生理の量が多いのはなぜ?婦人科・産婦人科に行くべき基準は?

「なんだか今回の生理、量が多いけれど大丈夫かな?」と、一人で不安になっていませんか?でも、生理の量が多いといっても、一時的に多いのか、ずっと多いのかによってもリスクは異なってきます。自分は婦人科・産婦人科に行くべきなのか、それとも様子を見るだけで良いレベルなのかを、わかりやすくご紹介します。

生理はどれくらいから量が多いと言えるの?

生理の量がいつもより多いという場合、まずはどれくらいが多いものなのか、標準の量との違いを知っておきましょう。

 

生理用ナプキンを替える頻度はどれくらい?

1時間ごとに昼用ナプキンを替えなければならなかったり、夜寝ている間ももれが気になって、夜中起きて夜用ナプキンを一枚取り替える必要があったりする場合は、生理の量が多いといえます。

通常は、日中多い日でも2時間は持つといわれています。夜も、夜用ナプキン一枚で足りるはずです。

 

血の塊があるかどうかも確認しよう

生理の量が多い場合、血の塊が出ることがあります。もしこのような血のかたまりが出るようなら、生理の量が多いという判断の目安になります。ただしレバー状の塊は女性ホルモンの分泌が活発な20代後半から30代に比較的よく見られるため、頻繁に塊が出る場合や親指大以上の塊が出るような場合を除いてはすぐに心配しなくても大丈夫です。

 

生理の量が多い場合に考えられる原因

標準よりも生理の量が多いと気づいたら、次は何が原因なのかを探っていきましょう。

一時的に生理の量が多いのか、それともこのところずっと多い状態が続いているのかによって考えられる原因が変わってきます。

 

一時的に生理の量が多い場合

特に子宮などに異常がなく、一時的に生理の量が多い場合です。

女性ホルモンのバランスの乱れで、経血のもとになる子宮内膜が厚くなっていることなどが原因のひとつとして考えられています。

 

常に生理の量が多い場合

一方、子宮などの病気により長期間、生理の量が多い場合があります。、子宮腺筋症、子宮筋腫などが主なもので、この場合、子宮の内腔が大きくなることによって剥がれる子宮内膜の量が多くなり、経血量が増えます。

 

生理の量が多い場合、すぐに婦人科・産婦人科に行くべき?

生理の量が多い場合、一時的に多いのか、常に多いのかによって原因が異なることがわかりました。しかし、生理の量が多いとき、すぐに婦人科・産婦人科へ行くべきかどうかを迷ってしまいますよね。

状況によっては様子を見たほうがいいこともあるので、その基準を確認していきましょう。

 

一時的に生理の量が多い場合

一時的に経血の量が多いのなら、女性ホルモンのバランスに乱れが生じていることが考えられます。一時的なのか、それとも何か大きな原因があって、今後も続くのかを見極めるために、婦人科・産婦人科へ行って、様子を見ることになります。もし貧血があればその治療が行われます。

また、低用量ピルを服薬することもあります。低用量ピルは避妊以外にも、生理によるトラブルを和らげる効果が期待できます。生理前に起こる月経前症候群や生理痛の緩和、生理周期を正常にするなどです。このうち、生理の量が多い状態を改善する効果もあるといわれています。低用量ピルを飲むと子宮内膜が薄くなるため、生理の量が減るからです。

 

常に生理の量が多い場合

常に経血の量が多いのなら、子宮関連の病気が疑われます。この場合は、早急に婦人科・産婦人科にかからなければなりません。しかし、病気によっては外からでは見極めがむずかしいことがあるため、それぞれの病気について見ていきましょう。

 

子宮筋腫

子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。症状には、生理の量が多いことのほか、生理痛が重い、貧血、下腹部に圧迫感がある、しこりを感じる、腰痛、頻尿、便秘などがあります。これらの症状を伴う場合には、子宮筋腫を一度疑ったほうがいいでしょう。

婦人科・産婦人科では、症状がほとんどなく筋腫も小さい場合、経過観察することになります。筋腫が大きかったり、症状が重くて日常生活に支障をきたすような場合は、薬物療法をしたり、手術で筋腫や子宮そのものを摘出するケースもあります。

 

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜に似たものが子宮筋層にできる病気で、子宮内腔が大きくなるため、生理の量が増えます。他の症状としては、生理を繰り返すうちに生理痛が重くなる、生理のとき以外でも下腹部や腰が痛むなどがあります。これらの症状を伴う場合には、子宮腺筋症を疑ったほうがいいでしょう。

治療は、痛みや貧血などに対する対症療法や、ホルモン療法で症状をコントロールしていくのが基本。最終的には、手術で子宮を摘出することもあります。

 

生理の量が多ければ貧血にも気を付けて

生理の量が多い場合、貧血を同時に起こしていることが多いといわれています。実際、女性の出血が原因で起こる貧血の約6割は、生理の量が多いことが原因だといわれています。

生理で血が出過ぎてしまうと、血液中の鉄分が不足してしまいます。鉄分は体内に酸素を運搬する「ヘモグロビン」にとって必要なもの。貧血の症状には、動悸・息切れ・倦怠感・味覚がにぶることなどがあります。

生理の量が多いのは気になるものの、今回紹介したものを確認したら、婦人科・産婦人科に行くまでもないと思った人も、貧血が生じていることもあります。その場合には、貧血の治療を受ける必要があります。

生理の量が多い場合は、その多い状態がいつもなのか、それとも一時的なものなのかによって、原因が異なってきます。場合によっては子宮の病気の可能性もあります。出血量が多いのが長く続く、生理痛が重すぎるなどの他の症状があれば、すぐに婦人科・産婦人科を受診するのをおすすめします。

同時に、貧血を引き起こしている可能性もあるので、合わせて確認しておきましょう。

 

この記事の監修
婦人科専門医  松村 圭子先生

初回公開日:2016913
最終監修日:2022228

この記事のキュレーター

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