漢方のチカラで美肌になろう!アンチエイジング、シミ、ニキビに効く漢方薬

気になるシミやニキビなどの肌トラブル。東洋医学で肌はカラダの状態を映す鏡だと考えられています。
漢方薬でカラダの中を整えることによって、肌の老化やトラブルを改善できるかもしれません。そこで、それぞれの悩みに合った漢方薬を、東洋医学の考え方とともに紹介します。

東洋医学の基本的な考え方

東洋医学には「木・火・土・金・水」からなる五行説というものがあり、それと同じように、私たちのカラダも「肝・心・脾・肺・腎」の「五臓」に分かれているとされています。

それぞれ肝臓や心臓などの臓器だけではなく、カラダの機能を表しています。

また、東洋医学では「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方があり、それぞれがバランスを保つことで心身が健やかに保たれると考えられています。

 

アンチエイジング効果のある漢方

五臓の中でアンチエイジングに最も関わりのあるのが「腎」。

腎というのは、たとえば血液を濾過して尿を作る働きや、水分代謝を良くすること、生殖機能などの働きを指す概念です。

腎が衰えると、白髪が増える、肌ツヤがなくなるなどの老化現象が出始めます。

アンチエイジングのためには、腎のケアが重要なのです。

また、加齢によって「気」も衰えていきます。

気は生命のエネルギーのこと。腎と気をケアする漢方がアンチエイジングに効果的だといえます。

● アンチエイジングに効果のある漢方薬

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 気のめぐりを良くし、胃腸を整えます。

・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 胃腸を元気にし、気・血・水のバランスを整えます。

・六味丸(ろくみがん) カラダの余分な水分を排出し、むくみやめまいをを改善します。

・八味地黄丸(はちみじおうがん) 腎の不調を改善します。

・四物湯(しもつとう) 血の巡りを改善し、皮膚や粘膜に潤いをもたらします。

 

シミ改善に効果のある漢方

シミには紫外線などの外的要因によるものと、ホルモンバランスなどの内的要因によるものとに分けられます。

ここではとくに内的要因によるシミについて解説します。

ホルモンバランスの乱れやストレスなどが主な原因となってできるシミを「肝斑」と呼びます。

妊娠中や更年期などに出やすく、頬骨のあたりに左右対称に出るのが特徴です。

女性ホルモンやストレスに深く関係しているのは五臓のうちの「肝」。

肝は代謝やデトックス、また「気」の巡りを良くして自律神経を整えたり、血液量をコントロールする機能のことを指します。肝斑の改善には、肝、すなわち気と血の流れをケアすることが大切です。

● 肝斑に効果のある漢方薬

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 血流を良くし、ホルモンバランスを整えます。

・加味逍遥散(かみしょうようさん) 自律神経、ホルモンバランスを整えます。

 

ニキビを改善する漢方

ニキビは「尋常性ざ瘡」という、毛穴にできる丘疹(きゅうしん:発疹のひとつ)のことです。

皮脂などが溜まる「白ニキビ」、そこにアクネ菌が繁殖して炎症を起こす「赤ニキビ」などがあります。

東洋医学では、ニキビなどの皮膚の炎症は「熱」ととらえます。

その熱を抑える「清熱」というのが治療の基本となるのですが、「清熱剤」にもいろいろあり、その人の体質などを考慮しながら処方を行います。

● ニキビに効果のある漢方薬

・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう) のぼせやすい人のニキビ、顔や頭部の湿疹を改善します。

・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) ニキビ、慢性鼻炎などを改善します。

・桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん) 肩こり、頭重、のぼせや足冷えなどがある人のニキビ、シミを改善します。

 

漢方薬は一般的に、即効性を期待できるものではなく、少しずつ時間をかけて体質そのものを改善していくものです。

カラダを整えることで、肌トラブルや病気を起こしにくくなるので、気長にじっくり治療に取り組みましょう。

 

★今回のポイント★

・漢方は症状そのものを治すだけではなく、不調を引き起こす原因を改善するもの 

・アンチエイジングには「腎」と「気」のケア

・シミ(肝斑)の改善には「肝」すなわち「気」と「血」の流れの改善を

・炎症性のニキビには熱を抑える「清熱」というのが治療の基本

 

 

この記事の監修 
婦人科専門医  松村 圭子先生

 

この記事のキュレーター

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