検査とワクチンはミライを守るカギ
私たちが住む日本では、性や生殖に関する教育が十分に進んでいないといわれています。これも、妊娠や出産に備えるための「プレコンセプションケア」が必要とされている理由のひとつです。
病気を予防するためのワクチン接種率やがん検査率の低さ、性感染症の増加といった問題もあります。まず、一人ひとりがしっかりと正しい知識を身に付けることが大切です。
性感染症の予防に必要なワクチンやがん検査について、わかりやすく説明します。
知らないうちに性感染症に⁉
~無症状のケースもある性感染症を正しく予防~
近年、若い人の間で性感染症が増えています(*1)。感染していても無症状であることが多く、気付かずにパートナーに感染させてしまうこともあります。
性感染症は、不妊の原因になるだけでなく、妊娠中に感染すると赤ちゃんの健康に影響を及ぼすこともあります。セックスのときは必ずコンドームを使用するなど、正しい方法で感染を防ぐことが大切です。
「自分は大丈夫だ」と思っている人も性感染症のチェックを行い、気になる症状がある場合は婦人科や泌尿器科を受診しましょう。パートナーと一緒に受診すれば、お互いに感染を繰り返すピンポン感染を防ぐこともできます。
全国の保健所では、性感染症の無料相談も行われています。少しでも不安なことがある場合は、気軽に相談してみてください。
妊娠前からチェックしよう!ワクチン接種の大切さ
妊娠中に感染すると、赤ちゃんに影響が出る病気もあります。
例えば「風しん」は、妊娠中に感染すると赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症して、心臓の病気や白内障、難聴を患うリスクを高めてしまいます。
そこで、大切になるのがワクチン接種です。風しんやはしか(麻しん)、水ぼうそう、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、ワクチンを打つことで予防できます。
特に風しんは、症状が軽く感染に気付かないこともあるので、パートナーや家族も一緒にワクチンを接種して「感染させない環境づくり」をしていきましょう。
ただし、妊娠中は多くのワクチンを受けられません。
将来、少しでも妊娠を考えている場合は、自身の母子手帳でワクチン接種歴を確認したり、抗体検査を受けたりして、今のうちに必要なワクチン接種を済ませておきましょう。
インフルエンザワクチンは妊娠中も接種できるので、重症化を防ぐためにも毎年忘れずに受けると安心です。
これらのワクチンは、ウイルスの毒性を弱めて病原性をなくしたものを原料にした生ワクチンです。
そのため、予防接種を受ける前の1ヶ月と、予防接種後の2ヶ月間の合計3ヶ月は避妊する必要があります。
これらを同時に受ける場合は問題ありませんが、別々に受ける場合は、27日以上間隔を空けることも忘れないようにしましょう。
生活習慣病、そのままにしないで!赤ちゃんに影響することも
糖尿病や高血圧といった生活習慣病は、妊娠中も赤ちゃんに悪影響を与える場合があります。
例えば、妊娠前に血糖値が高いと、赤ちゃんに先天的なトラブルが起こりやすくなる可能性があります。高血圧は妊娠高血圧症候群などを引き起こし、母体に負担をかけてしまうことも。
もし病気が見つかったとしても、きちんと治療してコントロールできていれば、妊娠中も落ち着いて過ごせる可能性が高まります。
「健康には自信があるから大丈夫!」と思っているあなたも、年に一度の健康診断は受けるようにしましょう。
「妊娠してから考える」よりも、「今から少しずつ整えていく」ほうが安心だと感じませんか?未来の家族のためにも、今できることからはじめてみましょう。
すでにガン世代かも?!
女性のカラダは年齢とともに変化していきます。子宮頸がんは20代から少しずつ増え始め、30代になると乳がんのリスクも高まります。
だからこそ、2年ごとの子宮頸がん検診と、月1回の乳房のセルフチェックを今から習慣にすることがおすすめです。40歳を過ぎたら乳がん検診も追加し、定期的に健康チェックを続けてください。何か気になることがあったら、専門医に相談しましょう。
もし、おばあちゃんやお母さん、姉妹に乳がんや卵巣がんの経験があるなら、あなた自身のリスクも高まる可能性があるので、健康診断をきちんと受けましょう。気になる症状があれば早めに婦人科や専門医に相談しましょう。
また、40歳からは肺がん・大腸がん、50歳からは胃がんの検診もおすすめです。健康診断を活用して、早期発見・早期治療を心がけましょう。
「今から少しずつ」はじめることが、あなたのカラダと未来を守る第一歩です。
- 出典
- *1 性感染症報告数(2004年~2023年)厚生労働省
- *2 東京都性感染症ナビ 東京都保健医療局/性感染症 厚生労働省
- *3 一般社団法人 日本産婦人科感染症学会
- *4 認定NPO法人 J.POSH 日本乳がんピンクリボン運動