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知っておきたい、赤ちゃんにもうつる可能性がある感染症
赤ちゃんが保育園などで集団生活を始めると、気になってくるのが感染症です。体力のない乳幼児の場合、感染症にかかると重症化する場合もあるので注意が必要です。また家族にうつってしまい一家全員で感染ということも少なくありません。できれば感染を避けたいところですが、集団生活の場ではなかなか難しいものです。代表的な感染症について流行しやすいシーズンに分けて紹介します。
夏に流行が見られる主な感染症
● ヘルパンギーナ
乳幼児の間で流行する夏カゼの一種です。38~40度の高熱が出て、のどの奥に水疱ができます。
この水疱がつぶれて痛みが出ると、飲み物や食事を受け付けなくなることがあります。乳幼児の場合、脱水に注意が必要です。
● 手足口病
夏カゼの一種で、口の中や手の平、足の裏などに水泡ができます。最近は全身にできるタイプもあります。
37~38度程度の熱が出ることもあります。自然に治りますが、まれに急性脳炎や髄膜炎などの合併症を起こす場合があります。
冬に流行が見られる主な感染症
● ノロウイルス
潜伏期間が短く、突然嘔吐や下痢などの症状に見舞われるのがノロウイルスです。
わずかなウイルスでも感染するのが特徴で、嘔吐物などの処理が不十分な場合、乾燥したウイルスを吸い込んだり、処理した人が触れた食器や調理器具などを経由したりして二次感染が広がります。
軽症のまま回復することがほとんどですが、赤ちゃんの場合は脱水症状や発熱が見られることがあります。
● ロタウイルス(ワクチンあり)
5歳までの子どものほとんどが感染するといわれるのがロタウイルスです。例年3~5月頃に流行が見られ感染力が強いことで知られています。
初めて感染する乳幼児は時に重症化する傾向があり、米のとぎ汁のような色をした下痢の症状や嘔吐などの症状が見られます。
● インフルエンザ(ワクチンあり)
インフルエンザウイルスは主な感染経路が咳やくしゃみなどの飛沫感染です。
感染すると38度以上の高熱や頭痛、関節痛などの機嫌の悪さが見られ、1週間ほどでおさまります。乳幼児の場合、まれに脳炎・脳症を発症することがあります。
突発性発疹やアデノウイルス感染症は季節に関係なく発症
季節に関係なく発症する感性症もあります。
生後6ヶ月から1歳ぐらいまでの赤ちゃんが突然発熱し、咳や鼻水などの症状が無いまま38度以上の高熱が続く場合は突発性発疹かもしれません。
原因はヒトヘルペスの6型と7型というウイルスで、大人の唾液などが感染源とされます。
高熱が3~4日ほど続いて熱が下がると、次に顔やカラダに発疹が出てきますが、こちらも4~5日で消えていきます。
熱の割には機嫌がよく、解熱すると下痢をともない機嫌が悪くなるのが特徴です。十分に水分をとれなくなることがあるほか、熱性けいれんを起こすこともあります。
また咽頭結膜炎(プール熱)や胃腸炎、扁桃腺炎、結膜炎など、さまざまな病気の原因となるのがアデノウイルスです。50種類以上の型があり、感染力が強いのが特徴です。
症状も発熱、咳、のどの痛み、また嘔吐や下痢など病気によりさまざまです。3〜4日熱が続く場合が多く、なかにはだらだらと7日以上熱が続く場合もあります。
水分補給で脱水を防ぐこと。ワクチンも活用を
いずれの感染症の場合でも、脱水、下痢・嘔吐の症状がある場合は経口補水液(乳児用イオン水)などで水分補給を心がけましょう(経口補水療法)。まれに重症化する場合もあるので、赤ちゃんの様子がいつもと違うと感じたときは速やかに診察を受けるといいでしょう。
感染経路は、くしゃみや咳、不十分な手洗いなどさまざまですが、集団生活を送る乳幼児は、なかなか予防は難しいものです。
今回紹介した感染症のなかではインフルエンザとロタウイルスにはワクチンがあります。体力のない乳幼児の場合、インフルエンザによるインフルエンザ脳症や、ロタウイルスによる胃腸炎はワクチンで重症化を防げます。
★今回のポイント★
・嘔吐、下痢がある時は脱水症状にならないよう水分を補給
・熱性けいれんなどを起こす場合もあるので、赤ちゃんから目を離さないこと
・脱水、下痢嘔吐のときは経口補水療法をする
この記事の監修
日本小児科学会専門医 菊池 透先生
初回公開日:2017年8月14日
最終監修日:2021年5月26日
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