関連記事
乳首がかゆい…気になるけれど、誰にも言えない!これって病気?
乳首のかゆみがひどくてかいてしまうことも……。しかも、場所が場所だけに、人前ではどうすることも出来ないというお悩みを抱えている人は、実は少なくありません。
乳首がかゆくなる原因は何なのでしょうか。そこに思わぬ病気がひそんでいることもあるようです。
乳首がかゆい!こんな症状はありませんか?
●乳首がかゆくてたまらず、血が出るほどかいてしまう
乳首のかゆみは人によっていろいろですが、むずがゆさやヒリつく感じがしたり、お風呂上りや運動後のようにカラダが温まると、かゆみが増したりすることが多いようです。
かゆみを我慢することは、大人でもむずかしいもの。つい、かきすぎて傷を作ってしまい、汁や血が出てしまうという方も少なくないのでは?
かさぶたから傷が治ればよいのですが、かゆみが再発するたびに我慢できずにかいてしまい、傷が痛い状態が続いてしまうこともあるようです。
乳首がかゆい!考えられる原因は?
繊細な場所だけに、ちょっとした刺激でもかゆみを感じやすい乳首ですが、注意した方がよい場合がいくつか考えられます。
一時的にかゆくなるだけでなく、長期にわたってかゆみが続く、あるいはかゆみの度合いが強くなっていく時。
または、市販薬を使ってもかゆみが治まらず、かきこわして傷をひどくしてしまうような時には注意が必要です。
なぜ、このような症状が起きてしまうのでしょうか。
●ブラジャーでも起こる接触性皮膚炎
もっとも多い原因となっているのは、皮膚炎です。
皮膚炎にも何種類かありますが、ひとつは何かに触れる刺激によって引き起こされる接触性皮膚炎です。
乳首は、常にブラジャーと触れている状態ですから、どんな薄着の状態だとしても、摩擦を感じていることになります。
その時々の体調や状態によっては、日常的な刺激を強く受けてしまい、炎症を起こしてしまうのです。
傷を負った皮膚には、治そうという自然治癒力がはたらきますから、その過程でかゆみが起こってしまうというわけです。
●アレルギー体質が原因の炎症も
接触性皮膚炎の原因としては、アレルギー体質の影響も少なくありません。
何らかのアレルギーを抱えている人は、さまざまなものに対して敏感になっています。
免疫機能がうまく働きにくい状態になっていますから、ちょっとした刺激に対しても過敏な反応をみせてしまうのです。
季節の変わり目に、肌のかさつきや乾燥が気になると思います。
しかし、乾燥しているのは、顔や手足の肌だけでありません。刺激に弱く、外的な変化に影響されやすい乳首も同じなのです。
敏感な部分にもOKな保湿剤やクリームを塗って乾燥を防ぐのも、ひとつの対策になります。
乳首がかゆいときに考えられる病気について
●乳頭・乳輪湿疹になっていることも
保湿剤を塗っても、なかなか乳首や乳輪のかゆみが治まらない場合は、「乳頭・乳輪湿疹」になっていることがあります。
特に、女性は生理周期におけるホルモンバランスの変化に影響を受けやすく、かゆみが増したり、胸が張って違和感を感じたりすることがあるようです。
●気分や体調の波に影響大な女性ホルモン
女性ホルモンのひとつがエストロゲン。別名、卵胞ホルモンともいわれます。
このエストロゲンは、生理後から排卵期にかけて分泌量が増え、卵胞の成長をサポートし、子宮内膜を厚くする働きがあります。
また、肌の水分量を保つのに必要なコラーゲンの産生を促し、お肌に潤いをもたらします。
この時期は気分よく、快適に過ごせることが多いようです。
もうひとつのプロゲステロンは、排卵後から生理前にかけて分泌量が増える、別名、黄体ホルモンです。
これは、卵子を包んでいた卵胞が、排卵後に黄体化することによって分泌され、便秘やむくみ、だるさといった月経前症候群(PMS)を起こすこともあるホルモンです。
こうしたホルモンの分泌によって体調が変化することは、誰にでもあるもの。
定期的に強いかゆみを感じたり、かきこわしてしまったりすることを繰り返している場合は、どのような時にかゆみが現れるのかを生理周期とともに記録しておくと、受診時にも役に立つでしょう。
●“かゆみ”は、乳がんの初期症状であることも
「乳房パジェット病」という乳頭にできるがんの初期にも、乳首がかゆくなったり、汁がにじみ出たりすることがあります。
乳房パジェット病は、全乳がんの0.5%と言われており、転移や再発が少なく、完治が望めるとされています。
初期に発見することが出来れば、乳がんは完治が望めるといわれています。
「かゆい」というだけでは、大人はなかなか医療施設に足を運ばないと思いますが、こうした病気の兆しだということもありますので、カラダの変化に対しては敏感になりましょう。
病気によって乳首がかゆい場合の治療法は?
●乳頭・乳輪湿疹の治療法
医療施設で処方されたステロイド剤を塗ることでかゆみや赤みが治まり、傷から浸出液が出てくる場合は抗生剤で改善されます。
また、内服薬の抗アレルギー剤を処方されることもあり、体の内側からもかゆみを抑えることが出来ます。
傷口がひどくなっている場合は、下着や洋服にくっついて汚したり、傷を悪化させたりすることもあります。この場合は、ワセリンを塗って保護するとくっつきにくくなります。
傷をかきこわすことを続けてしまうと、皮膚が硬くなってごわついたり、黒ずみを起こしたりしてしまいます。
かゆみが続く時や汁が出てきた場合は、悪化する前に早めに受診することを心がけましょう。
●乳がんにかかっていた場合の治療法
乳首にかゆみがある人の中で、乳がんにかかっているケースは数少ないと思いますが、その場合でも焦らずに治療にのぞみましょう。
病変が乳頭、乳輪付近にとどまっていることがわかれば、乳頭と乳輪を含む部分切除を行い、放射線治療と組み合わせた治療で乳房を温存することが可能なこともあります。
「乳首がかゆい」という症状があっても、あまり大げさに心配する必要はありません。
しかし、かゆみが続いているのにいつまでも我慢したり、診察されるのが恥ずかしいからと自分で判断して後回しにしたりするのはよくありません。
長引いて悪化させてしまうことのないように、きちんと診察を受けに行きましょう。
★今回のポイント★
・乳首のかゆみの最も多い原因は、皮膚炎
・女性ホルモンの分泌量の変化による影響も
・乳がんの初期症状として、乳首のかゆみを感じる場合もある
この記事の監修
婦人科専門医 松村 圭子先生
初回公開日:2017年7月27日
最終監修日:2021年5月7日
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
ルナルナの最新情報をお届けします