豪田トモ「パパが育児をすると“仕事がデキる”ようになる!?」 〜命と家族について考えよう Vol.2〜

「子どもは親を選んで生まれてくる」という胎内記憶をモチーフに、4組の夫婦の物語を通して「自分たちが生まれてきた意味」や「家族の絆」「命の大切さ」「人とのつながり」を考えさせられるドキュメンタリー映画『うまれる』。シリーズ2作目『ずっと、いっしょ。』に続き、3作目に向けて動き出した豪田トモ監督は、現在、保育園に通う娘の育児に積極的に関わっている。そんな豪田監督に、ご自身の出産・育児経験も含めて、「命」や「家族」について語っていただきました。

ママのストレスを感じて、赤ちゃんは泣く

前回のVol.1では、一般論として男性は女性に比べて右脳が発達していないので、感受性が乏しい。それゆえ赤ちゃんと接すること自体が最初は苦手なので、常に“厳しいアウェー状態”なんだというお話をしました。

そこはママには理解しておいて欲しいとお願いしましたが、パパだって闘っているうちに何とかなることもあります。

たとえ厳しいアウェー状態であっても、そこで奮闘するうちに、パパでも女性のように右脳が鍛えられるようになって、ママのことを察することができるようになっていきます。

さらに、男性が得意としている左脳の思考力を駆使して、さらに育児がデキるパパになっていくのです。

育児の初歩として、泣いている赤ちゃんを泣きやませるために、オムツを交換したりといったことがあると思いますが、僕の分析によると赤ちゃんが泣く理由というのは、数えるくらいのパターンしかないのではないかと思っています。「眠い」「お腹が減った」「オムツを変えて欲しい」「愛が欲しい」が主な4つ。

これらに関しては、みなさん納得されると思いますが、もうひとつあまり知られていない理由があります。

それは「ママのストレス」です。

ママがストレスを抱えているというのも、赤ちゃんが泣く理由になるんですよね。

なぜそうなのかと言うと、ママが抱えている“負のエネルギー”が赤ちゃんに伝わるからです。

ママのストレスを感じ取って嫌な気持ちになって泣くのでしょう。赤ちゃんというのは、大人よりも感受性が優れていているので、そういった負の感情やストレスは大人以上に伝わってしまうのです。

それは、赤ちゃんだけではなく大人でもたまにあります。

たとえば、夫婦のどちらかの機嫌が悪かったりする。一緒にいる人の“負のエネルギー”って、結構伝わりますよね? 大人だったら何とかやり過ごせたりするけれど、赤ちゃんはまだその技術がないので、ママがストレスを抱えていたり、何かに怒っているとか、機嫌が悪いといった心理状態になると、それを敏感にキャッチして「泣く」という事でメッセージを発します。

赤ちゃんの泣く理由がわかると、仕事がデキるようになる!?

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赤ちゃんが泣く理由が何となく感覚的にわかるようになると、どんどん対処しやすくなります。

それは、男性が得意とする左脳の論理的な部分ではなく、感覚的あるいは感受性の部分でいろんなことが見えてくるようになるからです。おそらく、育児をすればするほど、右脳が発達するからだと思います。

この感覚が育っていくと、赤ちゃんが泣く理由がわかるようになるだけではなく、自分の妻が何を求めているのかといったことも感覚的にわかるようになってくるんですよね。

「赤ちゃんを抱っこして欲しい」「食器を片づけて欲しい」「掃除をして欲しい」など、いろいろあると思います。

それが、ママにとっては、“察して欲しい”ことなのです。娘が生まれてからしばらくはその察して欲しいことを「わかりません」と言っていた僕が、少しずつわかってくるようになっていったんですね。

しかも、察する力をもっと伸ばしていくと、実は“仕事がデキる”ようになるのではないかと、僕は考えています。

つまり、男性が苦手とする能力を、赤ちゃんと一緒に過ごすことによって開発することができるのです。

顧客ニーズさえ、感覚的にわかるように

右脳を使って察する能力を勝ち取ったパパというのは、会社に戻ると、上司や同僚、部下など、仕事に関わる人たちが自分に何を求めているのかが、感覚的にわかるようになります。

