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手術しなくても大丈夫?子宮内膜症の原因と治療法
本来は子宮の内腔にあるはずの子宮内膜が、子宮以外の場所にできてしまう子宮内膜症。
どうしてそのようなことが起きてしまうのか、どうしたら症状を改善できるのか、今回は子宮内膜症の原因と治療法について解説していきます。
子宮内膜症の原因は「生理」
生理の周期は、女性ホルモンによってコントロールされています。
子宮内膜は、この女性ホルモンの働きによって増殖と剥離を繰り返していますが、子宮内膜症では、この周期的な変化が子宮以外の場所で繰り返されることになります。
そのため、生理のたびに病気が進行していってしまうのです。
ライフスタイルの変化がもたらす現代病の側面も
子宮内膜症の発生と大きく関係しているのが、妊娠・出産。
かつて、日本の女性は初潮が来てから妊娠・出産までの期間が短く、しかもたくさんの子どもを産んでいました。そのため、生理のない期間が長く、子宮内膜症のリスクは少なくて済んだのです。
ところが、現代女性は初潮が早い上に、働く女性が増えたことで晩婚化、少子化も進んでいます。このことで昔の女性よりも生涯の生理の回数が格段に増え、これが子宮内膜症のリスクになっているのです。
薬による治療と、手術による治療がある
子宮内膜症の治療には、大きく分けて薬による治療と、手術による治療があります。
どのような症状がどの程度あるのかという重症度によって、または年齢や妊娠の希望なども考慮した上で、その人に最適な治療法は何か、総合的に判断していく必要があります。
● 薬による治療
軽症・早期の場合には、薬による治療で症状の改善を目指します。まず、痛みに対しては、鎮痛薬を用います。
一方、病気そのものの改善にはホルモン療法が行われます。
ホルモン療法では、一時的に生理をとめたり軽くした状態を作り出し、病巣を休ませることによって症状を抑え、進行を遅らせます。閉経あるいは妊娠中と同じような状態を人為的に作り出すことから、偽閉経療法、偽妊娠療法と呼ばれています。
(1) 偽閉経療法
卵巣からの女性ホルモンの分泌を低下させ、一時的に閉経状態をつくりだします。Gn-RHアゴニストというホルモン剤を用いるのが主流で、点鼻薬と注射薬があります。
(2) 偽妊娠療法
妊娠すると子宮内膜症が改善する場合が多いことから、人為的に妊娠したような状態を作り出します。黄体ホルモン製剤や低用量ピルなどが用いられます。
● 手術による治療
骨盤内の癒着や卵巣にチョコレートのう胞がある場合など、すでに重症化している場合には、手術による治療が選択されることもあります。
かなり進行している場合には子宮や卵巣を取り除くこともありますが、基本的には臓器は取り除かず病巣に処置を施す保存的治療が行われます。
手術の方法もさまざまですが、主にお腹を開いて行う開腹手術と、お腹に小さな穴を開けて行う腹腔鏡手術に分けられます。
腹腔鏡手術では、小さな穴から管を差し込み、癒着をはがすなどの処置を行います。開腹手術に比べてカラダへの負担が少なく、回復が早いというメリットがあります。
長期の経過観察が必要
子宮内膜症は、いつの間にか進行していくというよりも、痛みなどの自覚症状がはっきりと現れます。
早い段階で薬による治療を始めれば、手術に至るほどの重症化を避けることができるでしょう。
自分の子宮や卵巣を守るためにも、大切なのはより早い段階から治療を開始すること。治療で進行を遅らせながら、病気とうまく付き合っていきましょう。
また、子宮内膜症は仮に手術を行ったとしても、閉経するまでは再発の可能性があります。経過観察を長期的に行っていくことが大切です。
★今回のポイント★
・子宮内膜症は生理のたびに進行していく病気
・一時的に生理を止めるホルモン療法で、進行を遅らせる
・重症の場合には手術も
・再発の可能性は高く、長期の経過観察が必要
この記事の監修
婦人科専門医 松村 圭子先生
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