「これってもしかして乳腺炎?」と気付いたときに知っておきたい原因と対処法

母乳育児中にしこりが気になったり、痛んだりすることはありませんか?それはもしかしたら、乳腺炎の初期症状かもしれません。そんなときはどうするのがベストなのでしょうか?今回は、「乳腺炎」の症状と対処法についての正しい知識とポイントをご紹介します!

母乳育児をしていると「何だかおっぱいがチクチク痛い気がする」「おっぱいが熱っぽくてカチカチ」ということを経験されたことはありませんか?

ある人もない人も母乳育児のトラブルの中でも多い「乳腺炎」の対処法をきちんと理解して、もしもの事態に備えましょう!

乳腺炎の原因

乳腺炎は、何らかの原因で作られた母乳が効果的に吸い出されないために溜まり、そこに炎症を起こす原因となる病原菌が感染することで起こります。

また、逆に感染が原因で乳腺炎を起こすことも考えられるようですが、その場合にはどちらが先なのか分からない場合が多いそうです。 乳腺炎の主な原因としては次が挙げられます。

●おっぱいの状態

おっぱいや乳頭(乳首)の大きさや形、乳腺の太さや流れは人それぞれです。

赤ちゃんの口の大きさに対して、しっかりと口に含んで吸うことが難しい乳頭の場合は母乳が残りやすくなります。

また、乳腺が細い人は母乳がつまりやすく乳腺炎になりやすい傾向があります。授乳に不慣れで乳頭(乳首)に傷がある場合も感染が起こりやすい状態です。

●血液の状態

母乳は、血液から作られるため、血液の状態もとても影響します。

母乳の分泌を促すプロラクチンというホルモンが多い、高プロラクチン血症の人は赤ちゃんの飲む量以上に母乳が作られてしまうため、母乳がおっぱいに残りやすくなります。

また、高コレステロール血症の人は血液がドロドロになり、流れが悪くなるために乳腺がつまりやすくなります。

●食生活

食事の献立で洋食のメニューが多い場合には、脂肪分、カロリーの高い食事になりがちです。

母乳は血液からでき、血液は母親の摂る栄養から作られます。そのため、血液がドロドロになりやすく栄養価の高い食生活は母乳がつまる原因になることもあります。

●ストレス

夜間の授乳による睡眠不足や慣れない育児などでストレスを感じる場合は、全身の緊張が高まることで母乳の分泌も悪くなります。

母乳が効果的に吸い出されずに乳房に溜まったままの状態は、乳腺炎を起こす原因となります。

●肩こり

育児は赤ちゃんを抱える機会が多く、気づかぬ間に肩をはじめ、首や背中、腰まで筋肉がこり固まっていることがあります。

筋肉が縮まってこり固まってしまうと、血液の流れも悪くなります。血液の流れが悪いと母乳の流れも悪くなり、作られた母乳が効果的に吸い出されないため、おっぱいに溜まったままになってしまいます。

●授乳ポジション

それぞれ授乳する姿勢には好みがあると思いますが、毎度同じポジションで授乳することは乳房全体の乳腺ではなく一部の乳腺からの母乳を吸い出すことしかできません。そのため、飲み残された母乳が溜まってしまいます。

乳腺炎の症状

乳腺炎の自覚症状としては、「おっぱいや乳頭(乳首)の痛みやかゆみ、熱感(熱っぽさ)、発赤(赤み)、しこり。母乳の変化(半透明や黄色を帯びた色)。全身の発熱、悪寒」などが挙げられます。

体温を測るときには、おっぱいの炎症による熱と区別がつかなくなるため、わきではなく肘に体温計を挟むなどの方法で計測してください。

乳腺炎の対処法とそのポイント

応急処置について重要なポイントは、口コミやネット、雑誌などからの情報だけを頼りに「自己判断で対処しないこと」。

ひとりひとり乳腺の流れや症状も異なるため、誤った対処法は症状を悪化させてしまったり、しこりを残してしまったりという危険性があります。

しこりをとるマッサージも熟練した技術がないと乳頭(乳首)や乳腺を傷つけてしまうのです。

そのため、「もしかして乳腺炎?」と思ったら、できる限り早い段階で専門家(産婦人科、母乳外来、助産院など)に電話相談をしたり、受診したりして対処法の指示を受けるようにしましょう。

相談する専門家ですが、まずは赤ちゃんとお母さんの状態をよく理解している出産した病棟に電話で相談することをおすすめします。

また、熱や痛みで赤ちゃんとの外出が難しい時には、自宅で安静をとって待つことのできる開業助産師による訪問ケアを利用する方法もあります。

選ぶポイントは、継続したケアを受けやすい自宅から距離やアクセスの便利な開業助産師さんを選ぶことがおすすめです。問い合わせ先が分からない場合は出産した医療施設に問い合わせるとよいでしょう。

開業助産師さんからのケアを受ける際には、全額自費負担になります。希望する際には、電話で出張料を含む料金についてきちんと確認しておくと安心できます。

正しい知識を得て、もしもの備えもしっかりして母乳育児を楽しみましょう!

 

この記事の監修
日本小児科学会専門医 菊池 透先生

初回公開日:2016年4月27日
最終監修日:2021年4月19日

この記事のキュレーター

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