八王子ARTクリニック小泉邦博先生

【医師Q&A】排卵誘発にはどんな種類があるの?できるだけカラダに負担が少ない方法を選びたいときは?

妊活や不妊治療について患者さんが不安や疑問に思うことを、ルナルナがズバリ専門医師に質問!!今回は、「不妊治療についての不安や疑問はなんでも医師に相談を」と語る八王子ARTクリニックの小泉先生に答えていただきました。

Q:排卵誘発にはどんな種類がある?

高度不妊治療を検討しています。体外受精では、排卵を促すためのさまざまな方法があると聞きました。具体的に、どのような方法があるのでしょうか? 

A:八王子ARTクリニック 小泉邦博先生に答えていただきました。 

八王子ARTクリニック小泉邦博先生
排卵誘発剤や
HMGrFSHを使用して卵子(卵胞)を発育させる治療法を「排卵誘発」といいます。排卵誘発は、卵巣を刺激して複数個卵胞を発育させるためにいます。 
本来、1回の排卵で卵巣から出てくる卵子はひとつですが、排卵誘発をおこなうことで1の採卵で、複数の卵子を獲得できる可能性があります。 
排卵誘発剤には経口薬や注射など、いくつかの種類があり、卵巣を刺激する方法にもさまざまな種類があります。以下に、一般的な卵巣刺激の方法を挙げます。 

◆自然周期・・・薬剤を使用せずに、自然な排卵(月経)のタイミングに合わせておこなう方法 

◆低刺激法・・・脳に作用し、卵胞を育てるホルモンの分泌を促す「クロミフェン」という経口薬を使用する方法 

◆中刺激法・・・クロミフェンに加え、卵巣を刺激する注射薬(HMG・FSH製剤)を使用する方法 

◆高刺激法
・ロング法 : 体外受精の前周期からGnRHアゴニスト(点鼻)で排卵をコントロールし、FSH製剤やHMG製剤で連日刺激をする。
・ショート法 体外受精の周期からGnRHアゴニスト(点鼻)で排卵をコントロールし、FSH製剤やHMG製剤で連日刺激をする。
アンタゴニスト法 : 体外受精の周期からFSH製剤やHMG製剤で連日刺激をし、卵胞が成長してからGnRHアンタゴニスト(注射)で抑制をする。 

できるだけカラダに負担が少ない方法を選ぶとしたら?

排卵を誘発する方法はいくつかありますが、カラダへの負担の少ない方法を選びたいという人には、低刺激法がすすめられます。 
低刺激法では、効き目が比較的ゆるやかな経口薬クロミフェンを月経開始3日目より採卵直前まで服用していただき、発育した卵胞15個程度採取します。 
高刺激法と比べて、低刺激法は一度に採取できる卵子の数は少ないものの、質の良い「少数精鋭」の卵子を採取することで、妊娠率を高められると私は考えています。 
八王子ARTクリニック小泉邦博先生

低刺激法のメリットは、何より治療を受ける女性への負担が少ないこと。使用する薬剤が少ないためカラダへの影響が少ないことも大きいですが、飲み薬だけなので、注射による治療と比べてストレスが少ないことで、カラダだけでなくココロへの負担も軽くできます。途中で来院する必要がないので、日常生活を送りながら治療が出来ます。来院日数は、タイミング法とほとんど変わりません。 

さらに、低刺激法では採取する卵子の数が少ない分、治療時間も短くてすみます。治療の流れや治療にかかる時間は施設によって異なりますが、八王子ARTクリニックでは、採卵にかかる時間は23分程度。さらに、当院では採卵のときは非常に細い針(22G)を使用するため、出血や痛みも少なく全身麻酔も必要ありません。 

このように、患者さんの日常生活に占める「治療にかかる時間」が短くて済みます。 

 

治療を選択するときに、条件となることはありますか?

治療選択におけるポイントは3つあります。
ひとつは「年齢」です。一般的に、
30歳を過ぎると妊娠する確率が下がり始めます。妊娠を望むなら、早めの治療をお勧めいたします。 
もう一つのポイントは、子宮内膜症です。結婚年齢が高くなってきたため結婚時に子宮内膜症に罹患されている方が増加しております。子宮内膜症は、子宮と子宮周囲の卵巣・卵管などを癒着させ、妊娠しにくくなります。 子宮内膜症と診断を受けたことのある人は、早めの高度不妊治療をお勧めいたします。 

最後のポイントが「AMH(抗ミュラー管ホルモン)」です。AMHは、「卵巣予備能」を評価する指標のひとつとされるホルモンで、卵巣予備能とは、「卵巣の中に残っている卵子の数の目安」のこと。つまり、AMH検査をおこない、AMH値を調べることで、卵巣の中に卵子がどのぐらい残っているかを確認することができます。値が低い方は早く閉経してしまう可能性があります。卵子の数が少なくても、妊娠する確率はその方の年齢によります。そのような方こそ時間がないので、高度不妊治療を早く取り入れて確立を高めて妊娠して頂きたい。 

高度不妊治療は、女性のカラダやココロ、そしてライフスタイルなどにも影響を与えるものです。どのような治療を選択するべきか、不安や迷いを抱くこともあると思いますが、年齢を重ねるほど妊娠しにくくなるのも事実です。悩む前に、まずは受診して相談してみましょう。医師は、患者さんそれぞれの状態やライフスタイルなども考慮した上で、治療計画を考えます。一人で悩む時間を少しでも短くして、医師と、パートナーと、一緒に考えていくことが大切です。 

妊活や不妊治療を考えている女性へ

八王子ARTクリニック小泉邦博先生「治療が生活のすべてにならないように、仕事や趣味なども楽しみましょう」 

「赤ちゃんが欲しい」と考えているなら、1日でも早く受診し、治療を始められることをおすすめします。ただし、治療を始めても、妊娠を目指すことだけが生活のすべてにならないようにしましょう。日常生活すべてを妊娠することだけに注ぎ込んでしまうと、「妊娠しなくては」という思いがプレッシャーになり、ご自身を追い詰めてしまうことも。仕事や趣味など、生活を楽しむことを忘れずに、治療にかかる時間はなるべく短くできることが理想です。 

今は、ネットなどでさまざまな情報を得られますが、気になることを検索し、多すぎる情報にふれて、さらに悩みや不安が大きくなることも珍しくありません。そういうことを避けるためにも、受診したら、疑問や悩みはすべて医師に伝えてください。そして、スッキリした気持ちで診察室を出た後は、不安を持たずにお帰りいただきたいと思います。 

 

今回質問にお答えくださった先生 

八王子ARTクリニック小泉院長
八王子ARTクリニック

院長 小泉邦博(こいずみ・くにひろ) 

「一日でも早く受診していただくことが、明るい未来への近道と考えています。当クリニックでは、初めての受診で不安や緊張がある患者さんにもリラックスして過ごしていただけるよう、スタッフがサポートします」 

 
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医 

 

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この記事のキュレーター

生理日管理ツールの決定版の「ルナルナ」が不妊治療に関する不安や疑問を医師にぶつけて、不妊治療の困った!をサポートする情報をお届けします。
八王子ARTクリニック小泉邦博先生

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