女子生徒の6割が経験「運動中の生理の悩み」健康への影響も

学校生活や習い事、趣味を通して、多くの人にとって、人生でスポーツに触れる機会があります。しかしその中には、ハラスメントが起きやすい構造や性差のある制度などの「ジェンダー課題」も存在しています。

ジェンダー論とスポーツ社会学を専門とする明治大学の高峰修教授に、女性や生理のある人の健康課題に光が当たりづらい実態や、将来的な健康課題などを聞きました。

「運動にまつわる性に関する悩みや戸惑い」調査について

ハースト婦人画報社はこのほど、WeSAYとエル、エル・ガールで「運動にまつわる性に関する悩みや戸惑い」についての調査を実施しました。

 この調査は、パリオリンピックを機にスポーツへの関心が高まるタイミングを見据え、あらゆる性の人が楽しめる運動の在り方を探るために行われたもの。体育や水泳の授業、部活動での体験を振り返って回答をいただきました。

 集まった回答は計464。ジェンダーや性にまつわる当時の悩みや、「今思うとおかしい」と感じることなど、さまざまな声が寄せられました。そしてそうした悩みによって、運動から遠のいたり、体を動かすことを楽しめなくなった人がいることも見えます。

 運動が子どもの成長に与える役割として、高峰教授は「体を動かしたり、身のこなしを学ぶことは、発育・発達のために大切」と言います。多様な人と関って社会性を身に付けたり、目標達成によって自信をつけたり、自己肯定感や自尊心を育む機会になります。

 しかしその裏には、光が当たりづらい悩みや戸惑いも存在しているのです。全5記事に分けて、スポーツのジェンダー課題をよみときます。

女性の約6割が「生理に関連する悩み」を回答

調査では「運動にまつわる性に関する悩みや戸惑い」を感じたことがあるかどうか、そしてその悩みや戸惑いの種類を聴取しました。〈ある〉と回答したのは、全体で41%。女性だと半数を占めます(表1参照)。

〈表1

続けて女性の悩みを種類別に見てみると、上位に並んだのは〈生理に関連すること〉〈思春期における体つきの変化〉〈運動着やユニフォームの形状や、更衣室に関すること〉という結果に。生理に関しては、約6割が悩みや戸惑いを感じたと回答しています(表2参照)。

〈表2〉例を示した場合、「運動にまつわる性に関する悩みや戸惑い」を何かしら感じたことがある割合は、女性は83%で男性は47%だった。

 

〈生理に関連すること〉の悩みや戸惑いを記入いただいたフリーアンサー(自由記述回答)には、以下などがあげられました。

 

「生理が始まったのが5年生と早かったので、話が出来る先生や友人もいなかったのがとても不安でした。生理痛であまり動けない時や気持ちが落ち込むなど周りには言いにくかった事がありました」40歳~44歳・女性

 

「当時は自分にとっての選択肢は使い捨てナプキンだけで、タンポンや月経カップなどがなかったため、経血量の多いときは授業中(運動中)に血が漏れ出るのではないかと強い不安を感じていた」25歳~29歳・女性

 

「重たいなので、思うように動けず、痛みを我慢しながらなんとか乗り越えていました。また、生理だとプールの授業を休まざるを得ず、休んだ分は後日、放課後に補講があるのが辛かった。また、プールの見学で男子に生理がバレるのも嫌でした」30歳~34歳・女性(原文ママ)

 

 

 多くの生理がある人が生理痛を耐えるしかなく、生理について自身も慣れないままに、体育や水泳の授業に参加をしてきたことの苦悩があったとわかりました。

無月経は将来的な「健康問題」につながる

女性と回答した人のなかでも運動部への取り組み別に悩みや戸惑いをみてみると、ストイックに取り組んでいた層は、〈生理に関連すること〉への悩みが特筆して見られました(表3参照)。

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この記事のキュレーター

ハースト婦人画報社が運営する各メディアが取材を重ねて得たセクシュアルウェルネスに関する知見を、複数の媒体で横断的に発信するプロジェクトが「WeSAY(ウィーセイ)」です。

あらゆるジェンダー、セクシュアリティの人が、身体的、感情的、精神的、社会的にウェルビーイングな状態でいられるための情報を発信しています。


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