「自分の性器のカタチは人と違う?」「体毛が濃いのはホルモンのせい?」誰にも聞けなかった…オトナ女子のQ&A

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カラダのこと、セックスのこと、オトナになっても実は知らないこと、人には聞きづらいことってありますよね。「自分の性器のカタチは人と違う?」「体毛が濃いのはホルモンのせい?」――いまさら誰にも聞けないさまざまなお悩み。

今回は、「オトナ女子のQ&A」として、産婦人科医の宋先生の回答をお届けします。

監修

宋美玄(そんみひょん) 先生

PROFILE:産婦人科医。性科学者。ロンドンで胎児超音波の研さんを積み、2017年に丸の内の森レディースクリニックを開院。産婦人科診療やカウンセリングを行う一方で、メディアで女性の体や性生活、妊娠・出産等について情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちいいセックス』(ブックマン社)。2児のママとして育児に奮闘中。

「大人になるまで誰にも聞けなかったオトナ女子×オトナ男子のカラダの悩み診察室」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 2024-2025年版」

宋先生「女性は自分と人との比較の悩みが多いようですね」

【Q1】彼から性器の形が変だと言われました。人と比べられないのでどうすればいいか悩んでいます。

■宋先生:
彼は何をもって「変」だと言ったのでしょう?私はこれまで何万人もの女性を診察してきましたが、「これは変な形だ」という性器は見たことがありません。小陰唇が大きい、黒ずんでいるなど、もちろん人によって少しずつ違います。
まれに、腟がふさがっているなど、生まれつきの構造異常を持っているケースはあります。
でも、毎月普通に生理の出血が腟からあり、セックスで問題なく挿入ができていれば、何も心配することはありません。

【Q2】性器の正しい洗い方を教えてください。洗いすぎはNG? トイレの後、ビデを毎回使うのはOKですか?

■宋先生:
常在菌が流れて余計に菌が繁殖してしまう原因になるので、トイレのときのビデはあまりおすすめできません。においや汚れが気になる場合は、トイレに流せるウェットティッシュで小陰唇の裏の部分など、汚れがたまりやすいところをやさしくふいてあげてください。最近ではデリケートゾーン専用のふきとりシートもあります。
お風呂では、デリケートゾーン専用のソープで性器の外側を洗ってください。腟の内側まで洗う必要はありません。

【Q3】女性なのに、体全体にムダ毛が多くて恥ずかしいです。男性ホルモンが多いのでしょうか? 妊活に影響はありますか?

■宋先生:
男性ホルモンが多いせいで体毛が濃くなる場合もありますが、妊活には影響ありませんし、清潔さを保てていれば問題ないと思いますよ。
アンダーヘアにおりものが付着したり、蒸れたりして不快なのであれば、カットしたり量を減らしたり、VIO脱毛に行くなどしてもよいと思います。
男性ホルモンが多い影響で排卵が起こりにくくなる多嚢胞性卵巣症候群という病気もあります。生理不順がある場合は婦人科を受診してみてください。

【Q4】生理痛が重い人は出産のときの陣痛やつわりも重いと聞きました。本当ですか?

■宋先生:
生理痛と陣痛、つわりは関係ありません。生理痛が重くてもつわりや陣痛が軽い人はたくさんいますし、その逆ももちろんあります。
また、たまに「親が陣痛がひどかったので、私も重くなるでしょうか?」と聞かれることがあります。骨盤の形が似ていることから、お産の状態が近くなることはあるかもしれません。
ただ、陣痛やつわりが遺伝するというデータはありません。

【Q5】おりものの量が多く、下着が汚れて困ります。においも気になります。

■宋先生:
おりものシートを頻繁に変えなければあふれてしまうほど多いのであれば、一度病院で検査することをおすすめします。
おりものは体の水分量とは関係なく、女性ホルモンの作用によって増えたり減ったりします。20~30代が最も多く、閉経後はほぼなくなります。
ポロポロとした固まりや泡状、またにおいが強い場合は、クラミジアや腟トリコモナスなどの性感染症の可能性があります。妊活にも影響するので、婦人科を受診しましょう。

