友利新「運命を受け入れることの大切さ」 〜Dr.友利のなんくるないさ Vol.3〜

2014年7月に第1子となる男児を出産し、ママとなった友利新さんですが、実は30歳を過ぎるまでは、妊娠・出産についてまともに向き合ったことがなかったそうです。36歳で出産を迎えるまでには、紆余曲折があり、「なんくるないさ」(沖縄方言で、なんとかなるさ)の精神で乗り越えてきた友利さんに、妊娠・出産や子育て、家族の絆などについて語っていただきました。

Vol.3は、「運命を受け入れることの大切さ」です。

今回は、ルナルナの当連載を読んでくださっているみなさんにご報告です。 私のブログでも5月6日に書かせていただきましたが、第2子を授かりました! 

初産のときの妊娠時とは違って、なかなか体調も安定しないので不安な時期もありました。しかし、お陰様で現在はだいぶ落ち着いてきたようです。

できることなら、あと2人くらいは子どもを授かりたいなあと思っていましたので、本当に嬉しい限りです。

初産のときとは違う未知なる世界なので不安も募りますが、それ以上に第2子と出逢える瞬間にワクワクしていています。 出産は8月末の予定ですが、7か月に入って、お腹はどんどん大きくなってきました。

その様子を見て、赤ちゃんが産まれてくることをちゃんと理解して楽しみにしてくれている息子との時間を大切にしつつ、体調を見ながら、仕事もできる範囲で続けていく予定ですので、あたたかく見守っていただけますと、幸いです。

今回は、前回に続き、第1子である息子を授かるまでの話についてお話いたします。 tomori_dainishi

体外受精も考えていた

15歳で子宮内膜症と診断されて以来、子どもを授かることは難しいかもしれないと思っていただけに、正直、まさか入籍してすぐというタイミングで妊娠するとは思っていませんでした。

入籍をしたら、一刻も早く不妊治療のために病院に通うつもりでいましたから、なおさらです。

私は産婦人科医ではありませんが、不妊治療の難しさや現実も知っているんですよね。医者という忙しい仕事をしながら不妊治療に通うのは、なかなか難しく、無理があるだろうと考えていました。

なぜなら、不妊治療の一環として、タイミング療法的なやりかただけではないからです。もう一歩踏み込んで、定期的に採卵し、受精卵が大きくなっていることを確認してから子宮内に戻すといった、体外受精の大変さもよくわかっていました。

もし、自分がそうしようとなったときに、果たして今の仕事を続けながらできるのだろうかといった不安が、常にどこかにありました。

しかも、私が出産した時の年齢は36歳です。もう、高齢出産ということになりますよね。

東京だと、わりと普通のことなのかもしれませんが、私は宮古島出身です。

地元の同年代の友だちはとっくに産み終わっているといった感じで、みんな、子どもは小学生くらいになっています。 地元の幼なじみはみんな20代で子どもを産んでいるので、「いつなの?」と言われ続けました。もちろん、プレッシャーをかけるつもりでもないし、悪気があってのことではありません。それが普通のことでしたから、無理もないのです。

島の人たちも、東京で頑張っている私を応援してくれてはいました。しかし、「あなたにはあなたの人生があるけれども、いつか子どもを産みなさいね」と言われることが、少なからず、プレッシャーになっていたということは、否定できません。

 

36歳で出産。妊活中の人たちに伝えたいこと

見方によっては、ちょっと冷たい言い方と捉えられてしまうのかもしれませんが、妊娠・出産というのは、本当に“頑張ったからできる”というものではないと思うんですよね。

よく、私のブログなどでも、妊活中で日々頑張っている多くのプレママから、「何をしたら子どもを授かることができますか?」とか、「先生は妊活中に何をしましたか?」「身体を温めるといいと聞きますが、本当ですか?」「妊活中に何を食べましたか?」などと、いろんなことを聞かれます。

でも、私自身、妊活中にこれといって何か特別なことをしたということはないんです。

ただ、普通にしているだけでも授かる人は授かるし、一生懸命にありとあらゆる民間療法までも試してみてもなかなか授からない人もいます。 本当にこればっかりは、その人の能力でも何でもないんですよね。

なんて言うんでしょうか……、誤解を恐れずに言いますと、“神様の手ほどき”によるものなんじゃないかとさえ、思うんです。

そう考えると、なかなか子どもができないからと思い悩んだり、思い詰めるといったことは、なるべくしないほうがいいのではないかと思います。といっても、とても難しいことではありますが……。 0274

授かっても授からなくても、運命を受け入れる

日本社会というのは、どうしても「子どもを産んで1人前」といった考え方が、何となく蔓延しているようか気がしています。

でも、子どもがいる人生も、子どもがいない人生も、私はどちらも素晴らしいものであると思っています。

何となく今、少子高齢化という問題があって、子どもをたくさん産んで子育てをしようといった機運は高まっているのかもしれません。

だからといって、それに何となく流されるということではなく、本当の意味で自分がどうしたいのか、本当に家族が欲しいと思っているのかといったことを、自分と向き合いながら、いろいろと考えてみるのがいいと思います。

その上で、本当に家族が欲しいと思ったのなら、夫婦で話し合ってみる。そして、頑張ってみた結果、授からなかったとしても、それはあなたのせいでもないし、ご主人のせいでもないということを、私はみなさんに声を大にしてお伝えしたいのです。

やはり、“そういう運命だった”ということを“夫婦で受け入れる”ということが、大切なのではないかと思っています。

私は医者なので、医学的な根拠がないことを軽々しく言うことはできません。では、医学的根拠で何が言えるのかと問われれば、実は、ほとんどないんですよね……。

これとこれをしたから、子どもを授かったというような法則など、ないに等しいのです。 体外受精をしたとしても、成功率はわずか数%ですし、自然妊娠の確率というのも、年々、下がってきているというのが現状です。

そこで、あまりにも思い詰めてしまい、いろいろと劣等感に苛まれていって、「自分が悪いんじゃないか」と、自らを責めてしまう……。 そういう“負のスパイラル”に入ってしまうと、ストレスがたまってしまいます。

そして、授かるものも授かれなくなるといったことにもなりかねませんよね。 しかも、妊活している間に、夫婦間でお互いがうまくコミュニケーションを取れないでいると、次第に夫婦仲が悪くなってしまいがちです。

それで、子どもを授かる前に、夫という大事な家族を失ってしまうことになるようでは、本末転倒ではないでしょうか。

やはり、よく夫婦で話し合い、支え合い、お互いが納得できるまで、チャレンジしてみる。

私もそうでしたが、「たとえ子どもを授からなかったとしても、前向きに子どものいない人生を生きて行こう」といった、覚悟みたいなものを持つようにするのがいいのではないかと思います。

夫婦間でよくコミュニケーションを取りながら、支え合いながら話し合ってみてくださいね。

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この記事のキュレーター

医師・友利新(ともり あらた)。1978年沖縄県宮古島市生まれ。東京女子医科大学卒業後、同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。現在、都内2か所のクリニックに勤務する傍ら、医師という立場から美容と健康を医療の観点から追求し、ベビー用スキンケア用品の開発プロデュースも手掛けている。2004年第36回準ミス日本の経歴も持つ。2014年、妊婦の疑問に関して、自身の経験も交えてエッセイ風に回答した『Dr.友利の美人科へようこそ マタニティ外来編 妊娠・出産Q&A64』(講談社)を上梓。オフィシャルブログ「ビューティー診療室」

http://ameblo.jp/arata1107/


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