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「なぜ、私が…」22人の不妊治療STORY。不妊治療は、大変だったこともあればよかったことも。
イラスト/Kanako
不妊治療は、検査→タイミング法→人工授精→体外受精・顕微授精というコースをたどるのが一般的とはいわれていますが、実際には100組のカップル100通りの道があります。この特集では不妊治療を頑張った先輩たちのストーリーをご紹介します。
今回は「不妊治療で大変だったこと」と「不妊治療をしてよかったこと」不妊治療体験談をご紹介します。
※各体験談の★は現在の年齢と妊娠に至った治療法を記載しています。
※治療歴の「初受診」は不妊治療クリニックの初受診を意味します。
「先輩たちの妊活体験談:不妊治療STORYみんなはどうだった?」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2024-2025」
不妊治療で大変だったこと
ひと口で「大変」と言っても、その中身はさまざま。
痛みや疲労、体へのストレス、落ち込み、悲しみ、心へのストレス…。その大変さの正体は何でしょうか。
不妊治療で【不安感、精神的ストレス】が大変だった…
不妊治療で大変だったのは、「不安感、精神的ストレス」だった…。
3人の方の体験談をご紹介します。
仕事と両立して治療を 続けていけるのかが不安だった
★現在の年齢:34才
★治療内容:タイミング法
毎週のように、早めに仕事を切り上げて病院に行き、その分、他の日に仕事を詰め込んだので大変でした。病院からは体外受精を提案されましたが、私たちはもう少しタイミング法を続けたかったので、転院。その後、風疹抗体の予防接種を受けてしばらく治療を休み、再開したらさっそく妊娠しました。
【治療歴】
◇32才:産婦人科で相談、検査。半年ほどタイミング法を試すが妊娠せず。
◇33才:転院。再度検査して麻疹風疹抗体がないとわかり、ワクチン接種して2カ月治療は休み。治療再開後、1~2カ月で妊娠。
AMHの数値が悪いと言われ、「なぜ私が…」と思った
★現在の年齢:26才
★治療内容:卵管通水検査後に妊娠
【治療歴】
◇24才:まだ若いと思ったけれど、初受診で検査してAMHの数値が悪い(卵子の数が少ない)と言われる。卵管通水(らんかんつうすい)検査をしたら翌月に妊娠。
検査結果は異常なしなのになぜ妊娠できないの?
★現在の年齢:29才
★治療内容:タイミング法
【治療歴】
◇28才:ずっと妊娠できず悩み、初受診。タイミングの都合で夫が先に検査、異常なし。次いで自分も検査して異常なし。タイミング法で妊娠
不妊治療で【夫に対してのモヤモヤ】!
不妊治療で大変だったのは、【夫に対してのモヤモヤ】…。
3人の方の体験談をご紹介します。
「タイミングをとる」ことに追いつめられ、けんかが増えた
★現在の年齢:29才
★治療内容:タイミング法
【治療歴】
◇27才:産婦人科を受診、多嚢胞(たのうほう)性卵巣症候群と診断される。その後、不妊治療クリニックを受診。排卵誘発剤+タイミング法4回目で妊娠。
金銭的・体力的にきつくて性行為は癒やしではなく"業務"に
★現在の年齢:31才
★治療内容:体外受精
【治療歴】
◇28才:初受診・検査後、タイミング法を1年。
◇29才:人工授精を2回。
◇30才:体外受精 2回目で双子妊娠。
治療に対するモチベーションの差を感じていた
★現在の年齢:33才
★治療内容:体外受精
本当は自然に授かりたかったし、体外受精にステップアップするときには、「ついにここまで来てしまった」という気持ちと、「乗り切れば授かれるかも」という淡い期待のせめぎ合いでした。夫は、頼りになるような言動はなく、モチベーションの差を感じていたけれど、それでも検査には行ってくれました。
不妊治療で【仕事と治療の両立】が大変だった!
不妊治療で大変だったのは、【仕事と治療の両立】だった…。
2人の方の体験談をご紹介します。
時間の融通が利く仕事でもスケジュールの調整は大変だった
★現在の年齢:31才
★治療内容:体外受精
フリーランスなので時間の融通は利きやすかったけれどスケジュール調整が難しく、保険適用とはいえお金はかかるし、仕事との両立は大変。家族みんなが応援してくれたので、治療経過を逐一報告して、夫と一緒に頑張った!という達成感はありました。
【治療歴】
◇30才:婦人科で排卵誘発剤とタイミング法を3回試すが妊娠せず。その後、不妊治療クリニックへ転院し、検査で卵管閉塞が判明。体外受精1回目で妊娠。
3日に1回の通院と仕事を両立させて寝不足に。体力的にきつかった!