●正常なおりもの

・透明・白
・白褐色
・薄黄色・白ピンク(※生理前後の場合)
・茶色(※生理前後の場合)

●注意が必要なおりもの

・灰白色
・黄色
・緑色
・赤色
・白ピンク(※生理前後でない場合)
・茶色(※生理前後でない場合)

★おりものの異常のめやす

・黄色、あるいは茶色っぽい … クラミジア感染症、淋病
・濁った白やクリーム色、細かいカスのようなものが出る … 腟カンジダ症
・泡ができている、あるいは血が混じっている … 腟トリコモナス症

【Q6】昔の女性は生理をコントロールできたと聞きました。今より腟の締まりがよかったからですか?

■宋先生:
以前検証したことがあるのですが、結論から言うと、昔の女性もコントロールはできていません。女性の体はたとえ骨盤底筋を収縮させても、腟が密閉できるようにはなっていません。尿道や肛門には「括約筋」と呼ばれる筋肉があり、止めておくことができますが、腟はそのような構造になっていないのです。
万が一、特異体質で腟を密閉できる人がいたとしても、密閉して経血をためておくのは健康的とはいえません。

【Q7】性器の大きな男性とセックスをすると腟が緩くなりますか?

■宋先生:
例えば、処女の人や久しぶりにセックスをする場合、挿入時に入りづらいことはありますよね。逆に大きな性器を挿入した後は、腟の入り口が多少開くことはあるかもしれません。
しかし、セックスによって腟の締まりが緩くなることはありません。締まりとは、骨盤底筋群の深層部分の収縮のことです。入り口の挿入のしやすさと、腟の締まりは別のものだと理解してください。

【Q8】セックスをするときれいになるのは本当ですか? 女性ホルモンと関係はありますか?

■宋先生:
いいセックスをして性生活が満たされていることが、美しさにつながることはあるかもしれません。セックスのときには、「エンドルフィン」のような幸せをもたらす物質が出ます。でも、女性ホルモンは分泌されません。
きれいになることが目的であれば、セックスではなくエステや別の自分磨きなどをしたほうが早道かもしれませんね。

【Q9】腟の「上付き」「下付き」とはどういうことでしょうか?

■宋先生:
腟の入り口が恥骨側についていると「上付き」、肛門側についていると「下付き」と言ったりします。どちらかというと前寄り、後ろ寄りといったイメージで、どちらのほうがいい、悪いということもありません。これは俗語なので、医学とはまったく関係ないものです。
性器だけでなく体型によっても挿入しやすい角度などは変わってきますので、2人でやりやすい体位を探してくださいね。

【Q10】子宮を温めると妊娠しやすくなるのは本当ですか?

■宋先生:
子宮は骨盤の奥の深部体温の最も高い場所にあるので、外から温めることはできません。
「女の子はおなかを冷やすな」とよくいわれますが、妊娠との因果関係は認められていないんですよ。冷たいものを飲んでも、子宮と腸は離れていますからあまり影響はありません。
たまに、真夏でも腹巻きをしている妊婦さんがいますが、これはむしろ熱中症になるので危険です。大事なのは、自分が快適だと思う服装をすることです。

【Q11】まわりの友人たちの間でVIO脱毛が流行っています。婦人科医的にはおすすめですか? 毛がなくなることで性器にばい菌が入りやすくなることはないのでしょうか?

■宋先生:
婦人科医というか、私個人としてはおすすめです。アンダーヘアがないことで、デリケートゾーンのかゆみなどの悩みが軽減されることが多いからです。
最近は「介護されるときに人に迷惑をかけないように脱毛をする」という声をよく聞きますが、高齢になれば自然と毛は薄くなりますから、そんな心配はいりません。
老後、人に迷惑をかけることを心配するよりも、今アンダーヘアがないほうが快適だと思えば、脱毛をすればよいと思います。

【Q12】太りすぎは妊娠しにくいのでしょうか?

