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生理中に起こる胃腸の不調、どうすればいい?
生理の時、胃や腸の辺りの痛みや張りが気になりますか?もしくは、下痢や便秘に困っていませんか?生理のたびに胃腸の不調が起きてしまうのはツライですよね。
そもそもこれらの消化器症状は、生理とどのような関係があるのでしょうか。今回は、その原因と対策をご紹介します。
生理中の消化器症状の種類
生理中には、子宮付近がきゅーっと締め付けられるように下腹部や腰が痛む「生理痛」が起きることがあります。しかし、それとは別に、胃腸の調子が悪くなったり、胃腸付近に不快感を感じたりすることはありませんか?
実はこれ、ただなんとなく起こっているのではなく、明確な理由があるのです。
まずは生理中に起こる可能性のある消化器症状の種類を見てみましょう。
●お腹が張る・ガスがたまる
●便秘
●下痢
●胃痛
これらの腹痛は、主に、生理が始まってすぐに1~2日目で起こることが多いようです。
生理中の消化器症状の原因
では、これらの生理中の消化器症状は、何が原因で起こっているのでしょうか?それぞれ詳しく原因を確認していきましょう。
●お腹が張る・ガスがたまる
生理前は、女性ホルモンのうち、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が高まります。プロゲステロンには腸のぜん動運動を低下させる働きがあるため、ガスがたまりやすくなったり、便秘がちになったりします。
しかし、生理が始まる頃にはプロゲステロンの分泌量が減るので、今度は腸の働きがよくなります。生理初期にお腹が張ったり、ガスがたまってゴロゴロしたりするというのは、腸の動きが変化する過渡期にあるからと考えられます。
●便秘
便秘についても、ガスがたまるのと同じ理由で、黄体ホルモン(プロゲステロン)による影響が考えられます。黄体ホルモン(プロゲステロン)には腸の動きを鈍くする働きがあるため、生理前は便秘になりやすく、生理がきたらお腹がゆるくなります。生理初期に起こる便秘も、生理が中盤になれば排出されやすくなるでしょう。
●下痢
生理がくると下痢気味になるのはある意味体の正常な症状です。生理前は、上述のように黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が高まり、腸の動きが低下します。やがてプロゲステロンの分泌が減ると生理が来ます。
このとき、プロゲステロンの作用によってこれまで抑えられていた腸の動きが活発になり、便やガスが排出されやすくなることから、かえって下痢気味になることがあります。
●胃痛
生理中、胃が締め付けられるように痛むことがあります。これは「プロスタグランジン」という子宮を収縮させる物質による作用だと考えられています。
プロスタグランジンの分泌量が増すと、子宮だけでなく子宮の周りにある胃腸などの臓器にも影響が出ます。つまり、胃痛は、胃がプロスタグランジンの影響で収縮することで起こっていると考えられます。
生理中の消化器症状の対策
では、生理中の消化器症状の症状が出たら、どのように対策すればいいのでしょうか。原因別に見ていきましょう。
●お腹が張る・ガスがたまる・便秘の対策
腸の動きが鈍くなることによって起こるお腹の張りやガスだまり、便秘などは、生理も3日目くらいになれば解消されることがほとんどです。気になる場合は、自分から腸の動きをよくするために、座ったままカラダを左右にねじる運動を行うのもおすすめです。
また、お腹周りが冷えないように、腹巻をする、冷たい飲み物は控えるのもいいでしょう。
●下痢の対策
生理1~2日目はお腹がゆるくなる傾向があります。特に気にする必要はないでしょう。
しかし下痢がひどい場合は、症状に応じて、整腸剤や下痢止めを服用することも考えましょう。薬局やドラッグストアで売られているものでも良いですが、下痢止めの場合は、内科を受診して処方されるもののほうが良いといわれています。
●胃痛の対策
ひどい場合以外は気にしなくて大丈夫です。あまりに胃痛がひどい場合には、婦人科・産婦人科を受診しましょう。プロスタグランジンの働きを抑える薬や痛み止めが処方されることもあります。
●子宮内膜症・子宮筋腫などの疑いがある場合
消化器症状だけでなく、生理痛がかなり強い場合や、排便や排ガスに伴う痛みや血便など上述の消化器症状以外の症状がある場合などは、病気の可能性を疑いましょう。少しでも心当たりがあれば、早急に婦人科・産婦人科を受診するのをおすすめします。
症状が強く、他の症状を伴う場合は受診を
生理中の消化器症状は、通常、女性ホルモンの影響で自然に起こるものです。特に強い症状がない場合は、気にする必要はありません。時が経って、自然におさまるのを待ちましょう。
生理前は便秘気味に、生理がはじまればお通じがゆるめになるというカラダの流れを知って食事などを工夫するのも大切です。
ただし、症状が強い場合や腹痛以外に症状がある場合には、病気の可能性もあります。気になる症状があれば、すぐに婦人科・産婦人科を受診しましょう。
この記事の監修
日本産科婦人科学会専門医 甲賀 かをり先生
初回公開日:2016年9月12日
最終監修日:2021年5月23日
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