子どものいのちを守れるママ&パパになる! その①親のあなたにしかできないこと

被災地のママへの物資支援を通じて集めた、東北・熊本ママたちの経験と子どもを守る知恵をシェアする『防災ママカフェ®』を全国で開催している、(社)スマートサバイバープロジェクト(SSPJ)特別講師のかもんまゆさんに、被災したママ達の話を元に、親子でいのちを守るポイントをまとめてもらいました。プレママ&小さい子どものいるママ必見!です。

あなたは本当に大丈夫?ママ&パパと子どもを襲う大地震のリアル

「アパートの2階に居て、親子3人でアパートごと流されました。1人は抱っこして、もう1人はおんぶ。首まで氷のように冷たい水が来ましたが、翌日夕方にようやく助けが来ました。」(東北ママ談)

「2ヵ月の娘を連れて逃げる途中、津波に流され、車の上で身動きが取れなくなりました。夜になって雪が降りだし、いつまた津波が来るか分からないので、娘を守らなきゃと、水の中を歩いて脱出しました。」(東北ママ談)

 

突然ですが、今あなたが住んでいるところに大地震が起こったら、大切なお子さんのいのちを守れる自信がありますか?

あなたが今、「特に何も備えていないけど、まあどうにかなるだろう」と漠然と思っていることは、実際そうなるのでしょうか?

私は、7年前の東日本大震災の時、避難所に入れなかった1200人以上の被災地の乳幼児ママと子どもたちに、段ボールで950箱、約10ヵ月に渡る物資支援活動を通じて、たくさんの被災地のママと出会いました。

その時に聞かせてもらった話で一番怖かったのが、「地震が来る前はこうだと思ってたけど、実際はこうだった」というリアルな体験でした。

「いざとなればパパが居るから大丈夫」

そう思っていたのに、7年前の東日本大震災が起きた時間は午後2時46分。

多くのパパは会社で、おうちにはいませんでした。

地震から何日もの間、ママはたった一人で、自分と子どものいのちを守り切らなければなりませんでした。

「避難所に行けば何かもらえるだろう」
と思っていたママが、被災後にたどり着いた避難所の小学校には、5日もの間、何も食べ物が来ることはなく、子どもにもとてもつらい思いをさせてしまったそうです。

地震大国ニッポンに暮らす以上、地震は「まさか」の出来事ではない

「まさか私が被災するなんて」
「まさか今日地震が来るなんて」
「まさかここに地震が来るなんて」…

東北や熊本で被災したママからよく聞いたのは「まさか」という言葉。

でも、ちょっと調べれば、日本には100を超える火山があり、毎日大小300回を超える地震が起き、そして国中いたるところに2000以上の活断層があり、世界中の地震の10%が集中する地震大国。

いつどこで起こるかは分からなくても、「その時」はいつどこにでも起きて不思議はない国、それが日本なのです。

家事に育児に仕事に、毎日忙しいママ&パパにとって、地震は、「いつ来るか分からないのに備えるなんて正直面倒」だし、「考えると怖いから考えないようにしている」ことなのかもしれません。

でも、これだけの地震大国で子育てしている以上、大地震は決して「どこか遠くで起きた他人事」「まさか」の出来事ではありません。

大地震の瞬間、ママたちは「何もできなかった」

「部屋にあるあらゆるものが飛び、すさまじい揺れで一歩も動けなかった。ただの地震ではないことをすぐに感じた。赤ちゃんのいるベビーベッドまで何とかして行きたかったが、四つん這いでも前には進めなかった」(東北ママ談)

「ソファで横になっていたら、次の瞬間ふっ飛ばされて床に落ちていた」(熊本ママ談)

「12階のマンションで被災。テレビの配線がちぎれて、5mほどすっとんで部屋の反対側の隅に転がっていた」(熊本ママ談)

もしかすると、「地震が来た時に何とか頑張れば、どうにかなるだろう」と思っている方もいるかもしれませんが、今、日本で心配されている首都直下地震や南海トラフ大地震、活断層を震源とした巨大地震の想定震度は7。

気象庁の震度表によれば、「震度7=自分の意志では行動できない震度」となっており、被災したママたちはその瞬間すさまじい揺れの中、親子で必死に耐える以外、何もできませんでした。

 

そして、いのちの危険が迫るような大災害の時、約7割の人は真っ白になって思考停止してしまい、全く動けなくなってしまうそう。

そして、「きっと誤報だ」「他の人も逃げていないから大丈夫」など、目先の不安に自分で言い訳を作り、心のバランスを取ろうとするのも、災害時によくある心理状態。

こうした自分の心とも戦わなくてはなりません。

大地震の時、一番大変な思いをするのは子どもたち

「ママが何も知らない、何も準備していなくて子どもを守れるほど、大地震は甘くなかった」(東北ママ談)

 大地震は、誰にでも平等にやってくるもの。

女性や小さな子どもにも容赦はありません。

防災リュックの準備も、備蓄も、ケガの手当ても、逃げることすら自分一人ではできない子どもたち。

大地震のとき、両親が「知らない」「備えていない」ことで、誰より怖くて大変な思いをしたのは、小さな子どもたちでした。

防災とは、「自分と大切な人のいのちを守ること」。

「立っていられない、声も出ない。どこに逃げよう。どうやって子どもを守るか頭がいっぱいになり、涙が出そうになったけど、私がしっかりしなきゃって思いました。」(東北ママ談)

防災というと、「リュックに何を入れる?」「どんな備蓄がいいの?」などと思い浮かべるかもしれません。

でも、どんなに備蓄をしていても、その瞬間を何とかやり過ごし、いのちを守り切らない限り、その先はありません。

大地震の時、何より大事なことは「何とか親子で生きのびる」ということ。

大地震の時、きっと子どもの一番近くにいるのはママとパパ。

親であるあなたの準備と行動に、小さな命がかかっています。

誰もあなたの代わりはいないのです。

「あの時こうしていれば…」「あの時これがあれば…」子どもにつらい思い、大変な思いをさせてしまった被災地のママたちは、地震が来る前の今こそ、ママが家族を守る、子どもを守るという意識を持って、明日来るかもしれない大地震がどんなものでも乗り越えられるよう、ママとして子どものために行動してほしいと願っています。

親が知れば、備えれば、必ず子どもたちの未来は変わると信じて、今出来ることから備えを始めていきましょう。

 

この記事のキュレーター

東日本大震災の物資支援活動を機にママのための防災ブック「その時ママがすることは?」を制作し、現在、(社)スマートサバイバープロジェクト特別講師として、全国170ヵ所以上で乳幼児・未就学児ママ向け防災講座「防災ママカフェ®」を実施。9000人を超える人が参加中。

NHK教育「すくすく子育て」他、メディア出演多数。 3児のママ。

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