■宋先生:
一般的にBMIが肥満の人は排卵障害が起こりやすいため、妊娠しづらくなる可能性があります。ただし、絶対に妊娠できないわけではありません。
やせすぎも同様に妊活にはあまり良くないので、妊娠を望むのであれば、できるだけ標準体重に近づけておくことをおすすめします。肥満の場合、出産時のリスクも高くなる傾向があります。

【Q13】初めてのセックスでも出血しなかったのですが、処女膜がない人もいますか?

■宋先生:
基本的に、処女膜は全員にあります。その膜が伸びて裂けたときに出血するのですが、たまに出血しない場合もあります。全員が出血するわけではないため、血が出なかったとしても気にする必要はありません。

【Q14】セックスの経験人数が多いほど、子宮頸がんのリスクが高まるのでしょうか?

■宋先生:
子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスは性的接触によって感染するため、セックスの経験人数が多い人のほうがリスクは高まります。ただし、経験人数の少ない人が感染しないわけではなく、性交渉の経験があれば誰でもかかる可能性があります。ワクチン接種と定期的な検診をおすすめします。
ワクチン接種後6ヶ月は妊娠ができないため、妊娠を考えている人は妊活前にワクチンを接種するようにしてください。

【Q15】道具を使ったオナニーに慣れすぎると、本番でイキづらくなりますか?

■宋先生:
一概には言えませんが、ペニスや手の刺激とかけ離れた動きの道具でイクことに慣れてしまうと、本番ではイキづらくなることはあり得ます。
ただ、男性と違って女性はオーガズムに達したことがない人が多いんですよ。自分の体を知り、オーガズムに達しやすい体にするためにセルフプレジャーグッズは有用だと思います。
あまりに強すぎる刺激は避けるなど使い方に気を付ければ問題ないと思いますよ。

【Q16】胸が大きい人ほど感じやすいというのは本当?

■宋先生:
これは誤解だと思います。なぜなら、感じるのは乳頭であり、乳房の脂肪の量とは関係ないからです。
逆に、胸が大きい人は感度が悪いと言ったりもしますが、これも関係ないと思います。

【Q17】セックスの後によく膀胱炎になります。防ぐ方法はありますか?

■宋先生:
女性の場合、腟と尿道口が近いため、清潔でない手で触られたり、なめられたりすることによってばい菌が入ることがあります。セックスの後にお風呂やシャワーで洗い流すのがベストですが、そこまでできなくても、排尿をすることでばい菌を流すことができます。
セックスの後はできるだけトイレに行くようにしましょう。

宋美玄先生【診察室からメッセージ】

宋美玄先生【診察室からメッセージ】

●情報に頼りすぎず、自分をよく知って

最近では、スマホアプリに頼っている人が多い印象です。
生理日を入力すると排卵日を教えてくれますが、本当に排卵しているかは、基礎体温や検査でなければわかりません。また、排卵日当日にセックスをすれば妊娠できると思っている人が多いのですが、排卵してしまうと妊娠できないので、排卵日の2~3日前にセックスするほうが確率は高くなります。自分のカラダを正しく知り、正しい知識を持って妊活にのぞんでほしいと思います。

■監修/宋美玄(そんみひょん)先生
●撮影/鈴木江実子
●イラスト/KAZMOIS
●取材・文/尾越まり恵

※記事掲載の内容は2024年2月25日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。

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この記事のキュレーター

妊娠・出産・育児の総合ブランド「たまひよ」。雑誌『妊活たまごクラブ』『たまごクラブ』『ひよこクラブ』を中心に、妊活・妊娠・出産・育児における情報・サービスを幅広く提供しています。


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