★現在の年齢:26才
★治療内容:タイミング法
【治療歴】
◇26才:生理不順で産婦人科を受診。妊娠希望を伝え、検査や投薬を開始。夫の検査結果は異常なし。タイミング法で妊娠。
不妊治療、【治療そのものがつらい、成果が出ない悲しさ】
不妊治療で【治療そのものがつらい】、【成果が出ない悲しさ】が大変だった…。
4人の方の体験談をご紹介します。
毎月生理が来ると落ち込んで泣いてしまったことも
★現在の年齢:35才
★治療内容:タイミング法
【治療歴】
◇33才:内診の痛みが嫌で避けていた婦人科を受診。タイミング法を2回試し、夫の不妊検査を行うが、異常なし。タイミング法4回目で妊娠。
排卵誘発の注射やホルモン剤でむくんだり気分が悪くなったり
★現在の年齢:35才
★治療内容:人工授精→自然妊娠
検査後の治療ステップアップの提案に、自然妊娠はできないのか、とショックでしたが、それでも妊娠できるなら!と、治療をスタート。毎月の排卵誘発の注射の痛み、副作用のむくみはつらかったけれど、夫の「一緒にがんばろ」のひと言が支えでした。
【治療歴】
◇31才:初受診。検査後、タイミング法。
◇32才:人工授精3回。
◇33才:治療が進まなかったときに自然妊娠。
卵管が通っているかを確かめる検査は痛かった
★現在の年齢:31才
★治療内容:タイミング法
【治療歴】
◇29才:婦人科で夫婦ともに検査。卵管造影検査を受ける。その後、排卵日を確認するため毎月婦人科へ通う。半年後タイミング法で妊娠。
定時上がりで病院へ急いでも帰宅するのは21時過ぎ。拘束時間が長い!
★現在の年齢:31才
★治療内容:人工授精
仕事終わりに定時ダッシュして通院しても帰りは21時過ぎ、また翌日も診察に行かねばならないこともあって仕事との兼ね合いが大変。だから、検査結果から人工授精で授かる確率が高いとわかっても、ステップアップの決意をするまでに時間がかかりました。
【治療歴】
◇28才:初めて妊娠したが、流産。大ショック。
◇29才:不妊治療を決意し、初受診。
◇30才:ようやく受けた人工授精2回目で妊娠。
不妊治療をしてよかったこと
不妊治療を受けなかったら気づかなかったことや、出会わなかった感情が人生を豊かにしてくれることもあります。
不妊治療で【夫婦や家族の絆(きずな)が深まったこと】がよかった!
不妊治療で【夫婦や家族の絆(きずな)が深まった】!
2人の方の体験談をご紹介します。
けんかするたびに旅行などで気分転換。より絆が深まった
★現在の年齢:33才
★治療内容:体外受精
不妊治療中は、どんなに頑張ってもリセットされる(生理が来る)瞬間がつらかったです。気持ちが不安定になり、夫婦げんかや言い争いになったりすることもありました。そのつど2人で話し合いをしたり、気分転換に旅行に行ったりして、より絆が深まったと思います。妊娠が奇跡なんだと知り、より人の痛みがわかるようになりました。
【治療歴】
◇29才:婦人科を受診、検査。夫は異常なし。服薬しつつタイミング法を5回。
◇30才:人工授精4回。
◇31才:不妊治療クリニックに転院し、そこでも人工授精2回。
◇31才:体外受精のために採卵、初めての移植で妊娠。
一歩ずつでも進んでいる感じがして夫婦の一体感が高まった
★現在の年齢:32才
★治療内容:人工授精
タイミング法を試し、やみくもではなくしっかりタイミングを計ることで、一歩ずつ進んでいる感じがして夫婦一体で治療に取り組めました。私のほうが通院は多いし、治療のことを職場に伝えるのがしんどかったけれど、夫を父親にしたいと思って続けました。
【治療歴】
◇30才:初受診、検査開始。私は問題なく、夫は精子の状態が悪いと言われる。タイミング法をしつつ甲状腺の検査、私の橋本病がわかり、治療を休む。甲状腺の数値が落ち着き、人工授精。体外受精に進もうとしたときに人工授精で妊娠。
不妊治療で【子どもを授かれたこと】がよかった!
