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妊活対談「新型コロナウイルス感染の影響で、男女のセックスは変わったのか?」
※写真はイメージです
Image Source/gettyimages
新型コロナウイルス感染の影響で、男女のセックスは変わったのか?赤ちゃんが欲しい夫婦が、幸せなセックスをするためのポイントは?
大人になってからはなかなか聞けない「セックス」について、産婦人科医の宋先生と泌尿器科医の小堀先生が語り合いました。
監修の先生
小堀善友 先生
PROFILE:泌尿器科医。プライベートケアクリニック東京 東京院・院長。 金沢大学医学部卒業。専門は男性不妊(とくに射精障害)、性感染症。BuzzFeedJapanなどのメディアで間違ったマスターベーション防止の啓蒙活動も行う。著書に『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)。プライベートでは4人の男児のパパ。
宋美玄(そんみひょん) 先生
PROFILE:産婦人科医。性科学者。ロンドンで胎児超音波の研さんを積み、2017年に丸の内の森レディースクリニックを開院。産婦人科診療やカウンセリングを行う一方で、メディアで女性の体や性生活、妊娠・出産等について情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちいいセックス』(ブックマン社)。2児のママとして育児に奮闘中。
「妊活男女が知っておきたいセックスのこと」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 2023-2024年版」
●宋先生『コロナ禍で 妊活のセックスが激減!?いいえ、元からです』
●小堀先生『妊活のために、無理にセックスをする必要はないと思うのです』
新型コロナ感染拡大から3年、夫婦のセックスには変化なし
――2020年以降、新型コロナウイルスの感染が広がりました。夫婦間のセックスに何か影響や変化はあったのでしょうか?
■宋先生:
セックスにおいて、コロナの影響はとくになかったと私は思っています。小堀先生はいかがですか?
■小堀先生:
私も同感ですね。最初の緊急事態宣言のときは多少セックスを控える動きもあったかもしれませんが、すぐに復活しましたよね。不特定多数の人とのセックスは感染リスクが高いかもしれませんが、夫婦のセックスは控える必要はないという考え方が多数でした。おうち時間が増えてセックスの回数が増えた人もいれば、コロナの感染が不安だからと控えた人もいて、半々くらいかなという印象です。
――コロナでセックスに消極的になった人が多いのかと思いました。
■宋先生:
いやぁ、日本人はもともと消極的ですからね。
■小堀先生:
おっしゃる通りです。
■宋先生:
コロナの時期に妊活を休むかどうか、ワクチンを打つか打たないか、など、これまでにはない新しい問題でパートナーと価値観が合わないといった悩みは確かに生まれているかもしれませんね。
■小堀先生:
感染が広がった当初は、コロナを予防するためのセックスの方法は?と議論にもなったようですが、キスをしないとか、性器にカバーを付けるとか。
■宋先生:
向かい合わない、マスクをしたままセックスをする……(笑)。
■小堀先生:
これはまったくあり得ない話だった(苦笑)。みんなもう気にせずセックスしていると思います。
――年間の出生数は統計史上最少となり、今後はさらに減少すると見られています。
■小堀先生:
宋先生がおっしゃる通り、確かに、一時期は妊活をお休みしましょうという風潮もあったので、それが出生数に反映されているのかもしれませんが、実態はわかりません。
■宋先生:
ただ、新型コロナの前から少子化はずっと進んでいます。コロナの影響があるとしたら、セックスの回数が減ったというより、収入が減ったり職を失ったりして、子どもをつくりたくてもつくれない状況が影響しているような気がします……。
性感染症患者が増加中!妊活前に2人で検査を
■小堀先生:
セックスの問題というより社会的な問題ですよね。
■宋先生:
ステイホームになると若者たちはセックスをしまくって子どもが増えるのではないかと一部の政治家たちが言っていましたが、そんな明るい日本でしたっけ?(苦笑) 結果、ステイホームで子どもが増えるというのは幻想に終わったわけです。とくに最初の緊急事態宣言中は学校も仕事も休みになり、みんなてんやわんやで、セックスどころではありませんでした。
そもそも、結婚したカップルが持つ子どもの数は減っていないんです。少子化が進んでいるのは、結婚する人が減っているからです。経済が上向くか、国が強い施策を打ち出して、若者たちが「大丈夫、結婚してもやっていけるな」というマインドにならない限り、子どもの数は増えないでしょう。
――最近のセックスに関する悩みで多いのはどんな内容ですか?
