食事は?水分補給は?赤ちゃんが吐いたときのホームケア

赤ちゃんは大人に比べて胃の入り口がキュッと締まっていないため、授乳後に吐き戻してしまうことがよくあります。そのため、赤ちゃんが吐くことはあまり珍しいことではありません。とは言え、胃腸炎などにかかって吐く場合もあるので、やはり心配ですよね。そこで今回は、赤ちゃんが吐いたときのホームケアをご紹介します。

赤ちゃんが吐いた時の受診の目安は?

赤ちゃんが吐いてしまった場合は、まず状況と吐いたものの色をチェック。

吐いたものに緑色の胆汁や、血液のような色が混ざっている場合は、消化管の出血や腸閉塞などの重い病気にかかっている可能性があるので、速やかに受診するようにしてください。

そのほか、高熱があってぐったりしている、けいれん後に何度も吐く、頭を打った後1日以内に吐く間隔をおいて激しく泣いて血便をともなう、水分がとれていない場合もすぐに受診しましょう。

 

赤ちゃんが12回吐いたとしても、吐いた状況や内容に問題がなく、すぐ治まってけろっとしているようであればホームケアで大丈夫。

ただし、何度も吐いたり少し時間を置いても元気がなかったりするときは、感染症の可能性があります。休日や夜間の場合は、小児救急でんわ相談(#8000)に受診すべきか相談を。

また、ノロ・ロタウイルスによる胃腸炎の場合は家庭内感染を防ぐため、吐いた物を処理する際はゴム手袋やマスクをつけ、汚れた洋服は塩素系漂白剤につけ置きしてから家族のものとは分けて洗ってください。

色落ちが心配な洋服は、熱湯消毒(85℃以上、2分)でも問題ありません。

 

赤ちゃんが吐いたときのホームケアは?

赤ちゃんの吐いたときのホームケアのポイントは3つあります。

1) 吐いたものによる窒息に注意

寝ている場合に気を付けたいのは、吐いたものでのどをつまらせないようにすることです。

もし、吐いたものが気道に入ってしまうと窒息してしまう危険性があります。

この場合は、横向きにして寝かせるなどの工夫をしましょう。親の目の届くところに眠らせて、しばらく赤ちゃんの状態を確認します。

 

2) 着替えは吐き気が落ち着いてから

赤ちゃんが吐いてしまって洋服が汚れてしまったら、すぐにでも着替えさせてあげたいところですが、吐き気がおさまるまで待ちましょう。

赤ちゃんが食べたものを吐いた後ですぐに着替えさせても、その後でまた吐き戻してしまう可能性があります。

そのため、赤ちゃんが吐いた場合は、まずは赤ちゃんをたて抱きにして落ち着かせることがポイント。

このときに、口のまわりをティッシュなどで拭いてキレイにしてあげることも忘れずに。

赤ちゃんを寝かせるときは、また吐いてもいいようにバスタオルをカラダの下に敷き、吐いたものがのどにつまらないよう横向きにします。

30分経って落ち着いたら、シャワーを浴びさせるか、お湯でしぼったタオルでカラダを拭き、着替えさせてあげましょう。

お風呂は体力や水分を奪うので避けてください。

 

3) しばらく経ってから水分補給

吐き気がある間は、何も飲ませないことが基本です。

吐いたすぐ後に水分補給をしても、その刺激で反射的にまた吐いてしまいます。

吐いてから30分~1時間ほどようすを見て、吐きそうになければ経口補水液(乳児用イオン飲料)などを数回に分けて飲ませてあげましょう。

1回に与える量の目安は、体重10kg当たり10mlです。1015分おきに少しずつ与えます(経口補水療法)。

また、牛乳、乳酸菌飲料、果汁が入っている飲み物などは浸透圧が高く、胃に負担をかけてしまうので、吐いた後は避けてください。

授乳をする場合は、12時間ほどようすを見て、いつもの半分くらいの量から飲ませるようにしてください。

 

赤ちゃんが吐いた場合も、全身状態のチェックが大切です。

その後のようすを見ながら、脱水症状を起こさないように水分補給をしてあげましょう。

 

★今回のポイント★

・吐いた場合は、吐き気が落ち着いてから着替えさせる

・水分を与えるのは、30分ほどようすを見てから

・寝ているときに吐いた場合は、横向きにさせるなどの工夫を

・吐く回数が多く、ぐったりしているなどの場合は早めに受診を

 

この記事の監修
日本小児科学会専門医 菊池 透先生

初回公開日:2017年7月28日
最終監修日:2021年5月26日

 

この記事のキュレーター

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