不妊治療でよかったことは、【子どもを授かれたこと】。
2人の方の体験談をご紹介します。
治療を頑張ったから、早くわが子に出会えた
★現在の年齢:34才
★治療内容:体外受精
【治療歴】
◇29才:婦人科でタイミング法開始。
◇30才:子宮内膜ポリープが見つかり、切除手術。人工授精3回。不妊治療クリニックに転院。
◇31才:体外受精2回目で妊娠。
流産はつらかったけれど、自分の命よりも大切な宝物を授かれたこと
★現在の年齢:37才
★治療内容:体外受精
【治療歴】
◇35才:初受診、検査開始。体外受精を希望し、1回目は初期流産。つらかった。2回目は着床せず。体外受精3回目で妊娠。
不妊治療で【妊娠の可能性が高い選択ができたこと】がよかった!
不妊治療で【妊娠の可能性が高い選択ができたこと】がよかった!
4人の方の体験談をご紹介します。
生活習慣を整えたことで、しんどかった生理痛も改善して妊娠
★現在の年齢:31才
★治療内容:タイミング法→自然妊娠
以前はずっとピルを飲まなくてはならないほどの生理痛でした。タイミング法でなかなか妊娠できなくて、漢方とサプリメントを飲み始めました。生活習慣や食事にも気をつけて健康的に過ごしていたら、生理痛が軽くなり、約半年で自然妊娠できました。
【治療歴】
◇29才:夫婦でブライダルチェックを受け、とくに問題なし。風疹ワクチンを接種。半年間タイミング法。その後、生活習慣を変え始めて半年後に自然妊娠。
なかなか妊娠しなくて悩むより、根拠のある治療をするのが自分には合っていた
★現在の年齢:32才
★治療内容:人工授精
排卵誘発の注射は痛かったし、治療について知らない同僚に引け目を感じながら仕事を休んで通院するのはつらかったです。でも、ただ悩み続けるよりも、治療する理由や根拠を先生のアドバイスの下で理解しながら進めるほうが自分には合っていたと思います。
【治療歴】
◇29才:初受診、検査開始。夫は検査の結果、異常なしと言われる。
◇30才:タイミング法3回のあと、人工授精。妊娠するが、8週で流産。
◇31才:2回目の人工授精で妊娠。
少しでも希望があるならばステップアップすることは大切だと感じた
★現在の年齢:35才
★治療内容:体外受精
お金と時間がかかるし、妊娠しても順調に成長するか常に不安な気持ちをもったままでした。でも、体外受精までステップアップして念願のわが子を出産できたことは本当にうれしかったです。少しでも希望があるならステップアップする勇気は大切だと感じました。
【治療歴】
◇32才:初めて産婦人科に行き、タイミング法を開始。
◇33才:タイミング法でなかなか妊娠せず、転院、体外受精。
◇34才:体外受精1回目で妊娠。
タイミング法を続けていたら「今月もダメだった」と追い込まれていたかも…
★現在の年齢:30才
★治療内容:体外受精
子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)があるとわかり、タイミング法を3回トライした時点で、ステップアップをすすめられました。薬やテープ(ホルモン薬)の量がとても多くて、これでうまくいかないのは嫌だから、若いうちに可能性が高い方法で妊娠したいと思い体外受精に進みました。
【治療歴】
◇23才:初受診。子宮内膜症とわかる。タイミング法3回目のあと、体外受精1回で妊娠。
不妊治療で【自分の体や不妊の原因がわかったこと】がよかった!
不妊治療で【自分の体や不妊の原因がわかったこと】がよかった!
2人の方の体験談をご紹介します。
子宮後屈(しきゅうこうくつ)とわかり効果的な方法を教えてもらい妊娠まずは受診することが大事!
★現在の年齢:33才
★治療内容:タイミング法
【治療歴】
◇31才:婦人科で検査し、子宮後屈とわかる。その後、タイミング法1回目で妊娠。
妊娠できない理由がわかってモヤモヤが晴れた
★現在の年齢:34才
★治療内容:夫の精索静脈瘤の手術→自然妊娠
検査の結果、精子の運動量がかなり悪く、精密検査のあと、夫は精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)の手術を受けました。術後、顕微授精を検討したけれど、精子の運動量が回復しなくて断念。夫のメンタルを考慮して、治療を中断しましたが、その1年後に自然妊娠できました。時間はかかったけれど、お互いの体のことがわかり、モヤモヤが晴れました。
【治療歴】
◇31才:初受診。卵管造影検査は問題なし。精子の運動量が悪い。タイミング法。
◇32才:夫が精索静脈瘤の手術を受ける。タイミング法をするが妊娠せず、治療を中止。
◇33才:自然妊娠。
■イラスト/Kanako
■構成・文/関川香織
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