■小堀先生:
国内のデータでは、性感染症が増加傾向です。淋病やクラミジアもそうですし、とくに最近は梅毒の患者さんが多いですね。
■宋先生:
性感染症の中には自覚症状がない病気も多いので、自分がかかっていることに気づかずにセックスをして、パートナーにうつしてしまうパターンが多いんですよね。
■小堀先生:
クラミジアは不妊症の原因にもなりますし、赤ちゃんをつくろう、と考えたら、まずは2人で検査を受けて欲しいと思います。
――この数年はセクシュアリティに大きな変化があり、男女のセックス以外にも性の多様化が進んでいます。
■宋先生:
性の多様化が進んだのではなく、もともとあるものが認知されるようになったのだと思います。これまで社会から隠れていたものが、だいぶ表に出やすくなりました。それでもまだ、かなり隠れていると思いますが。生殖の領域でも、子宮や精子を第三者から提供してもらうようなパターンも海外では増えています。
■小堀先生:
私の病院にもトランスジェンダーの方や性転換手術を受けた方なども診察を受けに来ています。日本は法整備が進んでいないために、LGBTQ+のカップルが子どもを持つハードルになっています。
セックスに正解はない。もっと自由に楽しんでいい
――子どもは欲しいけれど、セックスレスで悩む夫婦もいます。夫婦が幸せなセックスをするためのコツはありますか?
■宋先生:
私の考えはずっと同じなのですが、妊娠のためにセックスをするから、セックスが楽しくなくなるんだと思います。妊活する前までは2人のセックスは楽しかったのに、だんだん義務的になって、セックスするのが苦痛。妊娠したらもうセックスしなくてすむ!って喜んで、そのままセックスレス……。
そうなるくらいなら、2人が気持ちよくて盛り上がるタイミングでセックスを楽しめばいいと思います。私は必ずしもセックスで妊娠しないといけないとは思わないんです。
■小堀先生:
まったく同感です。私の究極の答えも、「別に無理にセックスをしなくてもいいんじゃないの?」です。
■宋先生:
挿入のときに痛いとか、性器が入らないとか、いろんなセックスの悩みがありますが、性欲があふれて止まらないというのと、性欲がまったくわかないという悩みはどうしようもないんですよね……。
■小堀先生:
そこのアンバランスさは解決しようがないから難しいですね。赤ちゃんが欲しいならなおさら。
■宋先生:
お互いが歩み寄る方法のひとつとして、排卵日のセックスにこだわらない。排卵日にその気にならないんだったら無理して挿入せず、たとえば「シリンジ法」といった方法を試してもいいと思います。2人が盛り上がるときのセックスを大事にしたほうがいい。
■小堀先生:
シリンジ法はマスターベーションで採取した精子を腟内に挿入する方法ですね。市販のキットを使えば、病院で不妊治療するより手軽で安くできます。
私の病院には、「射精ができない」という男性がたくさん来ます。でも、意外とシリンジ法を知らない人も多いんですよね。紹介すると、1ヶ月で赤ちゃんができたカップルもいます。セックスと射精にとらわれすぎて、苦しんでいる人が多いんじゃないかなと思いますね。
■宋先生:
男たるもの!って男性のほうが射精にこだわる傾向がありますよね。ちゃんと腟内で射精して妊娠させねば!みたいな。
■小堀先生:
そういう方はぜひ当院にカウンセリングに来て欲しいですね。
■宋先生:
エッチな動画の影響も大きいと思うんですよね。あのなかでは射精がセックスのフィニッシュだとされている。
■小堀先生:
必ずしも射精がゴールではないし、セックスの目標も腟内で射精ではないから、挿入ができるんだとしたら、それ自体を楽しんだらいいと思います。セックスに正解なんてありませんから。
■宋先生:
「こうでないといけない」というハードルはどんどんなくしていきましょう!
セックスに間違いはないし、絶対にセックスをしないといけないこともありません。したければすればいいですし、それで気持ちよかったら幸せなことですよね。
■監修/
●撮影/合田和弘
●取材・文/尾越まり恵
※記事掲載の内容は2023年2月25日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。
▼『妊活たまごクラブ2023-2024年版』は、妊活に役立つ情報が一冊に詰まった妊活スタートブック
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