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正解?間違い!?意外と知らない「セックス」の基礎知識
ちまたにあふれるセックスの情報は、実は間違っているものがたくさんあります。
どれくらい正しい知識を持っていますか?セックスの基礎知識についてやさしく解説します。
産婦人科医の宋先生と泌尿器科医の小堀先生に教えてもらいました。
監修の先生
小堀善友 先生
PROFILE:泌尿器科医。プライベートケアクリニック東京 東京院・院長。 専門は男性不妊(とくに射精障害)、性感染症。BuzzFeedJapanなどのメディアで間違ったマスターベーション防止の啓蒙活動も行う。著書に『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)。プライベートでは4人の男児のパパ。
宋美玄(そんみひょん) 先生
PROFILE:産婦人科医。性科学者。ロンドンで胎児超音波の研さんを積み、2017年に丸の内の森レディースクリニックを開業。産婦人科診療やカウンセリングを行う一方で、メディアで女性の体や性生活、妊娠・出産等について情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちいいセックス』(ブックマン社)。2児のママとして育児に奮闘中。
「妊活男女が知っておきたいセックスのこと」 #2
※参考:「妊活たまごクラブ 2022-2023年版」
【Q.1】男女とも、マスターベーションは どんどんしていい
【A】○
■産婦人科医 宋先生コメント
絶対にしなくてはならないものではありませんが、したい人はどんどんしてOK。女性がバイブなどのグッズを使う場合は、あまり強い刺激に慣れると男性器ではイケなくなることもあるので、やさしい刺激のものがオススメ。
■泌尿器科医 小堀先生コメント
精子は日々つくられるので、射精をして新しい精子をつくることは、妊活にも男性の体にとってもよいことです。射精が前立腺がんのリスクを減らすというデータもあります。ただし「床オナ」など強すぎるオナニーは射精障害の原因になるので適切な方法で!
【Q.2】もし妊娠したら、妊娠中にセックスはしてはいけない
【A】△
■産婦人科医 宋先生コメント
セックスをすると子宮が張ります。でも、だからといって流産や早産につながるわけではありません。前置胎盤などでドクターストップがかかっていない限りは、妊娠中でもセックスしてOK。とくに注意事項もありません。したいときはしましょう。したくないときはやめましょう。
■泌尿器科医 小堀先生コメント
男性は、妊娠中でもしたい!という人と、ちょっと怖い……と感じる人に分かれると思います。宋先生が言うように、無理にセックスをする必要はないですし、2人ともがしたければすればいいと思いますよ。
【Q.3】女性は実際にはイケていないことが多い
【A】○
■産婦人科医 宋先生コメント
クリトリスでイク場合と、腟内でイク(中イキ)場合とがあって、腟でイケる人は1〜3割程度といわれています。
その日の体調にもよりますし、女性はそうそう毎回イケるわけではありません。
絶対にオーガズムに達しないとダメということはないと思いますよ。
■泌尿器科医 小堀先生コメント
エッチな動画の影響で、男性としては絶対中イキさせなきゃ!と思っている人もいるかもしれませんが、結局それが女性に演技をさせてしまうことにつながります。
「どうしたら気持ちいいの?」「どうして欲しい?」とパートナーとコミュニケーションをとることが大事です。
【Q.4】2回連続でセックスをすると精液中の精子の濃度は薄くなる
【A】△
■泌尿器科医 小堀先生コメント
基本的には2回目のほうが精子は薄くなるといわれています。ただ、2回目のほうが精子の運動率がよくなる場合もあるので△です。
これは、マスターベーションでも同じです。精子はかなり小さいので肉眼では見えず、精液中の精子の濃度は人によって異なります。精液の大半は白い分泌液で、その中の精子の割合は数パーセント程度。
サラサラやドロドロなど、体調によっても精子の状態は変わるので、いつもと違うかも?と感じても、そこまで心配する必要はありません。
【Q.5】セックスのあと、逆立ちをすると精子が腟の奥まで入り妊娠しやすくなる
【A】×
■産婦人科医 宋先生コメント
これは都市伝説ですよね(笑)。
腟の入り口を上げたほうが精液は流れ出しにくいとは思いますが……、それなら逆立ちまではしなくても、腰の下に枕を置くなどして腰の位置を高くすればいいのでは?とはいえ、これも妊娠しやすくなるという根拠はありません。
■泌尿器科医 小堀先生コメント
おっしゃる通りだと思います。これはまったくエビデンスがないので「×」です。
逆立ちをしただけで簡単に妊娠率が上がるとは考えにくいです。
【Q.6】男性器は大きければ大きいほど女性は感じやすい
【A】△
■産婦人科医 宋先生コメント
男性にとっては気になるところかもしれませんが、これは好みによります。大きさだけでなく、かたさの好みも、人それぞれ。
好きな女性の胸のサイズが好みではないからといって嫌いになることはないように、気にしすぎる必要はありません。
■泌尿器科医 小堀先生コメント
確かに、男性の中には大きいものこそ正義!みたいに思っている人もいますね(笑)。
感じる・感じないはともかく、妊娠のしやすさとはまったく関係ありません。
