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不妊治療クリニックの選び方 「お金」と「時間」を軸にして選ぶポイントをチェック
イラスト/岡田丈(vision track)
不妊治療をスタートしよう!と思っても、どこへ行ったらいいのか、悩みますね。
クリニックの選び方と心得として知っておくべきことを、妊活コーチの松本亜樹子さんに最新情報とともにアドバイスしてもらいました。
今回は“選び方”編として、「患者思いのクリニックを探すポイント」についてご紹介します。
監修の先生
「はじめの一歩を踏み出す2人のための 不妊治療クリニック 選び方&心の準備ガイド」 #3
※参考:「妊活たまごクラブ 不妊治療クリニック受診ガイド 2022-2023」
「患者思い」ってどういうことなのか、考えてみましょう
親身になって治療してくれる、対応がやさしく親切といったことだけが「患者思い」のクリニックの基準ではないでしょう。仕事をしている人にとって、受診時間がフレキシブルであることや料金について明示されていることも「患者思い」のひとつです。また、治療費が保険適用となったことで「治療実績」についての公正な情報が患者さんに開示されていることも、大事な「患者思い」の姿勢のあらわれといえます。
治療を受ける自分たちにとって何が大事なのかを考え、それと合致するところが、あなたたちにとっての「患者思い」のクリニックです。
『お金』を軸にしてクリニックを選ぶ
★知っておきたい! 保険適用だからこその落とし穴
保険適用になったことで、経済的に助かることになります。でも、治療が高度、あるいは長期化していくと、保険適用外の薬を使ったり、治療を行ったりするほうがよいと思われる場合があります。先進医療にも当てはまらないオプション治療が必要になったときには、治療全体に保険がきかない場合もあります。
だからこそ、料金体系が明示されていることはとても大切です。お金のことを聞くのは恥ずかしいことではありません。自分たちがどのくらいまでなら支払えるのかを話し合い、治療費がいくらかかるのかを把握していきましょう。
【DATA】あなたが不妊治療の保険適用で気がかりなことを教えてください。
●かえって治療費用全体が高額になるのではないか:53%
●助成金(特定不妊治療費助成制度)がなくなるのではないか:52%
●年齢や回数の制限が設けられるのではないか:47%
●治療内容の様々な選択肢が減ってしまうのではないか:38%
●治療の質の低下につながるのではないか:37%
●自分が行っている治療法は保険適用外になるのでは:34%
●医療施設の審査やチェックシステムなどができないのでは:10%
※出典:Fine「不妊治療の保険適用に関する、みんなの意見募集」(2021年11〜12月実施/回答数:632人)より(複数回答)
※2022年4月保険適用スタート前に実施
「いくらかかりますか?」と聞いていいんです
治療が次のステップに進むときには必ず「この治療を受けますか?」と聞かれます。そのときに治療費の目安の提示がなかったら、「料金はいくらかかりますか?」とはっきり聞いてOKです。治療内容についての理解だけでなく、お金のことまで納得したうえで治療を受けることが大切です。
料金についてどこでわかるの?
◆ホームページで
クリニックのホームページで、検査や治療の内容ごとに細かく費用の情報を掲載しているところもあります。
◆受付で
高額な費用をいきなり窓口で請求されてびっくり、ということはありません。事前に費用の概算を提示してもらうことができます。
『時間』を軸にしてクリニックを選ぶ
★仕事との両立のために時間のやりくりができること
不妊治療は、卵胞の成長をモニタリングしたり、注射や投薬の時間が決められたりと、指定された日時に受診することが多くあります。しかも、そのタイミングは直前にならないとわからず、予定が立てにくい場合が多くあります。また、薬の副作用による体調不良も起こり得ます。だから仕事と不妊治療との両立は難しく、診療時間が朝や夜間、土日対応などフレキシブルであることは大きなポイントになります。
また、仕事で直接かかわる上司やキーパーソンとなる同僚にはできれば打ち明けてみましょう。言い出しづらい職場環境もあるかもしれませんが、意外な理解者がいて協力してくれたというケースもあります。
もし合わなければ転院してもいい
気軽に転院をすすめるわけではありませんが、同じ病院に通い続けなくてもいい、ということも覚えておいてほしいと思います。なかなか妊娠しない、医師やスタッフにどうも話がしづらいといった理由で転院する人は少なくありません。
転院する場合、次の受診先への紹介状がないと、これまで積み上げてきた検査や治療のデータが無駄になってしまうことも。これはもったいないので、きちんと病院に伝えて紹介状をもらうのがベストでしょう。
切り出すときは、「セカンドオピニオンを求めてみたい」と正直に申し出てみて。それも言いづらければ、「転勤になった」など、「うそも方便」という手もなくはありません。
【DATA】仕事をしながらの不妊治療は、どんなところが難しい?
●急に・頻繁に仕事を休むことが必要:71%
●周期に合わせた通院が必要で、通院スケジュール管理が難しい:47%
●まわりに迷惑をかけて心苦しい:25%
●上司・同僚の理解を得られない・得難い:13%
●治療のことを職場でカミングアウトすることが難しい:13%
●ほかの人に代替が難しい職務内容
●治療中でも、仕事の都合で途中で断念せざるを得ない
●治療や投薬などの副作用で体調不良
●診療時間が平日日中のみ
●待ち時間が長い
※データ出展:NPO法人 Fine「仕事と不妊治療の両立に関するアンケートPart2」結果より(複数回答)
診療時間ここをチェック
◆土・日・祝の対応
卵胞を育てる注射や投薬のタイミングに曜日は関係ありません。ベストタイミングが休診日だとその分チャンスを逃すことに。
◆早朝・夜間の診察時間
出勤前にサクッと、あるいは残業のあとに慌てずに受診できる診療時間が、仕事と治療を両立するための味方になります。
◆事務管理のシステム化
自動会計システムを導入するなど、事務管理を合理化しているクリニックなら、診察以外の待ち時間などが短縮されます。
不妊治療のオンライン化は進まない?
コロナ禍、説明会や一部の問診などはオンライン化が進んだことで、感染対策だけでなく、通院時間がかかる人にとってはメリットがありました。ただ、卵胞や子宮が今どんな状態かリアルタイムで診る必要がある不妊治療には通院が必要です。このため、不妊治療はオンライン化が進みにくいという傾向があります。
【DATA】転院したかたに聞きました。なぜ転院しましたか?
●妊娠しなかったから:57%
●ここではやっていない治療を受けたかったから:43%
●医師の対応がよくなかったから:40%
●他の病院の評判を聞いたから:18%
●待ち時間が長かったから:17%
●自宅や職場から通いづらかったから
●医師から別の病院を紹介されたから
●妊婦さんや子ども連れと同じ待合室だったから
データ出展:NPO法人 Fine「どうする?教えて!病院選びのポイントアンケート2020」結果より(複数回答)
自分の検査データは自分で管理しよう
病院で渡された検査結果や治療データは、今後のためにも保管しておきましょう。時系列に沿ってファイルしておけば十分です。転院した場合に、直近の検査結果があれば、また一から検査し直すことも避けられることがあります。もちろん自分自身の治療について理解する助けにもなります。
■監修
■イラスト/岡田丈(vision track)
■構成・文/関川香織
※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。
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