなければいけない…。治療はスケジュールどおりにいかないので、仕事との両立はとても難しかったです。ときには気持ちを割り切って、『今月は無理』と治療を諦めることもありました。きっと会社勤めのかたはもっと大変だと思います。やっと少しずつ妊活に対する理解が広まってきたとはいえ、まだ治療していることを周囲に言いづらかったりもしますからね。これからもっともっと理解が広まっていけばいいなと思います」
苦しくつらい時間も無駄ではなかった
――妊活において重要なのがクリニック選び。大山さんはどのような基準で選んだのでしょうか。
●大山「家から近く、通いやすいというのが絶対条件でした。仕事をしながら何回も通わなければいけないし、体調がよくないとき、しんどい体で遠くのクリニックに行くのは大変だと思ったからです。当時、妊活のことは周囲に話していなかったので、友人や知人からクリニック情報を得ることはできず、インターネットのクチコミなどを見ながら決めました」
――このクリニックには1年以上通いましたが、妊活の途中でクリニックを変えたといいます。
●大山「最初に通ったクリニックの先生と相性が合わないと感じたので、人工授精の段階で転院しました。この頃には近しい人にだけ妊活中であることを打ち明けていたのですが、知人からの紹介で知り合った不妊治療中のかたから『ここがいいよ』と教えていただきました。転院先は大きなクリニックでしたが、先生はもちろん、看護師さんも受付のかたもみなさん優しくて。その笑顔に心が救われて、『このクリニックに転院してよかったな』と思いました」
――さらに、「これは参考にならないかもしれませんが」と前置きしつつ、大山さんが教えてくれたのは…。
●大山「クリニックの近くにランチが食べられるお店がたくさんあって、それを楽しみに通っていました。終わったらあれを食べようとか、お買い物しようとか、精神的に頑張れるご褒美がないとつらいですから」
大山加奈さん「クリニックには、同じように治療を頑張っている仲間がたくさんいる。勇気を持って、一歩を踏み出して」
――5回目の結婚記念日となった2020年9月28日、ブログで不妊治療を経て双子を妊娠したことを公表した大山さん。そこにはこんな思いが込められていました。
●大山「妊活中は苦しかったりつらかったりすることがたくさんありましたが、その時間は無駄じゃなかった。振り返ってみると、あの妊活の経験があってよかったなと思っています。自分がそういう経験を得たからこそ、誰かの力になれたり、誰かの役に立てたりすることがあると思うので、発信することにしました」
――そんな大山さんが、これから不妊治療を考えているみなさんに伝えたいこととは?
●大山「不妊治療クリニックって、気軽に行ける場所ではありませんよね。でも、クリニックに行ってみると、仲間がいっぱいいます。『自分と同じように頑張っている人がこんなにいるんだ』と、私もとても励まされました。だから一歩踏み出す勇気を持って、足を運んでみて欲しいと思います。そして、クリニックに行ったあとはおいしいランチを食べるなど、頑張った自分へのご褒美もいっぱいあげてくださいね」
大山加奈さんの妊活中「コレがよかった!」
妊活中にトライした「コレがよかった!」ポイントをお聞きしました。
南部鉄瓶の白湯を飲んで冷えが改善
もともとひどい冷え性だったのですが、南部鉄瓶で沸かした白湯を飲み始めたら冷えが改善されました。
飲み物は常温で、靴下と腹巻を着用する、漢方を飲むなど、さまざまな温活も実践。
愛犬・だいずが心の癒やしに
実は私は運動が嫌い(笑)。
以前はいっさい運動していなかったのですが、だいずが来てからはお散歩に行くようになったし、生活リズムも整って、心身ともに健康的になりました!
大山加奈さんのアドバイスQ&A
これから不妊治療をスタートする人へ、アドバイスQ&Aをお聞きしました。
●Q1・クリニックでの待ち時間は何をしていた?
クリニックのすぐそばにあるカフェでお茶しながら待ちました。近くにカフェがあるって大事ですよ! あとは待合室で本を読んで過ごすことも。
いつ呼ばれるかわからないので、あまり内容に集中できませんでしたが(笑)。
●Q2・妊活中につらかったことは?
友だちの妊娠を心から喜んであげられなかったこと。「私はなんて心が狭いんだろう」と自己嫌悪に陥りました。
私の少しあとに結婚した妹に対しても、「もし妹が先に妊娠したら喜んであげられるかな」と不安に。そんなことを考えちゃう自分が本当に嫌でした。
●Q3・「こうすればよかった」と思うことは?
採卵の前に自己注射を打って痛みと闘っているとき、夫に「味噌汁は?」と言われてイラッ(笑)。
あの長い針で注射しているところを見せればよかったと思いました。
女性の大変さは夫に見せないと伝わらないと思います!
■大山加奈 Profile
1984年生まれ、東京都出身。小学2年生からバレーボールを始め、小中高すべての年代で全国制覇を経験。高校卒業後は東レ・アローズ女子バレーボール部に入部。高校在学中の2001年に日本代表に初選出され、オリンピック、世界選手権、ワールドカップと三大大会すべての試合に出場。日本を代表するプレーヤーとして活躍した。2010年に現役を引退し、現在は全国での講演活動やバレーボール教室、解説など多方面で活躍中。
・ワンピース、ジレ、レギンス/すべてプレインピープル青山
・靴13,200円(税込)/JB AKINO
・ネックレス19,800円(税込)、ネックレスチャーム26,400円(税込)、・イヤリング29,700円(税込)、イヤリングチャーム17,600円(税込)/すべてアガット
●撮影/関信行
●スタイリスト/中村さよこ
●ヘア・メイク/髙橋亜友美
●文/本木頼子
※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。
▼『妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2021-2022』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。
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