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「数値」と超音波で自分の体の情報がわかる!不妊治療クリニック受診ガイドSTEP・1[女性が受ける検査編]【マンガで解説】
■マンガ・イラスト/小森うに
妊活を始めたけれど…なかなか妊娠しない。そろそろクリニックに行ったほうがいい?
クリニックでの不妊治療の最初のステップは「検査」です。どんな検査をするのか、また必要な準備についてマンガでお伝えします!
その先にある治療の内容についても知っておきましょう。
今回は、【ステップ1】 女性が受ける検査について、齊藤英和先生に詳しく解説していただきました。
監修
齊藤英和 先生
PROFILE:産婦人科医師。栄賢会梅ヶ丘産婦人科ARTセンター長。国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター副センター長を経て現職。長年、不妊治療の現場に携わる中で感じてきたことから、加齢による妊娠力の低下や、高齢出産のリスクについての啓発活動も行う。著書に「妊活バイブル」(共著・講談社)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著・講談社)など。
マンガでわかる!いつかのための不妊治療クリニック受診ガイド #2
※参考:「妊活たまごクラブ 2024-2025年版」
マンガに登場するのは…
もうじき結婚して2年になる玉田陽太とひな夫妻。同じ会社の同期で32歳。
サッカー観戦が共通の趣味で、毎日楽しく過ごしているけれど、友人たちからの妊娠報告にちょっとあせり始めたところ。
女性が受ける検査は、健康診断の婦人科検診と似たような内容です。
妊娠できるかどうかをいきなりハッキリと言い渡される検査ではないので、気持ちを楽にして受診してください。
「数値」と超音波で体の情報がわかる!
毎月、きちんと排卵が起こっていて、月経があることで妊娠できるのですが、そこに不可欠なのが性ホルモン。卵子を育てるホルモンや、受精卵がしっかり着床できる子宮内膜を育てるためのホルモンが出ているかを調べるのが血液検査です。また、排卵が近いかは尿検査でわかります。もちろん全身状態も血液と尿からわかります。同時に、子宮や卵管の形状も大切な情報なので、体に負担をかけずにできる方法として超音波による検査をします。
超音波検査
●子宮・卵巣の形状を調べる検査
子宮に筋腫や腫瘍がないか、卵巣に子宮内膜症病変がないか、形状を調べます。下腹部の表面から超音波を当てる検査と、腟内にプローブを入れる検査があります。
クラミジア検査
●妊娠を妨げる性感染症の有無を調べる
クラミジア感染症は性感染症の一種。感染すると、子宮や卵管に炎症や癒着などを引き起こし、不妊の原因になるケースも。血液検査でわかります。
血液・ホルモン検査
●採血をしてホルモンの分泌状態を調べる
血液を採取して、ホルモンが正常に分泌されているかどうかをチェックし、卵巣や子宮の状態を調べます。検査は、通常、月経期と黄体期にそれぞれ1回ずつ行われます。
子宮卵管造影検査
●レントゲンで卵管の通り具合をチェック
受精卵が通る卵管や着床する子宮の状態について、詳細に調べる検査です。超音波で大きな問題がないとわかっても、卵管の通過性まではわからないので、必ず行う検査です。卵胞期に子宮口から造影剤(ヨード)を注入し、レントゲン撮影によって検査を行います。
AMH検査で卵子の数がわかるってほんと!?
採血をして、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の状態を調べることで、卵巣内にどのくらいの卵子が残っているかを調べます。現在は体外受精のための検査の場合のみ保険適用となりますが、これが初診時から保険適用になれば、不妊検査の段階で治療を急ぐかどうかの指標となるでしょう。
精密検査に進む場合もあります
基本的な検査で異常が見つかった場合や、より詳しく調べる必要がある場合には精密検査をします。
ここで、もしも婦人科の病気やそれ以外の病気が見つかったら、不妊治療の前にその病気の治療をします。
染色体検査
●採血によって染色体の状態を確認する
採血をして、染色体の状態を調べる検査です。染色体の異常は、排卵を起こすことができなかったり、妊娠しても流産を繰り返す原因に。検査はどのタイミングでも受けられます。
ホルモン負荷検査
●ホルモンの反応で排卵障害を検査
排卵障害が疑われるときに行う検査です。特定のホルモンを注射で投与し、さまざまなホルモンに対する反応を見て、卵胞の発育の可能性や無排卵の原因などを調べます。
MRI検査
●子宮筋腫の位置や大きさを詳細に観察
磁気を利用して、体内を詳しく診察する検査です。不妊検査では、主に子宮筋腫の位置や大きさを調べ、卵巣チョコレート嚢胞の状態も検査するために行われます。
子宮鏡検査
●内視鏡で子宮内部の状態を観察する
子宮に内視鏡を入れ、子宮や卵管の入り口の状態を調べます。検査時期は卵胞期。ポリープや筋腫があれば、のちに切除することも可能。慢性子宮内膜炎の診断にも。
腹腔鏡検査
●内視鏡を入れて卵巣・卵管・子宮をチェック
おへその下に小さな穴を開けて腹腔鏡と呼ばれる内視鏡を入れ、卵巣・卵管・子宮の状態をダイレクトに診察。全身麻酔をかけて行います。穴を開けた痕はほとんど残りません。
初めての検査、もっと知りたい!
【Q】最初の検査は何時間くらいかかる?
【A】
待ち時間を除けば、問診から各種の検査、会計まで合わせて2時間ほどが平均的なところでしょう。ただ、施設によって混み具合は異なります。
【Q】 初診の次はいつ受診するの?
【A】
女性は、再度超音波で卵胞の育ち方を見たりするため、月経周期により1週間後ということが多いでしょう。男性は問題がなければ1回で受診は終了します。
【Q】月経周期のうち、いつ行くのがいい? 検査前日に気をつけることは?
【A】
いつでも大丈夫で、生理中でも受診できます。男性は精液をとる検査があるかもしれないということを意識して前日は禁欲したほうが無難です。
【Q】初診の費用はいくら用意しておけばいい?
【A】
検査はほとんど保険適用で、初診料を含めて2人合わせて1万~2万円程度用意しておけば十分。支払いがクレジットカードOKか現金のみかは、事前に確認を。
「いつかのための不妊治療クリニック受診ガイド」、次の記事は【STEP1 男性が受ける検査編】をお届けします。
ぜひ、ご覧ください!
■監修
■マンガ・イラスト/小森うに
5年半の妊活・不妊治療を経験。自身の不妊治療体験の漫画をSNSやブログで発信中。また、不妊症・不育症ピアサポーターとして不妊治療中のかたの相談を受けるなどの活動をしている。
■構成・文/関川香織
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