20~30代の女性に多い「バセドウ病」って?こんな症状があったら要注意

最近なんだか疲れやすい、真冬なのに汗が出る、食べているのに体重が減ってきた…そんな症状が出たら要注意。元気の源「甲状腺ホルモン」が必要以上に出てしまう病気、バセドウ病のサインかもしれません。
若い女性に多く、妊娠や出産に影響がないか、心配する人も。どのような病気なのか、詳しく解説していきましょう。

ホルモンが過剰に出てしまう「バセドウ病」

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって起きる自己免疫疾患です。甲状腺ホルモンとは、細胞の新陳代謝を活発にする、いわば“活力の源”。本来は脳からの指示によって分泌量が調整されていますが、バセドウ病では脳からの指示がなくても甲状腺が常に刺激された状態になります。その結果、甲状腺の機能が必要以上に高まってしまい(甲状腺機能亢進症)、ホルモンが過剰に作り出され、動悸や頻脈といったさまざまな症状を引き起こすのです。

 

20~30代の女性に多い

甲状腺の病気はとても頻度が高く、日本人の約20人に1人が何らかの甲状腺疾患を持っているともいわれています。中でもバセドウ病は200500人に1人ともいわれる病気で、男性よりも女性に多いことが知られています。年齢層では2030代の若い世代によくみられますが、思春期や高齢者での発症もあります。

 

バセドウ病の症状

●自覚症状は新陳代謝が活発になり過ぎ、疲れやすい

自覚症状で多いのは、動悸や頻脈、手足のふるえ、発汗の増加、疲れやすい、食欲の増加、体重の減少などです。いずれの症状も、甲状腺ホルモンが大量に分泌されることで、新陳代謝が活発になり過ぎるために起きるものです。若い世代ではこれらの典型的な症状が顕著にあらわれますが、高齢になると症状がわかりにくく、気づきにくい傾向があります。

●見た目では眼球突出、喉元が腫れるなどの症状が

外見的な症状として特徴的なものもあります。一つは、喉元の腫れです。甲状腺は私たちの喉元にあり、蝶のようなカタチをしています。腫れが大きいと、その輪郭が見た目にもわかり、周囲が気づくこともあります。もう一つ、バセドウ病で特徴的なのが、眼球が出っ張ってきて大きくなったように見える、眼球突出です。バセドウ病の3人に1人に起きるといわれています。

 

バセドウ病の検査

主に行われる検査は、問診と触診、血液検査、超音波検査です。まずは問診および触診で、喉元の腫れの状態を確認します。続いて血液検査では、甲状腺ホルモンが過剰かどうかを調べると同時に、バセドウ病であれば甲状腺を刺激する抗体が血液中に出てきますので、それがあるかどうかも調べます。超音波検査(エコー)では、甲状腺の大きさや腫れの有無、血流の増加などを調べます。

多くはこれらの検査で診断がつきますが、診断が難しい場合には、微量の放射性ヨウ素を投与して行う「アイソトープ検査」が行われることもあります。

 

バセドウ病の治療

(1)薬物治療でホルモンの合成を抑える

日本では、薬を用いて甲状腺ホルモンの合成を抑える薬物治療が多く行われています。通常、13ヶ月程度で自覚症状はかなり落ち着き、普段通りの生活を送れるようになります。一方、無顆粒球症、肝機能障害、かゆみなどの副作用が出ることもあるので、経過を見ながら飲み続ける必要があります。症状が治まってもしばらくは薬の服用を続ける必要があり、数年かけて徐々に量を減らしていきます。

 

(2)手術、アイソトープ治療で甲状腺を小さくする

腫れた甲状腺を小さくすることで、甲状腺ホルモンの分泌量を減らす治療です。手術により切除する方法と、内服薬により甲状腺の細胞を壊して小さくするアイソトープ治療の2つがあります。

アイソトープ治療は、放射性ヨウ素のカプセルを服用することで、甲状腺を内側から破壊する治療です。放射線量は非常に低く、また服用したヨウ素は甲状腺に集まるため、カラダへの影響はほとんどありません。手術よりも圧倒的に手軽ですが、効果が出るのに半年から1年くらいかかることもあります。

一方、甲状腺の腫れが大きい場合や、早く確実に治したい場合などには、手術が行われます。甲状腺の全て、または一部を残して大部分を切除します。一部を残せば、甲状腺の機能も残すことができます。全部摘出した場合には、生涯、甲状腺ホルモン剤を飲み続ける必要がありますが、適切に服用すれば副作用はほとんどありません。

 

妊娠・出産への影響は?

若い女性に多い病気ですが、バセドウ病でも適切な治療を受け、甲状腺ホルモンの分泌が安定していれば、妊娠・出産に影響はありません。分泌過剰な状態で妊娠すると、早産・流産の危険性が高くなりますので、治療の経過をよく観察することが大切です。

 

★今回のポイント★

・活力の源「甲状腺ホルモン」が必要以上に分泌され、代謝が活発になり過ぎる病気

・動悸や頻脈、発汗、体重減少などの症状があらわれたら注意

・ホルモン剤による薬物治療で普段通りの生活が可能に

・薬で甲状腺ホルモンの分泌が正常化していれば、妊娠・出産に影響なし

 

 

この記事の監修 
婦人科専門医  松村 圭子先生

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