更年期の対策(治療)
更年期障害の治療って一体どんなことをするの?
更年期障害だと診断された場合、担当医と相談の上、複数の選択肢から治療法を選ぶことができます。
更年期障害の治療法
ホルモン補充療法(HRT)
減少した卵胞ホルモン(エストロゲン)を薬によって外から補充する療法です。
卵巣からのエストロゲンの分泌の減少を補充して埋め合わせすることで、更年期というホルモンバランスが崩れていく時期の心身を整えていきます。 のぼせ、ほてり、発汗といった血管運動神経症状がある場合には、ホルモン補充療法(HRT)が効果的です。そのほか、膣が乾燥する等の症状にも効果があります。
一般的にはエストロゲン(卵胞ホルモン)製剤を使用します。エストロゲン製剤には飲み薬だけでなく貼り薬、ジェルもあります。
<ホルモン補充療法の投与法>
・子宮を摘出した方には
エストロゲン(卵胞ホルモン)単独療法
・子宮がある方には
エストロゲン(卵胞ホルモン)+プロゲステロン(黄体ホルモン)併用療法
黄体ホルモンを併用する理由:エストロゲン(卵胞ホルモン)のみを投与すると子宮体がんのリスクが上昇すると言われており、それを予防するため。
<ホルモン補充療法の副作用>
乳房の張り、おりものの増加、不正出血、下腹部のハリ、吐き気
使用する薬剤により、副作用のリスクは違いますが、カラダが治療に慣れてくる1~2ヶ月後までに治まるものがほとんどです。
また、ホルモン補充療法を受ける場合は、乳がん検診を受ける必要があります。 乳がんを発症している、脳卒中になったことがある人など、この療法を受けることができない人もいますので受診時は必ず医師に伝えて相談しましょう。
漢方療法
漢方療法は、とくに手足の冷えやめまい、動悸、倦怠感がみられる場合に有効だといわれています。 ただし、漢方薬にも副作用はあるため、体質や症状に適した漢方薬を選択することが大切です。 医療機関で処方される保険適用のものだと、一般的には「当帰芍薬散」、「加味逍遥散」、「桂枝茯苓丸」などが用いられます。他にも漢方薬局等で購入できるものや、ドラッグストア等で購入できるものもあります。
自律神経調整剤
めまい、疲労感、頭痛など自律神経失調症状に使用します。
睡眠薬・精神安定剤・抗うつ薬
不眠、気分の落ち込み、不安感や焦燥感が強い場合等、症状に応じて使用します。
カウンセリング・心理療法
更年期障害は精神的要素に大きく左右されるため、カウンセリングや心理療法が必要となる場合に行います。
更年期障害の治療には様々な方法があります。医師に相談してみましょう!
病院選び、どうすれば?
病院選びのポイントとして、専門性や、医師との話しやすさ、相談しやすさに長けている医療機関をオススメします。候補の医療機関のホームページをチェックし、更年期障害も診ているか、ホルモン補充療法(HRT)などの治療を積極的に行っているか、保険診療か自由診療かといった点に注目してみましょう。最近では「女性外来」や「更年期外来」といった専門外来を設けている病院もあります。更年期障害に詳しい先生を探すためにも、こうした医療機関をまずチェックするとよいでしょう。精神的な症状がある場合は、医師に対する相談のしやすさも大切な項目です。自分が話しやすい体制を整えられる医療機関を探すことを意識しましょう。
この基礎知識の監修
婦人科専門医 松村 圭子 先生