なぜ生理前&生理中にチョコが食べたくなるの?

生理前や生理中に甘い物、中でも特にチョコレートが食べたくなる人が多いようです。しかし、食べたくなるからといって、むやみに食べてしまってもいいのでしょうか?今回は、チョコレートが食べたくなるカラダのメカニズムと、食べた事によって起こりうるトラブルなどを紹介します。

生理前〜生理中にチョコを食べたくなるのはなぜ?

生理前〜生理中は、女性ホルモンのバランスが急激に変動します。この女性ホルモンとは、妊娠・出産ができるカラダをつくるため、脳の命令によって卵巣で生成されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の総称です。

女性ホルモンのバランスが急激に変動し、ストレスなどの影響を受けると月経前症候群(PMS)の症状を引き起こすことがあります。ただでさえ、生理前は幸せホルモンともいわれるβ-エンドルフィンやセロトニンの低下を起こしやすいので、ネガティブな思考になりがちです。

実は、チョコレートの原料となるカカオには、以下に挙げたような生理前〜生理中に不足しがちな成分が含まれています。

●テオブロミン

この成分は自然界ではほぼカカオにのみ含まれるもの。セロトニンを増加させて、食欲を抑え、リラックスさせる作用を持つといわれています。生理前~生理中のセロトニンの不足に、カカオのもつテオブロミンによるリラックス効果を求めたくなるため、自然とチョコレートを欲するのかもしれません。

●鉄分

生理中は鉄分不足にもなりやすいもの。チョコレートの原料であるカカオには、鉄分も多く含まれています。貧血気味の人は特に生理中にチョコレートを食べたくなる…?のかもしれないですね。

 

このように生理前〜生理中に女性ホルモンの変化や血液の排出によって不足する成分を自然と補おうとして、チョコレートが食べたくなるという現象が起こるのかもしれません。

 

生理前〜生理中にチョコを食べても大丈夫?

前述の通り、チョコレートを食べることで生理前はリラックス効果が得られたり、生理中の鉄分不足を多少改善できたりして、チョコレートを食べることはいいことのように思えますよね。

しかし、何事も適量であることが重要。デオブロミンは一度に過剰摂取してしまうと、興奮作用や利尿作用を引き起こしてしまいます。(カカオの含有量によってテオブロミンの含有量は大きく異なるので、一律に適量を書かないほうが良いと思います)食べ過ぎないようにしたり、糖分少なめのビターチョコレートなどを選んで食べるのがオススメです。

●チョコは生理痛を悪化させる?

月経前症候群(PMS)や生理痛の症状が強い人は、生理前~生理中のチョコレートの摂取をなるべく控えた方がいいかもしれません。なぜなら、チョコレートなどのカカオ製品には、血管や子宮の収縮を促進する働きをもつ「チラミン」という成分が含まれているためです。

また、カカオにはカフェインも含まれています。このカフェインにはカラダを冷やす効果があるため、カフェインとチラミンの相乗効果によって、生理前〜生理中の女性のカラダには、あまり良くない影響を及ぼしてしまうのです。

 

生理前〜生理中にチョコを食べると生じやすい症状

チラミンという成分の働きにより起こる症状として、頭痛が挙げられます。これには、チラミンのもつ血管収縮作用が影響している可能性があります。また、糖分を多く含むチョコレートを食べ過ぎると、冷えにもつながるので注意が必要です。

そのほか、脂肪分の多いチョコレートを食べ過ぎることで、体重増加の原因にもなってしまいます。

 

生理前〜生理中に控えるべきチョコ以外の食べ物

頭痛を引き起こす可能性のあるチラミンという成分は、チョコレートだけでなく下記の食品にも含まれています。

・赤ワイン
・ビール
・チーズ・タラコ

普段から月経前症候群(PMS)で悩んでいる人や、生理中の痛みがひどいという人は、生理前〜生理中に食べるものにも気をつけてみてはいかがでしょう?

 

逆に生理前〜生理中に食べた方が良い食べ物は?

では、生理前〜生理中に意識して食べた方が良い食べ物とはどのようなものなのでしょうか?

まず、血液循環やホルモンバランスを良くするビタミンEを含む食品が挙げられます。例えば、おやつには、ドライフルーツやアーモンドなどのナッツ類がオススメ

また、EPA(エイコサペンタエン酸)やドコサヘキサエン酸(DHA)といったオメガ3系不飽和脂肪酸を含む食品にも血流を改善する効果があるので、積極的に摂りたいものです。これらは、アジやサバなどの青魚に多く含まれています。なかでもEPAには子宮収縮を和らげ、生理痛を緩和してくれる働きがあります。EPADHAは熱に弱いので青魚はなるべく生で食べるのがいいでしょう。

しかし、カラダが欲するチョコレートをどうしても我慢できないこともあるでしょう。そんな時は、温かいミルクココアを飲むのがオススメです。カフェインはごく微量で、チョコレートと同じリラックス効果を得ることができるでしょう。

生理前〜生理中のチョコレート欲求と上手に付き合いつつ、自分にあった食品を探してみるのもいいでしょう。

 

この記事の監修
婦人科専門医  松村 圭子先生

初回公開日:2016年913
最終監修日:2022228

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