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妊活中に子宮内膜症になってしまった……妊娠はできるの??
よく聞く病名でありながらも、どんな病気かはあまり知られていない子宮内膜症。
不妊の原因のひとつともいわれていますが、子宮内膜症になった全ての人が不妊になるというわけではありません。今回は、子宮内膜症の基礎知識と、治療法、妊娠との関係を解説していきます。
子宮内膜症ってどんな病気?
子宮内膜症は、本来子宮の内側にできる子宮内膜が、腹膜、卵巣など子宮以外にできてしまう病気です。
子宮内膜は本来、子宮から剥がれ落ちて月経血として排出されますが、子宮以外にできた子宮内膜は排出されることがなく、炎症や痛みの原因となります。
年々重くなる生理痛やセックスのときに痛みがある性交痛が、子宮内膜症を疑う症状のひとつですが、まれにまったく自覚症状がない人もいます。
子宮内膜症の治療法とは?
子宮内膜症にかかった場合、鎮痛剤で痛みを抑える対症療法や、低用量ピル(OC/LEP)などで生理を軽くするホルモン療法のほか、手術を行うケースもあります。
● 対症療法
軽度の場合、鎮痛剤や漢方薬を服薬して痛みをやわらげながら自然妊娠を目指すという方法をとることがあります。しかし、これはあくまで痛みをやわらげるだけの方法で、子宮内膜症自体を治療するものではありません。
● ホルモン療法
鎮痛剤などで効果が得られない場合は、妊娠を希望しないのであれば、低用量ピルや黄体ホルモン剤などが用いられることもあり、女性ホルモンの分泌を抑えたり直接病変部に作用させたりして症状を緩和・進行を抑えます。
● 手術
子宮内膜症の症状がある程度進行している場合は、腹腔鏡での手術で病変部や癒着を取り除く必要があります。場合によっては開腹手術が必要になることもあるでしょう。
子宮内膜症になっても、妊娠はできる?
強い生理痛が原因で発覚することが多い子宮内膜症。女性のカラダに与える影響も大きいのですが、妊娠とは具体的にどのような関係があるのでしょうか?
1. 卵巣や卵管が癒着して排卵や受精の妨げになる
増殖した子宮内膜は生理同様にはがれ落ち、出血を引き起こします。はがれ落ちた部位は、自然治癒力によりその傷を治そうとするのですが、その際、近くの臓器や腹膜同士で癒着が起こることがあります。卵巣や卵管で癒着が起こると、排卵が妨げられる、受精卵が卵管を通れないといった事態になり、妊娠の妨げになります。
2. 炎症が起こることで増加する物質が受精率・妊娠率を下げる
子宮内膜症が進行してゆくと、骨盤内は常に炎症を起こした状態になってゆきます。
炎症はカラダに異常があることを知らせるサイン。炎症が起こると、免疫細胞やサイトカインという炎症物質が増加し、その結果、卵胞の発育が障害されたり、受精率、妊娠率が低下します。さらには、卵巣内に発育した子宮内膜症は卵巣機能を低下させてしまうのです。
3. 性交痛によってセックスレスになりやすい
子宮内膜症は生理痛だけでなく、性交痛も引き起こします。強い痛みが生じるため、セックスの回数が減り、セックスレスの原因となることがあります。
上に挙げたような原因で、子宮内膜症が妊娠の妨げになることがあります。
しかし、一般的に子宮内膜症そのものは良性の病気であり、必ずしも不妊になるというわけではありません。
よって、妊娠を希望している場合には、鎮痛剤で痛みを抑えながら妊娠を目指すことが多いでしょう。
ただし、卵巣に子宮内膜症ができるチョコレート嚢胞はまれに悪性化することがあり、大きな場合には破裂する恐れもあるので手術をすることもあります。
手術で左右どちらか片方の卵巣を摘出したとしても、片方の卵巣があれば自然に妊娠する可能性も十分残されています。
妊娠を望む女性で、子宮内膜症になった場合にも悲観することはありません。なるべく早めに専門医に相談し、自分にあった治療法を行いましょう。
★今回のポイント★
・生理痛や性交痛がひどくなっている場合、子宮内膜症の疑いがある
・妊娠を希望している場合は対症療法で早期の妊娠を目指す
・子宮内膜症は手術で片方の卵巣を摘出した場合でも、もう片方の卵巣があれば妊娠できる可能性はある
この記事の監修
日本産科婦人科学会専門医 松村 圭子先生
初回公開日:2017年7月7日
最終監修日:2021年9月21日
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