子どものいのちを守れるママ&パパになる! その③地震の後、ママと子どもに起こることは…?

ひとたび震度7クラスの大地震が起きれば、その後数か月は大きな余震が続きます。
道路が壊れ、電気やガス、水道などのライフラインが断たれ、数日間は大混乱になり、水や食料など物資は一切届かなくなり、何も買えなくなってしまいます。
実際に大地震を経験した東北や熊本のママと子どもたちは、その間どう過ごしていたのでしょうか。

 

食べ物がない!子どもの食べ物はもっとない!

「子どもに備蓄していた乾パンをあげたが、すぐ吐き出してしまいました。子どもはまずいと食べないし、食べ慣れていないものもダメだった。でもお腹は空くので泣き叫んでしまい、とてもかわいそうでした。どうして食べられないものを備蓄していたんだろうと後悔しました。」(東北ママ談)

 

「おもちゃを持って逃げられなかったので、大好きなキャラクターがパッケージについている防災食を見て喜び、落ち着いてくれた」(熊本ママ談)

大震災が起こると、火災や道路が壊れ、被災地周辺は完全に物流が途絶えます。

様々な商品の供給が完全にストップし、乳幼児に必要な、離乳食や粉ミルク、アレルギー対応食品などは、手に入らなくなります。

衛生的な水も無くなるので、哺乳瓶を洗うことすら難しくなります。

特に、離乳食の赤ちゃんの食べ物、アレルギーの子ども食はほとんど入手できなくなるので、必ず備蓄を

乳幼児の食事は、大人のものを代わりに与えられないので、重点的に用意しておきましょう。

 

子どもは大人のように「今は非常時だからこれでガマンしよう」などと、頭で割り切って食べることは出来ません。

備蓄をする時は、子どもが食べられるもの、普段から食べ慣れているものを準備してください。

非常食を備蓄する場合は、試食をさせ、子どもの口に合うかどうか確認しておくと安心です。

地震のストレスから、数日間何も食べられなくなった子もいたので、食べると元気が出るもの、大好きなものを入れてあげるのも良いでしょう。

 

子どもが出来るトイレがない!

 

「においや汚れもひどく、夜は停電している真っ暗なトイレを、子どもたちは「怖い」ととても嫌がりました。」(東北ママ談)

「地震以降2週間ほど、ストレスのせいか、すごく頻繁にトイレに行っていたので大変でした。」(熊本ママ談)

避難所などに用意される仮設トイレは、段差が高く、手すりのない和式が多かったそう。

マンションなどの場合も、一見壊れていなくても、中の配管が破損している可能性もあるので、水を流せなくなります。

使い捨ておまるや、簡易式トイレなど、子どもが使いやすいトイレを用意しておきましょう。

 

家族と連絡が取れない、会えない!

「携帯電話の電池がなくなり、登録してある電話番号が分からなくなって、周りと連絡が取れなくなりました」

「役場で充電サービスをしていたものの、50人以上並んでいて、子連れではムリだと断念しました」(東北ママ談)

 

大地震の後は、通話規制が入り、電話がつながりにくい状態に。

家族の安否が分からないと次の行動が取れません。どうやって連絡を取り合うか、決めておきましょう。

避難所などに公衆電話が届くこともあるので、大事な電話番号は覚えておく、メモに書いておくなどしておきましょう。

携帯電話各社が提供する「災害用伝言板」などを利用して、家族の安否を確認することもできます。

また災害用伝言ダイヤル「171」は30秒のメッセージを最高10件、48時間保存してくれるサービス。

毎月1日や、防災週間などに体験利用が出来ますので、一度試しておくことをおススメします。

 

みんな不安でイライラ、子どもが安心できる場所がない!

「避難所は満員で、子連れで居る場所がなく、外にテントで生活していました。」

「体育館に避難したが、寒さと床の固さが辛かった。子どもたちも慣れない事態に興奮気味でした。」(熊本ママ談)

「赤ちゃんには大変な場所。泣いたりぐずったときに、『うるさい!静かにさせて』と怒鳴られ、毎日ビクビクしていました」(東北ママ談)

被災後、自宅にいることが出来なくなったら、知人や親戚宅にしばらく身を寄せたり、避難所で生活することになりますが、余震の続く避難所は、不安でイライラした不特定多数の大人がいっぱい。

安心して子どもとその家族が居られる場所ではなかったそう。

避難所に届く支援物資も、人数分はなく、ミルク、おむつ、下着、生理用品など赤ちゃんや女性のもの、アレルギーのものなど、使う人が限られているものは中々届かなかったそう。

それどころか、「物資がどこで配給されているかも分からなかった」という声も。

炊き出しがあっても、あっという間に数百人を超える行列が出来、子連れで並ぶことは難しかったそうです。

 

「男の子が同じ避難所にいる男性にわいせつな行為をされた」

「トイレまでついてくる」

「夜、毛布に他人が入ってくる」

「着替えを覗かれる」

「授乳しているのを男性じっと見られる」

(熊本地震で配られたチラシに載っていた、阪神大地震や東日本大震災で起きた事例)

「余震がこわいし、赤ちゃんが居たので、小学校の校庭で毎晩車中泊していました。」(熊本ママ談)

避難所では、女性や子どもを狙った性犯罪や、DVも。

最近は、女性目線で避難所運営を見直したり、保育園を母子専用の避難所にしようという取り組みも進められてはきていますが、やはり、小さい子がいる場合、見知らぬ大勢の人と共に暮らす避難所生活はとても大変。

避難所に行かないでも済むように、自宅にしっかり備えておくという発想の転換も必要かと思います。

大地震の時、誰より怖い思いをし、ガマンするのは子どもたち

「子どもは小さな体で親以上に辛く寂しい思いをします。子どもが不安な時は、必ずそばにいて抱きしめてあげて」(熊本ママ談)

「着せるものより、かけてあげる毛布やブランケットの方が落ち着いて寝てくれました。」(東北ママ談)

子どもは防災リュックの準備も、備蓄も、自分一人では出来ません。

食べ物、飲み物、トイレ、遊ぶ、眠る…大人はガマンできても、子どもはそうはいきません。

どんなものがあれば、少しでも子どもを安心させられるか、そうした視点をもって、子どものものだけは必ず準備をしておいてください。

 

この記事のキュレーター

東日本大震災の物資支援活動を機にママのための防災ブック「その時ママがすることは?」を制作し、現在、(社)スマートサバイバープロジェクト特別講師として、全国170ヵ所以上で乳幼児・未就学児ママ向け防災講座「防災ママカフェ®」を実施。9000人を超える人が参加中。

NHK教育「すくすく子育て」他、メディア出演多数。 3児のママ。

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