教えて先輩! 私らしく、HAPPYに生きていく方法 ~起業するってどんなこと?その思いは?篇~ Vol.3  株式会社OMOYA 猪熊真理子

ルナルナ編集部が女性に自分自身の「ライフコンパス(Life Compass)」を見つけて欲しいという思いから、様々な女性にインタビューする企画「教えて先輩!~私らしく、HAPPYに生きる方法~」。
第3弾の今回は、社会人女性が活躍するために、その道のプロ講師やワークショップから様々なことを学ぶことができる「女子未来大学」の開催、 多様な立場の女性プロデューサーを集めてのコンサルティング、女性の起業支援といった、女性の意見を社会に反映するための事業を展開している 株式会社OMOYAの猪熊真理子さんに、起業した理由や女性が社会で活躍するためにというテーマでお話を伺いました!

――学生時代から、漠然と起業について意識されていたということですが、どのようなことがきっかけになったのでしょうか?

経営者になりたいと思ったのは大学2~3年生の時です。
在学中は心理学を学んでいて、もともとは臨床心理士になりたいと思っていました。
そんなとき、勉強していて興味を持ったのが「女性の自信形成」についてだったんです。
物も情報も豊かな日本の女性達が、「私なんか」と、なぜここまで自信が持てないのかということが疑問で、
その疑問を解決したくて心理学研究をしているうちに「女性が自信を持って豊かに生きていくために、自分は何ができるんだろう?」と思うようになりました。
大学生の時、多くの経営者の方にお会いする機会がありました。
その中で、人間性を高めないと経営者として成功しても意味がないと学ばせていただいたんです。
同時に、経営という仕事にも非常に魅力を感じました。
自分が考えたこと、経験したことがすべて事業として社会に反映される仕事、自分100%で生きられる、という感じですかね。
人間性を高めるには最適だと思いました。
もちろんその頃は経営や事業というものも分からなかったので、単純に「女社長」という響きに憧れもありましたけどね(笑)
卒業後、すぐに起業することを視野に入れていたので、あまり就職活動はしませんでした。

――しかし、卒業後にリクルートへ就職なさっていますよね。それはなぜでしょうか?

女性が自由に豊かに生きられる社会」というのは、10年近く一貫してある思いで、 学生の時からブログ等で発信したりイベントでお話をさせて頂いたりしながらその思いを持ち続けています。
それをきっかけに講演にも呼んでいただくようになり、女性から相談を受ける機会も多くなりました。
相談を受けることも非常に大きな喜びでしたし、相談が終わった後の、女性たちの目の輝きが違うんですね。
新しい自分に出会うことで喜んでくれているなと思える時、女性たちの役に立てることであれば「奉仕」というかお金をもらわずにでもやりたいという気持ちでした。
ただ、もし面と向かって相談に乗っていてもいつか自分は死んでしまうということを考えると、自分がいなくても社会が回る仕組み、女性たちを幸せにできる仕組みというのを作りたくて。
そうするとマネタイズや事業継続など、ビジネスとして学ぶ必要があるなと。
それで、一度会社に入ることにしました。 そんな中で受けたうちの1社がリクルートでした。
面接がたくさんあったので、毎回同じことを言っていても面白くないと思い、だんだんその面接の中でも話す言葉を工夫するようになっていったんです。
面接を通じて、自分の成長が分かりました。
なので、この会社だったら自分を成長させてくれるのではないかと思い、入社しました。

――リクルートに入られて、学びたいことは学ぶことができましたか?面白かったお仕事や、今のご自身に活きていることがありましたら教えていただけますか?

新卒4年目からの美容事業を担当していたときは事業戦略に携わっていて、
6年後の未来を考えて経営戦略を立てていたのですが 6年後の未来を予想するということは、
多くの方向性で物事を考えなければならず、その時に事業がはじめて立体的に見える感覚を経験しました。
一つの側面からものごとを考えていても、真実は見えない。
いろんな側面から光を当ててみて、初めて分かる真実というものがある。

そのことに気付くことができたのは、とてもいい経験になりましたね。
あとは、大きな予算を任されて責任の所在が自分にできたことですね。
それまでは、自分は検討する材料を揃えて判断は上司にしてもらうという仕事のスタイルだったのですが、その仕事のやり方を上司から矯正されまして(笑)
女性って、責任の所在が自分にあるのが怖いんですよね。
だから、誰かに決めてもらった方が楽なんです。
ただ、それではうまくいってもいかなくても自分の成長には繋がらない、だから自分で決めて責任を持つ必要があると。 s_160510_039_inokuma それからは仕事の過程すべてで、美容に興味がある人はこれをみてどう思うか、主婦の方はどう思うかと多様な女性の姿を思い浮かべるようになり
少しでも多くの人に共感してもらえるものを作っていく、ということを繰り返していました。
私はずっと「女性のリアルな代弁者」でありたいと思っていて、常に客観的な視点を求めるために色々な女性を知るように心がけています。
それは、今も変わらないです。

――普段から、多くの女性にインタビューされているのですか?

