2人そろって受診が基本!不妊治療クリニックで「最初に受ける検査」はコレ

※写真はイメージです
Chinnapong/gettyimages

妊活をしているのになかなか妊娠しない、もしかして不妊症? でも不妊治療ってどんなことをするのかわからなくて不安……。
大丈夫です。不妊治療はいきなり難しいことをするわけではありません。自分の体を知ることから!と思って、スタートしましょう。
今回は、不妊治療で『最初に受ける検査』について、齊藤英和先生に詳しく解説していただきました。

「妊活を始めたけれど……、そろそろ専門クリニックへ!? 受診する前に知っておきたい不妊治療スタートガイド」 #3
※参考:「妊活たまごクラブ 2023-2024年版」

治療計画の説明を受け同意するのに、2人が受診することが必須です

不妊治療は検査から始まります。このとき、必ず男女どちらも検査する必要があります。2人そろっての受診は保険適用を受けるための条件でもありますが、男女どちらに原因があるかは調べなければわからないので必要なことです。

女性と男性がそれぞれ、不妊治療専門クリニックか、総合病院の場合は不妊外来で検査を受けます。検査のタイミングや内容は男女で異なります。女性は月経前・月経中・排卵前・排卵と月経周期の各時期に合わせて検査します。そのため、基礎的な検査の完了までに最短でも約1ヶ月かかります。

男性の検査は精液検査のみで、いつ検査を受けてもよく、1日で完了しますが、結果によっては複数回行うこともあります。

基本的な検査の流れ

女性・男性ともに、問診→基本的な検査→精密検査と進んでいきます。途中で原因がハッキリすれば、すぐに治療に進むこともあります。

専門用語が難しい!わけがわからないうちに治療が進むことはない?

検査や治療が進むと、難しい専門用語が登場します。でも、受診中に質問することもできるし、説明会やパンフレットも準備されているので、わからないことはどんどん質問してOKです。
高度な治療にステップアップするときには、2人でよく話し合う時間をつくり、わからないまま進むことがないようにしましょう。

男性が受ける検査

男性の検査は、不妊治療クリニックや病院の不妊外来または泌尿器科で受けることができます。検査の種類が少なく、精液検査だけで終わることがほとんどです。精液の状態は体調に左右されるため、検査日程は1日で終わることが多いですが、場合によっては2~3回行うこともあります。

●問診

性欲の有無や勃起・射精の状態、性生活の様子などについて、質問に答えます。

●基本的な検査

病院や自宅で採取した精液を提出し、顕微鏡や自動解析装置で精子の状態を調べます。

精液検査

○病院や自宅で採取した精液を調べる
精液をとり、精子の数や運動状態などを調べます。3~5日間禁欲したあと、病院の採精室や自宅でマスターベーションを行い、採取した精液を2時間以内に病院に提出して調べます。

★デリケートな男性向けの検査方法
病院内の個室でマスターベーションをして精液を採取するなど、さまざまな配慮がされていますが、精神的につらい、うまくいかないという場合もあるでしょう。病院から近い場合は自宅で採取することも可能です。検査初期段階でどうしても精液をとることができない場合は、女性が受けるフーナーテストで代用も可能です。

【女性が受けるけれど男性の要因を調べられる検査】フーナーテスト

○セックスで取り込まれた精子の状態を調べる
排卵期に、医師から指示されたタイミングでセックスし、その後24時間以内に病院で行う検査です。腟内粘液と頸管粘液を採取して、その中の精子の数や運動状態を調べます。

●精密検査

基本的な検査で異常があった場合、精巣の状態やホルモンの状態を調べたりする検査を行います。

超音波検査

○超音波を発する器具で精巣を診察
精巣を調べ、精子をつくる能力や病気の有無をチェックします。検査はプローブと呼ばれる超音波を発する器具にゼリーをつけ、陰嚢に当てて行います。痛みはありません。

血液・ホルモン検査

○採血をして、ホルモンの状態をチェック
採血をして、血液からホルモンの分泌状態を調べ、精子をつくる能力をチェックします。同時に糖尿病など、不妊の要因に影響を与える内科的疾患の有無も確認します。