さらに発展していくと、その先には、お客様が何を求めているのかということさえわかるようになります。今の世の中、顧客ニーズを察する力というのはものすごく大事だと思うのですが、それを調べるには、過去のデータを解析しているわけです。

これまで、どういう傾向だったのかとか、これまでにこういう商品がヒットしたから、次はこれだろうとか、過去を見ながら未来のことを考えているのです。

しかし、僕はそういう作業は非効率的であって、ものすごく遅くて不確かなものなのでしかないんじゃないかと思っています。

なぜなら、お客さんが何を求めているのかといったことを感覚的にわかるようになれば、いちいち過去のデータなんか見なくても、未来に直結した物事の見方ができるようになるからです。

ビジネスマンというのは、いろいろとキャリアアップのために勉強をしますよね。

その際、男性のほとんどが、左脳的なことしかしないんですよ。マーケティングだとかプロモーション、あるいはMBA……。いずれも論理的思考をするようなことばかりです。

けれども、そういう勉強というのはビジネスマンであれば誰もがやろうとしている、あるいは、すでにしているわけです。そんな勉強を今からしても、満員電車のなかに無理やり乗り込むようなものではないでしょうか?

しかし、赤ちゃんのお世話をすることで感性を伸ばし、それを仕事に活かすといったことは、ほとんど誰もやっていません。

これはいわゆる、競争のない未開発市場である「ブルー・オーシャン」なのではないかとさえ思います(「ブルー・オーシャン」の意味が分からなかったら旦那さまに聞いてみてください♩)。この能力を使えるようになると、ガラガラに空いた電車のなかにいるようなものなのです。

パパが育児をすると、一石三鳥!?

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写真:映画制作中の豪田トモさん

パパが育児に積極的になるメリットとしては、子どもと一緒にいる時間が増えるだとか、家庭円満に過ごせる、あるいはママの役に立てるといったメリットがありますが、僕はそれにプラスして「仕事がデキるようになる」ということを、声を大にして言いたい(笑)。

これはもう、一石二鳥どころか、“一石三鳥”ですよね!

ですから、もしパパがなかなか育児に積極的になってくれないと悩んでいるママがいるのなら、この話をぜひ、パパにしてみていただきたいですね。

この話を理解して、実行してくれるパパが増えていけば、社会が変わり、さらに育休も取得しやすい世の中になるのではないかと思います。

ただ、この話を「読んでみて!」といきなりススメるのはちょっと待ってください。なぜなら、男性というのは、人に言われたことや指示されたことに反発したくなるからです。

そういう意味では、口頭で「これ、読んだんだけど」と、さりげなくススメてみるのもいいのかもしれませんが、お互いにFacebookに夫婦で登録しておいて、「こんな記事があったよ」という感じで、夫婦間でシェアする形にすれば、わりと素直に読めたりするのではないかと思います。

さりげなく、ということを忘れないでください(笑)。

この記事のキュレーター

映画監督・豪田トモ(ごうだ とも)。1973年東京都生まれ。6年間のサラリーマン生活を経て、29歳でカナダのバンクーバーにわたり、4年間長年の夢だった映画製作の修行をする。帰国後、フリーランスの映像クリエイターとして、テレビ向けドキュメンタリーやプロモーション映像などを制作。2010年、「命の原点」を見つめて家族の絆や生きることを考えるドキュメンタリー映画『うまれる』が公開され、2014年、同シリーズ2作目となる『ずっと、いっしょ』も公開された。著書に『うまれる かけがえのない、あなたへ』(PHP出版)、『えらんでうまれてきたよ』(二見書房)がある。現在、6歳になる娘の父。映画『うまれる』公式サイト(http://www.umareru.jp/)

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