何気ない女子会からでも情報収集しています(笑) 職場、恋人、家族の様々な悩みですね。
それが女性の大多数なのかという部分も踏まえて、女性の悩みの根本はどんなものだろうと考えます。
その会話の中で見えてくるみんなが「普通」とか「当たり前」とか思っているものを変えていきたいという思いがどこかにあって。
それって、アートに近い感覚だと思っています。経営ってアートに近いですよね。
既成概念が壊されて、それが受け入れられて、いつしか当たり前になっていくというのが経営の面白みの一つです。

――「当たり前」になってしまっていても、理不尽なことってありますよね。

そうですね。「世の中は理不尽である」ということを理解することが大切です。
少し厳しい言い方をしてしまうと、女性は世の中を理想に包んで見ているところがあると思っています。
そして、世の中の理不尽は自分では解決できないと思っているところもあって。
そんなとき、私は講演で「開拓者になってください。自分が働きづらさを感じているのであれば、まず自分から変えていこうとしてください。」とお伝えしています。
先行事例がなく難しいと口にする方もいらっしゃいますが、ご自身が悩んでいるということは同じ思いをしている女性がきっといるはずなので、そういうすべての女性のためにですと。
女性は、自分のためにはなかなか頑張れないものです。
なので、「誰かのために頑張る、小さな勇気をもってほしい」ということも言っていますね。

――「人のために頑張る力」というのは、女性特有なのでしょうか?

自分のカラダに他の命を宿すというのは、利他的な精神、生物学的な利他的構造だと思います。
他の命を自分のカラダに宿して、栄養も与える。
女性という性に生まれてきたことが、人のために何かしたいという本能を持っているような気がしています。
ただ、それは本能的にもっていても上手に発揮できない人もいるし、持っている量にも違いはあります。
だから、それを押し付けてもいけない。
ただ、持っているものがせっかくあるなら、堂々と生かしましょうと。
その生かし方がわからない方も多くいらっしゃるので、私はそこにヒントを与えられるような人でありたいと思っています。
母性というのがまさにそういった力。
「生み出す」・「育てる」・「受け入れる」という母性の力は、子育てのみならず、社会の中でも同じ力が使えると思うんです。
お友達にはとても優しくできて、色々なことをやってあげる子でも、仕事になると相手が望んでいないのでは、と思ってできない。
相手の役に立つことによって可能性を最大限に引き出すというのはマネジメント力です。
それが友達にできる人だったら、マネージャーとしてもできるはず。 過保護すぎても放置過ぎてもだめ。
これは、子育ても一緒ですよね。仕事のメンバーも子育ても、人材育成です。
きっと、世の中の女性の多くはそれを切り離して考えすぎなんですよね。
子育ては子育て、働く私は働く私。友達の中の私は友達の中の私。
そのすべてが自分で、全部にプロフェッショナルではないけれど
様々な側面をもつのが自分、ということを受け入れられるようになると自分の可能性を最大限引き出すことができると思っています。
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――確かに切り離して考えがちですが、すべてが自分であると考えることが大切ですよね。
では、ご自身が先駆者になるために、今やられている事業を選ばれたのでしょうか?

