不妊や子宮外妊娠の原因に…性感染症が疑われるサインを見逃さないで!

近年、若年層を中心に性感染症が増えています。自覚症状がない場合もめずらしくなく、放っておくと不妊症や子宮外妊娠の原因となることも。性感染症が疑われるサインや、代表的な性感染症の症状・治療法をご紹介します。

おりものや外陰部の異常は性感染症のサイン?

性感染症は性交渉によってうつる病気のことで、近年はSTDSexually Transmitted Diseases)と呼ばれています。

自覚症状が少ないものも多く、パートナーを介して周囲に蔓延させる例もめずらしくありません。また性感染症を放っておくと、不妊や子宮外妊娠などの原因となることもあります。

恥ずかしがらず、おりものや外陰部に異常を感じたら、速やかに医療機関での検査・治療を受けるようにしましょう。

おりものは、子宮や腟から出る分泌物で、腟の粘膜をうるおわせ腟内の自浄作用の役割を担っています。通常は、乳白色で、少しすっぱいにおいがします。

腟内に異常があると、カッテージチーズ状や黄緑色、灰白色のおりものが増えてきます。

これは、何らかの性感染症のサインである可能性があります。

その他、おりものの量やにおいの変化などにも注意。外陰部や膣のなかの激しいかゆみも、カンジダや細菌などの感染が疑われます。

おりものの量・色・におい、外陰部や膣の腫れ・かゆみ・痛みなどの異常に気付いたら、すぐに病院へ行きましょう。

外陰部に水疱やイボなどができた場合には、性器ヘルペス(水疱)、尖形コンジローマ(イボ)などが疑われます。

代表的な性感染症

代表的な性感染症は、次の通りです。

 

● クラミジア感染症

女性に多い性感染症です。自覚症状が少なく、放置すると不妊症の原因となることも。

オーラルセックスなどでのどに感染することもあります。この病気があるとHIV35倍感染しやすくなるといわれています。抗生剤の内服により、完治させることができます。

 

● 性器ヘルペス

若い世代に多い病気です。

ヘルペスウイルスによる感染で、感染後310日で外陰部周辺の水疱やはれ、ただれが出ます。一度感染すると、神経節にウイルスが潜み、体力が落ちたりすると再発することがあります。

 

● 淋病

おりものが増えて黄緑色の膿状になることも。

自覚症状が少ないので気づきにくく、放置すると淋菌が子宮から卵管まで広がり、不妊症や子宮外妊娠の原因になることもあります。

近年は、注射・点滴で治療ができるようになっています。

 

● 膣カンジダ症

もともと体内に存在するカビの一種である、カンジダ菌によって起こる炎症です。

抵抗力が落ちると性交渉がなくても発症します。外陰部の激しいかゆみとカッテージチーズ状のおりものが特徴。

病院で膣洗浄と膣錠、外用薬による治療を行います。12週間が完治の目安です。

 

● 尖圭コンジローマ

ヒト・パピローマウイルスによる感染症。薄茶色やピンクのイボが特徴。痛みはないことがほとんどですが放っておくと数が増えて密集し、カリフラワー状になることも。再発しやすく完治まで時間がかかることがあります。

 

● トリコモナス膣炎

性交渉のほか、まれに公衆浴場や便座などからも感染します。

悪臭が強く、黄緑色がかった泡状のおりものが特徴。排尿痛、陰部のかゆみ、灼熱感も。内服薬と膣錠で、完治まで2週間が目安です。

 

再感染を防ぐため、治療はパートナーと一緒に

性感染症は、婦人科、泌尿器科、性病科などで診断できます。

女性が完治してもパートナーである男性側が感染したままでは、再度セックスによりうつる可能性があります。検査・治療は男女同時に行うようにしましょう。また、お互いが完治するまでセックスは控えましょう。

また、感染予防のためにもセックスの際はコンドームを使うようにしましょう。

 

★今回のポイント★

・性感染症は自覚症状が少ない場合もある

・放っておくと不妊症や子宮外妊娠の原因となることも

・性感染症の検査・治療はパートナーと同時に

 

 

この記事の監修 
婦人科専門医  松村 圭子先生

この記事のキュレーター

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