女性が受ける検査

不妊治療クリニックや病院の不妊外来で複数回にわたって行われます。月経の周期に合わせて行うため、最低1~3ヶ月にわたって定期的に病院に通う必要があります。受診のタイミングによって、開始する検査内容は異なります。

●問診

初潮を迎えた年齢や性生活の様子、過去の妊娠・分娩経験などについて、質問に答えます。

●基本的な検査

子宮や卵巣がどういう状態なのかを調べます。子宮・卵巣・卵管で起こりやすいトラブルがないかどうかを調べます。

血液・ホルモン検査

○採血をしてホルモンの分泌状態を調べる
血液を採取して、ホルモンが正常に分泌されているかどうかをチェックし、卵巣や子宮の状態を調べます。検査は、通常、月経期と黄体期にそれぞれ1回ずつ行われます。

AMH検査

○卵巣内に残っている卵子の数をカウント
採血をして、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の状態を調べることで、卵巣内にどのくらいの卵子が残っているかを調べます。どのタイミングでも受けることができます。

超音波検査

○子宮・卵巣の形状を調べる検査
子宮に子宮筋腫や腫瘍がないか、卵巣に子宮内膜症病変がないか、形状を調べます。下腹部の表面から超音波を当てる検査と、膣内にプローブを入れる検査があります。

クラミジア検査

○妊娠を妨げる性感染症の有無を調べる
クラミジア感染症は性感染症の一種。感染すると、子宮や卵管に炎症や癒着などを引き起こし、不妊の原因になるケースも。検査はどのタイミングでも行うことができます。

子宮卵管造影検査

○レントゲンで卵管の通り具合をチェック
子宮の形状が正常か、卵子・精子の通り道である卵管に詰まりなどのトラブルがないかを調べます。卵胞期に子宮口から造影剤(ヨード)を注入し、レントゲン撮影によって検査を行います。

★子宮卵管造影検査を受けるだけで妊娠力がアップするってホント?
基本的な検査の一つである子宮卵管造影検査は、受けるだけでも妊娠しやすくなるというメリットがあります。理由は、卵管に造影剤を注入する際に軽度の詰まりが解消されたり、卵管内部のすべりがよくなったりするためです。積極的に受けておきましょう。

●精密検査

基本的な検査で異常が見つかった場合や、より詳しく調べる必要がある場合に精密検査となります。ここでもしも病気などが見つかったら、不妊治療の前にその病気の治療をします。

子宮鏡検査

○内視鏡で子宮内部の状態を観察する
子宮に内視鏡を入れて、子宮や卵管の入り口にトラブルがないかを調べます。検査時期は卵胞期。ポリープや筋腫が見つかったときは、のちに切除することも可能です。慢性子宮内膜炎の診断にも用いられます。

腹腔鏡検査

○内視鏡を入れて卵巣・卵管・子宮をチェック
おへその下に小さな穴を開けて腹腔鏡と呼ばれる内視鏡を入れ、卵巣・卵管・子宮の状態をダイレクトに診察。全身麻酔をかけて行います。穴を開けた痕はほとんど残りません。

染色体検査

○採血によって染色体の状態を確認する
採血をして、染色体の状態を調べる検査です。染色体の異常は、排卵を起こすことができなかったり、妊娠しても流産を繰り返したりする原因に。検査はどのタイミングでも受けられます。

ホルモン負荷検査

○ホルモンの反応で排卵障害を検査
排卵障害が疑われるときに行う検査です。特定のホルモンを注射で投与し、さまざまなホルモンに対する反応を見て、卵胞の発育の可能性や無排卵の原因などを調べます。

MRI検査

○子宮筋腫の位置や大きさを詳細に観察
MRI検査は磁気を利用して、体内を詳しく診察する検査です。不妊検査では、主に子宮筋腫の位置や大きさ、卵巣チョコレート嚢胞の有無を特定するために行われます。

■監修

齊藤英和 先生

■イラスト/牛久保雅美
■取材・文/関川香織

※記事掲載の内容は2023年2月25日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。

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この記事のキュレーター

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