予期せぬ妊娠をしてしまったら

今妊娠を望まないのであれば、避妊することはとても重要なこと。当たり前のようなことですが、「きちんと避妊ができていない」ケースがあることも事実です。

女性から「避妊をして」と言い出しにくいこともあるかもしれません。ピル(経口避妊薬)など女性が主体でできる避妊方法もあります。
「正しい避妊」を知っていればその分妊娠を防ぐことはできますが、どんな避妊をしても100%の避妊方法はないことをあなたもパートナーも自覚しておきましょう。

避妊ができなかった緊急事態には

コンドームの破損やレイプなどの緊急事態において、予期せぬ妊娠を避けるためにアフターピル(緊急避妊薬)が用いられます。 これは、婦人科で処方されるホルモン剤で、排卵を抑えたり、排卵を遅らせて受精を防いだり、子宮内膜を変化させて受精卵の着床を防いだりすることで妊娠を防ぎます。

アフターピルは、性交渉後72時間以内に内服します。ただし、中用量ピルを使用した場合は日本で主流の低用量ピルと比べると、頭痛や吐き気などの副作用が大きく現れます。また、妊娠阻止率は100%ではありません。
避妊なしのセックスを行い、「アフターピルを飲めば大丈夫!」など安易に考えないようにしましょう。

予期せぬ妊娠をしてしまったら

平成28年度の厚生労働省の調査結果では、年間16万8015件もの人工妊娠中絶が行われたそうです。(※)
人工妊娠中絶ができる期間は法律によって、妊娠21週と6日までと定められています。

母体保護法 第三章 母性保護 第14条
一 妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
二 暴行若しくは脅迫によってまたは抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの
さらに手術時には、本人と特別な理由がある場合を除き、相手の男性の署名捺印をした「人工妊娠中絶同意書」が必要になります。
また未成年の場合、病院によっては親の同意書も必要となります。

※厚生労働省 母体保護関係
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_hou
koku/16/dl/kekka6.pdf)

妊娠12週未満の初期中絶の場合

中絶方法は、搔把法(胎児を掻き出す)か、吸引法(胎児を器具で吸い出す)となります。
どちらも手術は日帰りが基本で、費用は10~15万円ほどです。

妊娠12週以降~22週未満の中期中絶の場合

中絶方法はお産と同じ分娩法となります。
この場合は、数日の入院と、退院後1週間程度の安静が必要となります。費用は、30~60万円程度。手術後には役所への死産届と、胎児の火葬による埋葬が必要です。

正しい処置と術後ケアさえ受ければ問題はありませんが、とくに搔把法や吸引法は、医師が手さぐりで行うため、子宮が傷つく可能性があります。
医師の未熟な技術によって子宮が傷ついたり、手術後に子宮内に炎症が起こったりした場合、不妊を招くこともあります。

予期せぬ妊娠、選択肢は中絶以外も

たとえば、法律上も養子を養親の実子にする「特別養子縁組」を民間養子縁組機関や児童相談所で仲介してもらうことができます。
また、いまは無理でも、いずれ自力で子供を養育したいという方には、一時的に子供を登録されている里親に育ててもらうという「里親制度」もあります。この場合、各地の児童相談所に相談してみましょう。
今妊娠をしていない方も、思いがけない妊娠をしてしまっても、自分の身体と生まれてくる命を傷つけない選択もできることを忘れずにいましょう。

どうしようもなく困ってしまった時には

自治体や民間機関が運営するにんしんSOSなど、妊娠に関しての相談窓口もあります。
全国のにんしんSOS相談窓口
ひとりで悩まずにこうした制度なども利用してみましょう。

10代のあなたへ 誰かに相談したいと思ったら

若者向け性や妊娠などについて相談できる健康相談支援サイト「スマート保健相談室」(こども家庭庁)では、からだや性・妊娠などの健康に関する正しい情報や専門家に相談できる窓口を探せます。

<スマート相談保健室>
・性や妊娠・性被害・性感染症など、様々な悩みを相談できる窓口
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https://sukoyaka21-youth.cfa.go.jp/