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突然襲ってくる、激しいめまいや動悸。多くの著名人も公表している「パニック障害」とは?
これといった理由もないのに突然、めまいや動悸、手足の震えなどが起こるパニック障害。
「このまま死んでしまうのでは」というくらいに強い症状。そして、「また発作が起こったら」という不安から外出すらできなくなる人もいます。
そんなパニック障害について、原因から治療法までを解説します。
パニック障害ってどんな病気?
シンガーソングライターのYUI、KinKi Kidsの堂本光一、お笑いコンビの中川家の剛、元プロ野球選手の長島一茂など、過去に「パニック障害」と病名を公表したことがある著名人はたくさんいます。
そのため、一度は「パニック障害」という病名を聞いたことがあるのではないでしょうか?
パニック障害とは、電車や飛行機などの「逃げ場のない場所」にいるときに、急に動悸や息苦しさなどを感じ、どうにかなってしまうのではないかという強い不安にかられてパニック状態になることです。
病院で検査をしても異常はないのに、何度も発作を繰り返します。
パニックは本来、火事や地震など、突発的な生命の危機に直面したときに起こるもの。生き延びるために、頭で判断するより先にカラダが動くという反応です。
ところがパニック障害の人は、何も危険がないのにもかかわらず、命を脅かされるような恐怖を感じ、めまいや吐き気などのパニック症状が出てしまうのです。
パニック障害の主な症状
主な症状には、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」「非発作性不定愁訴」の4つがあります。
● パニック発作
パニック障害の中心となる症状で、不意に理由なく激しい恐怖感に襲われ、以下の13のうち4つ以上の症状が現れる状態です。
1. 心臓がどきどきする、または心拍数の増加
2. 発汗
3. 手足の震え、身震い
4. 呼吸が早まる
5. 息がつまる
6. 胸の痛みや不快感
7. 吐き気、腹部の不快感
8. めまい、血の気が引く感じ
9. 寒気、または火照り
10. しびれ
11. 非現実感
12. 気が狂ってしまうという恐怖
13. 死への恐怖
● 予期不安
パニック症状を繰り返すことで、発作が出ていない時にも不安や恐怖を感じてしまうことです。
不安の対象も、発作そのものから「以前に発作を起こした場所や、発作を起こした時と同じような状況」へと広がっていきます。
● 広場恐怖
以前発作を起こした場所や状況、逃げられない場所ををひどく恐れて、その場所や状況を避けるようになることです。
助けを求められない状況が怖くて、一人でいられなくなる人もいます。
● 非発作性不定愁訴
慢性化すると、フワフワと宙に浮いた感覚や冷や汗などの軽い症状が持続的に出るようになります。
これを非発作性不定愁訴といいます。
パニック障害の原因は?
脳の中には、「脳内神経伝達物質」と呼ばれる物質が数種類あり、外からの刺激や情報を、神経細胞から神経細胞へと伝える働きをしています。
パニック障害は、この神経伝達物質のうち不安や恐怖に関係する「ノルアドレナリン」と、興奮を抑える「セロトニン」のバランスが崩れることが原因だと考えられています。
パニック障害の治療法
パニック障害の治療には「薬物療法」と「心理療法」があります。
根本的な治療のために重要なのは「心理療法」ですが、発作を繰り返すたびに不安感が強まり、症状が進むので、まずは発作を抑えるための「薬物療法」から開始します。
< 薬物療法 >
ノルアドレナリンとセロトニンのバランスを整えるために、主に以下のような薬を服用します。
・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬): 脳内のセロトニンの量を増やす作用があります
・抗不安薬
・抗うつ剤
< 心理療法 >
パニック障害という病気を理解し、対処していくためのカギとなる治療法で、「認知行動療法」と「自律訓練法」があります。
認知行動療法とは、誤った認知や行動習慣を修正していく方法です。例えば電車に乗れなくなった人は、駅まで行くことから始めて、改札まで行く、改札を通る、ホームまで行く、というように少しずつ不安を克服していきます。
自律訓練法は、ココロとカラダをリラックスさせる方法を身につける訓練です。パニック障害の人は、常に緊張状態にあるので、リラックスできるようになることはとても重要です。
★今回のポイント★
・理由もないのにパニック発作を起こす状態を「パニック障害」という
・脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることが原因
・治療は、薬物療法と心理療法を組み合わせて行う
この記事の監修
婦人科専門医 松村 圭子先生
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