体外受精・顕微授精
体外受精・顕微授精はどんな方法?
体外受精・顕微授精では、女性の卵巣から採った卵子と、男性から提供された精子を、胚培養士が受精させ、一定期間培養してから、子宮に受精卵を戻します。自然に任せる部分が多いタイミング法や人工授精と比べると、グンと技術が高度に。体外受精や顕微授精のことは、生殖補助技術(ART)とよばれています。
体外受精は、洗浄した精子を卵子にかけて自然受精を待つ方法で、顕微授精は、顕微鏡をみながら1つの卵子に1つの精子を針で直接注入して授精させる方法です。

人工授精で妊娠しなかった場合だけではなく、卵管(卵子が通る管)に閉塞などの異常がある場合や、男性の精子に異常がある場合、女性が高齢の場合などは、はじめから体外受精や顕微授精を検討することもあります。
治療を行う場合、自己負担となる費用の目安は、1回につき25万~50万程度。顕微授精をする場合は、さらに数万~10万円が加算されます。体外受精・顕微授精の費用は一部助成される場合がありますが、年齢や所得などの受給制限もあるため、自治体のホームページで調べてみましょう。
体外受精・顕微授精では、妊娠率は20~30%と人工授精に比べて高くなりますが、費用が高額になるほか、採卵手術など女性のカラダへの負担も増えます。治療を行うかは、医師の説明をもとに二人でよく相談して決めましょう。

体外受精・顕微授精の流れが知りたい!
治療を受けることが決まったら、個人の状態に応じた治療スケジュールを立てます。
まずは、採卵のスケジュール。女性の年齢や状態に合わせて、採卵のための卵巣刺激の方法を決めます。主に選ばれているのは、卵胞を刺激して卵胞を育てながらも自然に排卵してしまうのを防ぐ、GnRHアゴニスト製剤やGnRHアンタゴニスト製剤を使う方法です。
卵胞を育てている間は、超音波検査で卵胞の数と大きさをチェックします。どの方法でも、卵胞が成熟したら、採卵前34時間程前に、hCG製剤やGnRHアゴニスト製剤を使い、排卵を促します。
ショート法
治療の周期に、排卵誘発剤とGnRH アゴニスト製剤をあわせて行います。
ロング法
治療の前の周期の高温期からGnRH アゴニスト製剤を使い始め、生理にあわせて排卵誘発剤を使います。
GnRH アンタゴニスト法
排卵誘発剤とGnRH アンタゴニスト製剤をあわせて使います。GnRH アゴニスト製剤が向いていない場合に適しています。
クロミフェン+hMG/FSH法
クロミフェンとhMGやFSHをあわせて使います。比較的刺激の少ない治療です。
自然周期法
排卵誘発剤を使わずに自然周期で排卵の熟成を細かくみながら待つ方法もあり、自然周期法といいます。
卵胞が育ったら、いよいよ採卵です。採卵は、通常は麻酔のもとで行われます。医師が超音波モニターをみながら、腟から採卵針を入れて、卵胞を1つずつ吸引します。男性は、採卵のタイミングに合わせて、精子を採取します。
採卵後は、胚培養士が受精させ、卵管と同じ環境の培養器を使って24時間管理下で受精卵(胚)を培養します。
その後、2~3日培養した胚や、5日目まで培養した胚盤胞のうち、正常に成長している胚を子宮に戻します。双子以上の多胎妊娠を防ぐため、子宮に戻せる胚は1個だけですが、残った胚は凍結保存することで次回以降にも使えます。また、卵巣の腫れが確認される場合や、子宮の内膜の状態によっては、すぐに子宮に移植せずに、胚を一度凍結させることもあります。

子宮に胚を移植するときに使うカテーテルは細くて柔らかく、痛みはほとんどありません。麻酔も使わずにすむため、子宮に胚を移植したあとは、帰宅して、ほぼ普段通りに過ごすことができます。
移植後は、胚が子宮内膜に着床するのを助けるために、注射や飲み薬、腟坐薬や貼り薬でホルモン補充を行い、約10日後に妊娠判定をします。