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これって大丈夫?生理の出血量が多い原因は?
「なんだか最近の生理の量が多いかも…」そんなことに気付き、誰に相談していいかわからなくて困っていませんか?
生理の出血量は、月によって差はあっても、以前と比べて、増えてきているかどうかは、ある程度自分で思い当たるものです。そんな時、私たちのカラダにはどんな変化が起きているのでしょうか。
今回は、生理の出血量が多い原因をご紹介します。
生理の平均的な出血量の目安
生理の出血量は、一般的には、どれくらいが平均なのでしょうか。まずは、その目安を確認しておきましょう。
●生理の出血量、多いってどれくらい?
普通の生理の出血量では、一番出血量が多い日の日中でも、多い日の昼用の生理用ナプキンを当てていれば、4~5時間くらいは使用できます。しかし、1~3時間程度で漏れてしまう場合は、出血量が多いと判断できます。
1回の生理ではナプキンを20枚くらい使うのが平均といわれているので、それよりたくさん使う場合も量が多いと判断できます。
生理の出血量が多い「過多月経」とは?
生理の出血量が多くなることを「過多月経」と呼びます。通常、1回の生理では20~140 mlほどの出血があるといわれていますが、過多月経の場合、140 ml以上になります。
●過多月経の原因
過多月経は、大きく分けて子宮の異常による「器質性過多月経」と、子宮に異常のない「機能性過多月経」の2種類があります。
器質性、機能性、どちらの過多月経も、それによって生活に支障が出ている場合、また、貧血になってしまっている場合は、適切な治療を受ける必要があります。
器質性過多月経の原因となる病気
器質性過多月経の原因には次のような病気が考えられます。
●子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮に良性の腫瘍(こぶ)ができる病気です。若い女性から成熟期の女性まで、幅広く見られます。過多月経や貧血のほかに、生理痛が重い、下腹部の圧迫感やしこり、頻尿などの症状が出ます。
●子宮腺筋症
子宮内膜のような組織が、子宮筋層と呼ばれる筋肉の壁の中できる場合には、「子宮腺筋症」と呼ばれます。
そのほか、子宮内膜ポリープ、あるいは子宮内膜の悪性腫瘍なども器質性過多月経の原因のとなります。
機能性過多月経の原因となる病気
機能性過多月経の原因には具体的な次のような病気が考えられます。
●卵巣機能不全
生理が来ていると思っていても、ホルモン分泌に異常があり、排卵が起こっていない状態、もしくは排卵があってもその前後のホルモンに乱れがある状態です。10~20代、及び40代に多く起きます。過多月経のほかにも、生理周期が長いなどの異常が生じることもあります。
●血液凝固異常
血液を固める機能の異常などの内科的疾患が原因となって月経量が増える場合もあります。
そのほか、他の病気の治療のために血液をさらさらにする薬などを飲んでいることが原因で過多月経となることもあります。
過多月経の治療・対策
過多月経が起きた場合、まずは原因を正しく知るためにも、婦人科を受診しましょう。そして、その原因となる病気や症状に応じて、適切な治療と対策を行う必要があります。
しかし、過多月経が起きたときに共通して行うべき治療や対策がありますので一部を紹介します。
●貧血対策
生理の出血量が増えれば、血液がいつもよりも多く失われることになるため、多くの場合、貧血をきたすといわれています。貧血の中でも、鉄欠乏症の貧血です。
鉄分を普段の食事から多く摂る必要があります。また、治療法として、鉄剤が処方されることもあります。
●器質性過多月経の原因となる子宮の病気の治療
子宮筋腫や子宮腺筋症が原因で過多月経が起きている場合、症状に応じて治療が行われます。
子宮筋腫の場合、もし過多月経だけでなく、生理痛が強い、不正出血がある、検査で筋腫が大きくなってきているなどであれば、薬剤による治療や手術が行われます。初期であれば、痛みに対して鎮痛剤、貧血改善のために増血剤、生理の量を減らすために低用量ピルと同様の薬剤やプロゲスチン製剤などの薬剤が用いられます。進行している場合は、手術で筋腫を摘出したり、子宮すべてを摘出したりすることがあります。
子宮腺筋症でも、子宮筋腫と同様の治療が行われますが、子宮腺筋症の場合は病気の部分だけを摘出することが難しいという違いがあります。
●機能性過多月経の治療
もともとの内科的な疾患を治療したり、服用している薬があれば中止したりして様子を見ます。ホルモン分泌の異常や乱れがある場合は、ホルモン剤で治療を行います。ホルモン剤には、プロゲスチン製剤、低用量ピルと同種の薬剤などが用いられます。
レバー状の塊にも注意
過多月経で出血量が多い場合、レバーのような、血の塊のようなものが出ることも多いといわれています。少量なら問題ありませんが、もしレバー状の塊がたくさん出る場合には、すぐに婦人科を受診するのをおすすめします。
生理の出血量が多くなる過多月経について、その量の目安や原因、治療法などを紹介しました。もし過多月経の可能性がある場合には、すぐに婦人科を受診しましょう。
この記事の監修
日本産科婦人科学会専門医 甲賀 かをり先生
初回公開日:2016年7月13日
最終監修日:2021年4月22日
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