子どものいのちを守れるママ&パパになる! その⑧3歳~幼児のママパパへ、特に気をつけておきたい被災時のポイントと備え

大地震の時、一番怖くて大変な目に遭うのは、小さく弱い子どもたち。特に3歳以上の子どもたちは、大人や周りの変化なども敏感に感じ取り、小さな心や体に異変を起こしてしまうことも。
いざという時、子どもたちを少しでも安心させてあげるために、どんな準備が必要なのでしょう?

大地震に遭ってしまったら…

「家具が次々と倒れてくる中、寝室で先に寝ていた子どもを助けに行きました。途中何度も「ダメだ、間に合わない」と絶望的になりました」(熊本ママ談)

 

「保育園に急いで迎えに行きました。防災無線も聞こえず、本来来るはずの緊急連絡メールも来なかった。」(東北ママ談)

3歳にもなると、行動範囲も広がり、いつもママと一緒とは限りません。

子どもには、とにかく「揺れたら頭を守る、逃げる」「自分のいのちは自分で守る」ことを徹底して教えておきましょう。

幼稚園や保育園などに通わせている場合は、その園ではどんな対策をしているのか、大地震が来たらどこにどうやって避難するのか、親への引き渡しの方法なども事前に確認しておきましょう。

 

地震の後、こんなことも…

「私は何も用意していなかったので、うちの子には食べ物を何もあげられませんでした。避難所のとなりのシートで、食べ物を食べている子を見て、子どもがぐずり、私が備えていれば…と申し訳ない気持ちでいっぱいでした」(東北ママ談)



大人は「今は非常時だから」とガマンできても、子どもはそうはいきません。

「つらい思いをするわが子を前に、何もしてあげられない」ほど、親として情けないことはありません。

子どもの食べるものだけは、必ず用意をしてあげてください。
 
小さい子がいる場合、避難所などで「食事の合間持たせられた」「保存しやすく調理要らずで便利」「被災のストレスで食欲がなくても食べられ、カロリー補給させられた」など、ちょっとしたお菓子類の備蓄も役立ったようですが、子どもを静かにさせるためにいつもお菓子を与えてしまい、子どもの虫歯が問題に。

子どもの乳歯は大人の歯に比べて虫歯になりやすく、乳歯が虫歯になると永久歯にも影響が出るので、災害時の備えに子ども用歯ブラシや液体歯磨き、子ども用歯磨きシート、歯間ブラシなどの口腔ケアグッズを入れ、数か月続く停電と断水で毎日の歯磨き習慣がおろそかにならないようにしましょう。

 

避難先での子どもの毎日を想像して準備を

「体育館に避難したが、寒さと床の固さが辛かった。子どもたちも慣れない事態に興奮気味だった」(熊本ママ談)

暖房器具も寝具も十分ではない避難所でしばらく過ごすことを想定して、持ち出し用リュックに防寒具や保温出来るアルミシートなどを入れておくことを忘れずに。
 
夜トイレに行けずお漏らしをしてしまったり、ストレスから赤ちゃん返りをする子もいたので、オムツ外れが終わっている場合でも、オムツを何枚か入れておきましょう。

水が貴重になると洗濯は後回しになるため、着替え用の下着や靴下もあると安心です。

また、子どもが夢中になって何度も遊べるものがあると、避難生活のストレスを緩和できます。

折り紙、ミニゲーム、トランプ、お絵かきできるメモ帳、ペンなどを入れておきましょう。

 

「避難所に来た仮設トイレは段差が高く手すりがない和式で、においや汚れもひどく、夜は真っ暗。子どもはまたぐことも難しく、とても嫌がりました。」(東北ママ談)

今の子どもたちは洋式の水洗トイレ、ウォシュレットなどに慣れており、和式トイレ、簡易トイレ、仮設トイレでは用が足せない子も。

子どもが出来るおまるや段ボールトイレなどを備蓄しておくことももちろんですが、普段から、公園のトイレなどでトレーニングするなどしておきましょう。

 

心の問題は、「地震直後」より「時間が経ってから」

「震災直後にもあったのですが、あの頃よりひどいです。下の子に授乳していると、4歳のお姉ちゃんもくっついてくるんです。どんどん悪くなっていくようで心配です」(東北ママ談)

 

「毎日夕方になると、「夜怖い」「地震怖い」とパニックになり、しまいには家に入れなくなってしまい、車中泊で過ごしました」(熊本ママ談)

「地震以降2週間ほどすごく頻繁にトイレに行っていました。ストレスからそういった体の変化も起こると聞いていたので、それなんだと思います」(熊本ママ談)

 



地震後は、心のケアも大きな問題。

ストレスによる様々な症状は、地震の直後より半年~1年など少し時間が経った頃に出てきやすく、子どもの場合は、夜泣きやおねしょ、指しゃぶり、赤ちゃん言葉、ママの後追いなど、「赤ちゃん返り」するケースが多いそう。


子どもは言葉で説明できないので、こうした見た目に分かる身体症状や問題行動のサインを周りの大人がキャッチすることが大切。

気が付いたら、必要以上に心配せず、抱きしめる、手を握る、肩や背中など緊張の強い場所へのスキンシップや、「大丈夫よ」という笑顔の声かけを。手触りのよい毛布やぬいぐるみなども有効です。

 

あいさつ、絵本、お散歩…日頃からできる「防災」教育

「避難所の配給食をもらった時、いつもの机がないから食べられないと大泣き。いろんな食事、キャンプ、避難訓練など、日頃からいろんな経験をさせておくことが、子どもにとっても大事だなと痛感しました。」(熊本ママ談)

小さい子にとっては、たくさん歩くこと、でこぼこ道など普段と違う自然の中で遊ぶことも立派な防災訓練。

よく遊びに行く公園への道のりや通園路などでも、親子で危険な場所がないかチェックしながら歩くこともできます。

ご近所の人にも、子どもと一緒にあいさつするなどして、小さい子がいること、家族構成などを知っておいてもらうことも大切です。

出来れば、食べものの好き嫌いも少なくしておきたいもの。

支援物資の配給食が苦手なものだったとしても、それを食べられず大変な思いをするのはその子です。

大地震が起これば、両親が目の前に居ても、必ずしも子どもを守れるとは限りません。

普段の生活の中で、子どもの成長や興味関心に合わせ、防災絵本の読み聞かせや、防災カルタ、すごろく、紙芝居などのツールを使って、自分のいのちを自分で守ることを伝えていきましょう。

 

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この記事のキュレーター

東日本大震災の物資支援活動を機にママのための防災ブック「その時ママがすることは?」を制作し、現在、(社)スマートサバイバープロジェクト特別講師として、全国170ヵ所以上で乳幼児・未就学児ママ向け防災講座「防災ママカフェ®」を実施。9000人を超える人が参加中。
NHK教育「すくすく子育て」他、メディア出演多数。 3児のママ。
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