鼻がデカい人はアソコもデカいなんていう説もあったりしますが、これも都市伝説ですね。
【Q.7】緊張状態(交感神経優位)で男性は興奮(勃起)する
【A】×
■泌尿器科医 小堀先生コメント
これは完全に「×」です。誤解している人が多いのですが、男性は副交感神経が優位のときに興奮します。だから、家でのんびりリラックスしてビールでも飲んでいるときがいちばん勃起しやすかったり……。
それが「今日排卵日だから!」と言われたとたんに緊張して交感神経が優位になってしまうんですね。赤ちゃんをつくろう!という気持ちが強くなればなるほど勃起しづらくなるという、これはジレンマですよね。
ちなみに射精の瞬間は交感神経優位で起こります。完全にチャンネルが切り替わるイメージです。
【Q.8】その日の体調やアルコールなどによって、男性は早漏や遅漏になる
【A】○
■泌尿器科医 小堀先生コメント
おおいにあり得ます。日本人は遅漏、つまりなかなか射精しないことで悩む人が多いのですが、世界的には早漏で悩む人が多く、研究も進んでいます。
さまざまな研究データがありますが、一般的にいわれている早漏の定義は、「挿入後1分以内に射精する」こと。早漏でも妊娠には問題ありませんが、遅漏の場合は射精障害につながり、妊娠に影響するため日本では表に出やすいのかもしれません。
ある調査では、回答者の半数が「自分は早漏である」「どちらかといえば早漏である」と自己評価をしていて意外でした。
【Q.9】生理中でも浴室などであればセックスしてもOK
【A】△
■産婦人科医 宋先生コメント
うーん……絶対にダメではないけれど、OKとも言いづらいですね。
生理中は子宮口が開くので、腟から菌が入りやすくなります。また、「生理中は妊娠しない」と思っている人も多いですが、そんなことはなく、妊娠する人はいます。
とくに生理の後半は排卵が近づいていることが多く、妊娠を望まないなら避妊が必要です。
以上の理由から、生理中のセックスは、オススメはできません。
■泌尿器科医 小堀先生コメント
生理中は妊娠しないと思っている人は多いですよね。男性も正しい知識を持っておくことが大事です。
【Q.10】セックスは挿入行為のことなので、キスはしてもしなくてもどちらでもよい
【A】△
■産婦人科医 宋先生コメント
セックスの定義は人それぞれで、正解も不正解もありません。
挿入しなくてもセックスかといわれれば、もちろんセックスです。ただ、セックスを生殖のための行為と捉えた場合は、挿入することで精子と卵子は出会いますから、答えは変わってくるでしょう。
キスをしなくても妊娠することは可能です。
■泌尿器科医 小堀先生コメント
その通りですね。
セックスを連帯のため、愛情を確かめ合うための行為と考えるならキスは必要でしょう。
私の病院には勃起障害や射精障害の方も多く訪れます。個人的には挿入にこだわる必要はないと考えています。
【Q.11】挿入後は「強く」「速く」の動きによって女性の快感が高まる
【A】×
■産婦人科医 宋先生コメント
女性をイカせようとして、指やペニスを強く速く動かす男性が多いようです。
でも、これは実は逆効果! 強い動きで痛みを感じたら、女性は快感から遠のいてしまいます。
女性の快感には、激しい刺激は必要ありません。たとえば、バイブレーターやローターのように、一定のリズムが効果的なんです。「同じスピード、同じリズムで淡々と」。これが女性の快感を高めるポイントです。
■泌尿器科医 小堀先生コメント
ここでもエッチな動画の影響が大きそうですね。あの激しい動きを教科書にするのはオススメできません。
【Q.12】性欲の強さには個人差がある
【A】○
■泌尿器科医 小堀先生コメント
めちゃくちゃ個人差があります。その理由は解明されていませんが、メンタルの影響もあるといわれています。
たとえば、親が厳しく、性的なことに興味を持つことを禁じたために、性的なことは罪悪だと考えてしまうケースもあるようです。
■産婦人科医 宋先生コメント
50代・60代の男性の中には、「最近の若い人は性欲が弱くて情けない」などと言ってくる人がいますが、私はそうは思わないんですよ。
今の若い世代は、そもそもたくさんセックスをすることが偉いとか、セックスをした人数を競うとか、そういう価値観がないだけだと思います。
テストの結果は?
セックスについての理解度はどうでしたか?
男と女で知識に差が出る問題もあるので、パートナーと2人でチェックしてみましょう!
【Column】男も本当は積極的に妊活をしたい!?
妊活に関する意識調査によると、男性の51%が妊活は「ふたりで取り組むことで、積極的に取り組んでいきたい」と回答。また、「妊活についてもっと知りたい」と答えた人も43%いました。
以前は妊活をリードするのは女性側で、男性は消極的だと言われていましたが、積極的に取り組む男性が増えているようです。
【調査概要】2021年9月~12月 インタ―ネットによる任意回答
調査人数:20代~60代の男女105人
(広島大学発ベンチャー 株式会社ダンテ)
■監修/
●撮影/合田和弘
●イラスト/KAZMOIS
●取材・文/尾越まり恵
※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。
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