約5年間の不妊治療を振り返る -元バレーボール日本代表大山加奈

約5年間の妊活を経て、2021年2月に双子を出産した、元バレーボール女子日本代表・大山加奈さん。
タイミング法、人工授精、体外受精…長い道のりとなった妊活を振り返り、当時の気持ちや、これから治療を始めるみなさんに伝えたい思いなどを語っていただきました。

大山加奈さんの妊活振り返りインタビュー<前編>では、妊活をはじめたきっかけや、その経緯を妊活たまごクラブがお聞きしました。

「妊活振り返りインタビュー 大山加奈さん」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2021-2022」

人工授精、体外受精で心がクタクタに…

●大山加奈さん(以下、大山)「昔から子どもが欲しいという思いがありました。オリンピック選手になることと同じくらい、母になることが夢だったんです」

――開口一番、そう話してくれた大山加奈さん。
その夢を叶えるため、結婚が決まったとき、すぐにブライダルチェックを受けに行きました。

●大山「バレーボール選手時代に体を酷使したり、腰の手術を受けたりしたこともあって、自分は子どもができにくいんじゃないかと感じていました。ブライダルチェックの結果、AMH(抗ミュラー管ホルモン)値が低いことと、毎月排卵していない可能性があることを先生から指摘されて『あぁ、やっぱりな』。結婚したらすぐにクリニックに行こうと決めました」

――2015年9月に結婚すると、すぐに妊活をスタート。大山さんが足を運んだのは不妊治療専門クリニックでした。

●大山「ちょうどその頃、私の母にがんが見つかったんです。母も孫ができることを望んでいたので、できるだけ早く治療を開始したほうがいいと思い、不妊治療クリニックを選択しました。そのクリニックでも検査を受けましたが、やはりAMH値が低いという結果に。でも他には不妊の原因が見つからなかったので、まずはタイミング法から始めることになりました」

――1年ほどタイミング法を続けましたが、妊娠には至らず…。そこで人工授精にステップアップ。

●大山「1年弱で5回ほどトライしました。医師からは、AMH値が低いことや年齢のこともあり『早く体外受精にステップアップしたほうがいい』と言われたのですが、当時の私には『より自然に近いカタチで授かりたい』という思いがあって…。それに、体外受精となるとお金もすごくかかるし、注射や薬を使うので体調を崩してしまうこともあると聞いて、仕事のことも考えました。子どもたちにバレーボールの指導をしているので、自分も万全な状態で子どもたちと向き合いたいと思うと、なかなか踏み切れなくて…。私にとって人工授精から体外受精に進むハードルは高かったですね」

――さまざまな葛藤に苦しみながらも、その後、大山さんは体外受精に挑戦することを決断します。

●大山「このまま人工授精を続けても授かれないかもしれない。それならば、妊娠する確率の高い方法にチャレンジしてみよう」

――そんな思いからでした。ところが…。

●大山「初めての採卵で卵が5個採れたのですが、使える卵が1個もないことがわかりました。ただ1個だけ、『可能性は低いけれど、うちだったらなんとかできるかも』と言ってもらえた卵があったんです。それが胚盤胞になったので子宮に戻したのですが、結果はダメで…。ここで心がポキッと折れてしまいました」

ペットを迎えたことで気持ちにも余裕が

――体外受精でなら授かれるはず…期待が大きかっただけに、落胆もまた大きなものでした。

●大山「『また採卵しても、どうせダメに決まってる』というネガティブな気持ちや、『もう私には子どもを授かるのは無理なんじゃないか』という諦めの気持ちでいっぱいに。これ以上はもう頑張れないと思ったので、しばらく治療をお休みすることにしました」

体外受精にステップアップしたのに授からない…。いったん治療をお休みして、心と体をリセット

――ちょうど仕事が充実している時期でもあった大山さん。いったん不妊治療から離れ、仕事に専念することにしました。またその頃、日常生活にもある変化が。

●大山「柴犬・だいずを我が家に迎え入れたんです。妊活中のつらかったことも忘れるほど、だいずは私の心を癒やしてくれました。夫は不妊治療に関しては私の好きなようにやればいいというスタンスで、妊活のタイムリミットや『もし授かれなかったら』ということについて夫婦で話し合うことはしませんでしたが、だいずを迎えてからは『このコさえいればいい』というのが2人の暗黙の了解みたいになっていました」

――仕事は多忙ながらも、家に帰ればだいずくんが癒やしと潤いをもたらしてくれる日々。妊活をお休みして2年が経っていました。そんなとき、新型コロナウイルスの感染拡大により仕事が続々とキャンセルに。思いがけず時間ができました。

●大山「『だいずがいればいい』と言いつつも、やっぱり『子どもが欲しい』という気持ちもずっとありました。コロナの影響で時間に余裕ができたことで『今ならクリニックに通える』。治療を再開することにしました。だいずのおかげで2年間リラックスして過ごしていたので、精神的にも身体的にもいい状態だったんです。『今ならいい結果が出るかもしれない』と思いました」

大山加奈さんインタビュー<後編>では、2年間のお休み期間を経て再開した不妊治療の様子や、これから妊活をスタートさせる人へのメッセージをお聞きしました。
ぜひご覧ください!

大山加奈さんの妊活STORY

●31歳・・・結婚
すぐに妊活をスタート不妊治療専門クリニックに通い、1年ほどタイミング法を実践。

●32歳・・・人工授精にステップアップ
何度か人工授精にトライするも授からず…。

●33歳・・・体外受精にステップアップ
結果が出ず、心が折れて治療を2年間お休み。その間は仕事に邁進する。

●36歳・・・コロナ禍で時間に余裕ができ、妊活を再開。体外受精に再トライ
妊娠判定は「陽性」、しかも双子と判明!

●双子を出産!

■大山加奈 Profile

現役時代の愛称は「パワフルカナ」!  ©TORAY ARROWS
現役時代の愛称は「パワフルカナ」!  ©TORAY ARROWS

1984年生まれ、東京都出身。小学2年生からバレーボールを始め、小中高すべての年代で全国制覇を経験。高校卒業後は東レ・アローズ女子バレーボール部に入部。高校在学中の2001年に日本代表に初選出され、オリンピック、世界選手権、ワールドカップと三大大会すべての試合に出場。日本を代表するプレーヤーとして活躍した。2010年に現役を引退し、現在は全国での講演活動やバレーボール教室、解説など多方面で活躍中。

・ワンピース、ジレ、レギンス/すべてプレインピープル青山
・靴13,200円(税込)/JB AKINO
・ネックレス19,800円(税込)、ネックレスチャーム26,400円(税込)、・イヤリング29,700円(税込)、イヤリングチャーム17,600円(税込)/すべてアガット

●撮影/関信行
●スタイリスト/中村さよこ
●ヘア・メイク/髙橋亜友美
●文/本木頼子

※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。

▼『妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2021-2022』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2021-2022

 

 

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この記事のキュレーター

妊娠・出産・育児の総合ブランド「たまひよ」。雑誌『妊活たまごクラブ』『たまごクラブ』『ひよこクラブ』を中心に、妊活・妊娠・出産・育児における情報・サービスを幅広く提供しています。


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