そうですね。「女性が自由に豊かに生きていける社会へ」というのは、私は一生をかけてやろうと思っています。
今はビジネスという形でやっていますけど、そうではないやり方をするかもしれないし。
あまりこだわりはないのですが、まずは事業としての女性支援、その中でも社会人女性の学びの場の女子未来大学というのは、本当に一番やりたい事業です。
女性の多様な生き方・暮らし方・働き方を知らないが故に、孤独を感じている女性が多くいらっしゃいます。
毎日家と会社を行き来するだけでは同じような価値観を持つ友達と話すことはあっても、経験豊かな人生の先輩や価値観が全く異なる人に出会うチャンスがありません。
そうなると選択肢は狭まるし、視野も狭くなってしまいます。
そこで、様々な価値観や多世代で交流できる社会人女性のための学びの場を提供したいと考え、女子未来大学を作りました。
でも、そこにはあまり収益化を期待していないんです。 ただ、それだと会社としては成り立たないので。
やりたいことをやるために、収益化可能な自分にできることを仕事にしていこうと思いました。
それが、リクルートで経験した知見やスキルを活かしての経営コンサルティング、女性のための商品企画やマーケティングというものです。
それらは私が「できる仕事」です。
よく起業したい女性たちも相談にいらっしゃって、みんなやりたいことのみを語るのですが、そうではなく過去の経験から「できる仕事」と「やりたい仕事」をまず分けて整理することから考えるといいと思います。
ただ大切なのはバランスで、やりたいことを全てやるのではなく「本当にやりたいこと」「あなただからできること」を見つけることが大切です。
夢を叶えていくための手法も、本当にやりたいことを絞って考えることで、いくつかに限られてくると思います。
女性経営者が陥りがちなポイントはそういうところにあります。
まずは、自分ができることで社会に価値を還元していく。
その中で自分がやりたいことを誰にも負けないくらい磨いて、競合と切磋琢磨してプロフェッショナルとしてお金という価値に変えていくという作業が必要になります。
ということを、なかなか周りは教えてくれないんですよね(笑)
起業したい方にはご本人の幸せのために、敢えてそこは厳しく言及しています。
心の底からやりたいことなら、失敗してもやるべきだと思っています。
その思いがあれば、後悔はしないはずですから。
なのでやはり「どんなことを」やりたいのか、ということを軸に何度も考えてみる必要があるんですよね。
私の場合は「リクルートで学んだことを生かしつつ、女性の幸せの実現のために」ということで舵取りを行いました。

――実際に猪熊さんのアドバイスで起業された方もいらっしゃるのでしょうか?

うちのスタッフです。
出産を機に仕事を辞めていたのですが、また働きたいという相談を受けて、うちの会社で働き始めました。
サテライトでやっていたのですが、途中からオフィスに子どもを連れてきて(笑) s_160510_063_inokuma

――オフィスにですか?

そうなんです。みんなで子育てしていました。
ママ以外の人と接することは赤ちゃんにとって多様な価値観に触れることに繋がります。
私達も、赤ちゃんから学ぶことはとっても多かったですよ。日に日にできることが多くなっていって。
感情表現も豊かになっていきますし。 大人も子どもも立場も関係なく、みんなが最大限パフォーマンスを発揮できる環境を作って、みんなで成長させ合うというのがうちの会社のモットーです。
一人が考えることには限界がありますし、多角的にみることでそれが決定に繋がっていくと思っています。
それは、今までの価値観である「決定権がある人がスピード感をもって進めていく」というよりも「新しい価値観をどんどん生み出し、スピード感をもってチームで進める」ということです。
新しい価値観を生み出すことは絶対に一人ではできないですし、チームの力を育てることが重要だと思っています。
ただ、すべての価値観を平等に反映するのが良いわけではなく、その中でも光を当てて考えていくことが大切になりますね。

――では最後に。女子未来大学で感動したことなどはありますか?

泣いたことが何度かあります。女子未来大学に参加下さっている方が学んでいる姿を見ていると、泣けてくるというか。
「お休みの日にお金を払って、自分自身と向き合う時間を創ってくれていること。それが有り難いな。」と思うんです。
そんな学ぼう、としている姿勢に感動して泣いてしまいます。
素晴らしいことだと思っています。
スタッフには笑われてしまいますけどね(笑) s_160510_073_inokuma
――そんな猪熊さんの熱い思いがあるから、こうやって女性の支持を得ているんですね。 本日はお忙しい中、ありがとうございました!

編集後記

インタビュー中はとても気さくにお話をしていただいたのと、ご自身が主張されたいことが一貫されていたことに芯の強さが感じられました。
猪熊さん、お時間をいただきありがとうございました!

次回はルナルナ事業部長、日根との対談になります。
女性リーダーってどんなこと? 女性としてのキャリアって?この先のライフプランってどうしたらいいの?
と迷っている方、必見です! 「女子未来大学」についてもっと知りたい!という方はコチラ 猪熊さんのブログはコチラ

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この記事のキュレーター

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